ユーザーの興味・関心に応じて最適化した広告を配信できる「ターゲティング広告」。
デジタルマーケティングではとても重要な広告手法のひとつですが、どのような仕組みのWeb広告なのでしょうか?
本記事では、ターゲティング広告の仕組みやその種類について詳しく解説します。
シニヤン先輩!今度「ターゲティング広告」をやってみたくて勉強しているんですけど、まだ知識に不安があって…。おさらいもかねて、詳しく教えてもらえないでしょーか!?
おっ、えらいね!もちろんいいよお。せっかくだし、イチから説明しようか。
INDEX
ターゲティング広告とは?
ターゲティング広告は、ユーザーの興味・関心に合わせて表示させられるWeb広告です。これだけを聞いても、ターゲティング広告がどのようなものか具体的にイメージできませんよね。まずは、ターゲティング広告でできることや、他のWeb広告との違いをみていきましょう。
ターゲティング広告でできること
ターゲティング広告は、簡単にいうと「ターゲットを狙い撃ちして広告を表示させる手法」です。ユーザーの閲覧ページやアカウントの情報などを用いて、より興味を持ってもらえそうなユーザーに対して広告を表示させられます。
例えば、「20代女性で美容に興味がある人に絞って、化粧品の広告を表示させる」ことが可能です。興味・関心を反映して情報提供すると聞くと、「パーソナライズ」に似ているように思われるかもしれません。しかし、それぞれには次のような違いがあります。
- パーソナライズ:一人ひとりの興味・関心に合わせて、広告(情報)を表示
- ターゲティング広告:広告に興味を持ってもらえそうなユーザーに絞って、広告を表示
ターゲティング広告の主軸はあくまで「広告」であり、広告を出す側の都合でアプローチを行える点が大きな特徴です。
ターゲティング広告とリスティング広告の違い
リスティング広告とは、ユーザーが検索したキーワードに合わせて表示されるWeb広告です。例えば、「パソコン おすすめ」と検索したとき、検索結果の上部と下部に「広告」と記載されたサイトがいくつか表示されますよね。これが、リスティング広告なのです。
リスティング広告は、特定のキーワードを検索した人に対して表示される広告なので、ターゲティング広告のひとつであるといえます。別名「キーワードターゲティング広告」と言われることもあります。
つまりターゲティング広告は、「自社に興味を持ってくれそうなユーザーをターゲットに配信するWeb広告」ということですね!
その通り!そしてそのターゲットを狙い撃ちする方法には、いくつかの種類があるんだ。
ターゲティングの手法と仕組み
ターゲティング広告における「狙い撃ち」の方法は、以下のようにさまざまです。
- オーディエンスターゲティング
- デバイスターゲティング
- ジオターゲティング(位置情報ターゲティング)
- コンテンツターゲティング
- リターゲティング
- 行動ターゲティング
各項目を詳しくみてみましょう。
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングは、「人」に対してターゲティングを行う手法で、ターゲティング広告の中ではもっともポピュラーなものです。Cookieやブラウザの識別情報、アプリの広告識別子などのデータを利用してユーザーを識別する仕組みとなっています。
性別や年齢などの「属性」や「興味・関心」、検索やサイト訪問などの「行動履歴」の情報を用いて条件に合う「人」をターゲティングできます。また、広告主が狙いたい「理想のユーザー」と条件が一致する人を追いかけることも可能です。
例えば、「イヤリングに興味がある人」をターゲティングした場合、「イヤリングに興味があると判断されるAさん」に対して、イヤリングの広告配信を行います。Aさんがどんなサイトを使っていても、見ているサイトにはイヤリングの広告が表示されるようになるでしょう。
デバイスターゲティング
デバイスターゲティングは、配信する「デバイス」を指定して広告配信する手法です。デバイスの指定はもちろん、OSやOSのバージョンなどを細かく設定することも可能です。
例えば、スマートフォン向けのゲームに関する広告を配信するなら、パソコンよりスマートフォンに絞ったほうが費用対効果は高いでしょう。このようなときに、配信するデバイスを「パソコン」「スマートフォン」「タブレット」などから選択できるのがデバイスターゲティングです。
ジオターゲティング(位置情報ターゲティング)
ジオターゲティングは、特定の場所に「いる人」、または「これから行く可能性の高い人」をターゲティングする手法です。IPアドレスやGPS、Wi-Fi、Bluetoothなどから取得できる位置情報をもとにターゲティングする仕組みです。
例えば「ディナー おすすめ」と検索したユーザーに対し、GPSの位置情報を活用して近隣のお店の情報を広告配信します。このように「場所」に対しての広告配信を行うのが、ジオターゲティングです。
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングは、サイトやアプリなどの「中身(コンテンツの内容)」とマッチする情報でターゲティングを行う手法です。システムや手動によって分類されたコンテンツの内容にマッチする広告を表示する仕組みです。
例えば、「沖縄のホテル」のページを見ているユーザーに対して、「沖縄のレストラン」や「沖縄のレジャー施設」の広告を表示させます。このように「配信しているコンテンツ」に合わせた広告配信を行うのが、コンテンツターゲティングです。
リターゲティング(リマーケティング)
リターゲティングとは、一度自社サイトに訪れたことがあるユーザーに対して再度広告を表示させるターゲティング手法です。ユーザーのCookie情報をもとにターゲティングをする仕組みです。
例えば、ECサイトAでパソコンを見ていたユーザーが情報サイトBに移動したとき、その広告枠にECサイトAの広告を表示させます。一度訪問してくれたユーザーに再アプローチできるため、購入やお問い合わせなどの行動につながりやすい点がメリットです。
ただし、何度も広告が表示されることで、ユーザーに嫌悪感を抱かれやすい点に気をつけなければいけません。
行動ターゲティング
行動ターゲティングとは、Webサイトの閲覧履歴、広告クリックなどの行動履歴をもとにユーザーを分類して広告を表示するターゲティング手法です。行動履歴は、おもにCookieから取得する仕組みとなっています。
特定の行動をしたユーザーにピンポイントで広告を配信できるため、コンバージョンに直結しやすいという特徴があります。深く狭い範囲でユーザーにアプローチしたい場合は、行動ターゲティング広告がおすすめです。
人や端末、場所やコンテンツ…。こうやってみると、ほんとにいろんな方法でターゲティングができるんですね!
そうだね。訴求したい商品やサービスと相性のいいターゲティング手法を使えれば、ターゲティング広告がもたらすメリットや効果はより高いものになるはずだよ。うまく選んでいきたいところだね。
ターゲティング広告のメリット
ターゲティング広告を活用するメリットは、以下の3つです。
- CV率が向上しやすい
- 広告コストを抑えられる
- リターゲティングができる
各メリットを深掘りしてみましょう。
CV率が向上しやすい
ターゲティング広告ではユーザーの興味・関心、つまり「ニーズ」にマッチした広告を表示できます。そのためユーザーに刺さりやすく、効果的な訴求を行えるのです。ユーザーの「狙い撃ち」ができるため、コンバージョン率の効率的な向上につなげられるでしょう。
広告コストを抑えられる
ユーザーの興味・関心に合わせた広告配信は、すなわち「広告に対して興味を持つ可能性が低いユーザーには、広告を配信しない」ということです。ムダな広告配信をしないため余計な広告コストを抑えられ、顧客獲得単価(=CPA)の抑制につなげられるでしょう。
リターゲティングができる
ターゲティング広告では、「リターゲティング」という手法を使えます。リターゲティングとは、特定のWebサイトを訪問したことがあるユーザーに対してもう一度広告を配信し、商品の購入やサービスの利用などを促す広告手法です。
そのため、新規顧客の獲得だけでなく、サイトから一度離れてしまったユーザーに対して再度アプローチできます。リターゲティングを活用すれば、機会損失や取りこぼしを効率的に防止できるでしょう。
「狙い撃ち」をして、効率的なアプローチができる。効率的なアプローチをして、金銭的コストも下げられる。これが、ターゲティング広告のメリットなんですね!
その通り!うまく運用していければ、すごく強い武器になるはずだよ。そして、強い武器を使うときにはもちろん、気をつけなくちゃいけない点もある。
ターゲティング広告のデメリット
うまく使えば効率的に広告成果を挙げられるターゲティング広告ですが、メリットの一方でデメリットも存在しています。ターゲティング広告のデメリットは、以下の3つです。
- 不信感を抱かれる可能性がある
- コストが高くなることもある
- 個人情報保護法の規制対象になる
各要素を詳しく解説します。
不信感を抱かれる可能性がある
ターゲティング広告は、適切に活用しないと不信感を抱かれる場合があります。そもそも、ニーズにマッチしない広告配信は売り上げ拡大にはつながりません。
ニーズにマッチしていたとしても、過度にターゲティング広告を配信しすぎると、「行動を監視されているようで気持ち悪い」と思われる可能性があります。ターゲティング広告が逆効果になってしまう場合もありますので、運用時はターゲティング設定や広告配信の頻度に注意しましょう。
コストが高くなることもある
適切に運用できれば費用対効果を高められるターゲティング広告ですが、コストが高くなる可能性があるのも事実です。ターゲティング広告には多くの手法があり、配信できる媒体もさまざまです。
適切に配信手法や媒体を選択できなければ、思うように結果が得られずに費用だけがかさんでいくでしょう。ターゲティング広告の運用には知識や経験が必要なため、不安な場合はプロの手を借りるのもひとつの手です。
個人情報保護法の規制対象になる
ターゲティング広告は、個人情報保護法の規制対象となります。個人情報保護法とは、「個人の権利や利益保護に配慮しながら、個人情報を活用すること」について定めた法律です。2022年4月施行の改正個人情報保護法では、cookieで収集された情報が「個人関連情報」に該当すると定義され、第三者への提供時に本人の同意を得ることが義務付けられました。
ターゲティング広告は、第三者から提供された情報(サードパーティーcookie)を活用しているため、個人情報保護法の影響を大きく受けます。したがって今後は、ターゲティング広告に依存しすぎない戦略を立てていくことが大切です。
ターゲティング広告って便利ですけど、課題も多いんですね……。
そうなんだよ。知識がないまま運用している企業や、ターゲティング広告に依存しきっている企業は注意が必要だね。
ちなみに、ターゲティング広告には2つの運用方法があるんだ。
ターゲティング広告の運用方法
ターゲティング広告を配信するときは、以下の2つの運用方法から自社に合ったほうを選ぶことが大切です。
- 自社で運用する
- 運用代行業者に依頼する
それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。
自社で運用する
自社運用は、社内で担当者を選任して広告を自分たちで運用する方法です。別名「インハウス運用」と呼ばれることもあります。自社運用のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット
- コストを抑えられる
- 意思決定がスムーズ
- 自社にノウハウが蓄積する
デメリット
- 採用や教育などの準備が必要
- 運用や分析にリソースを割かなければいけない
- 困ったときに相談できない
長期的コストを抑えつつきめ細やかな運用を実施したい場合は、手間はかかりますが自社運用がおすすめです。ノウハウを蓄積できれば、長期的に安定した広告運用を実現できます。
運用代行業者に依頼する
自社運用が難しい場合は、広告運用代行業者に相談してみましょう。クリエイティブの制作から広告出稿、運用、分析まで丸投げできるので、リソースが割けない企業でも安心です。運用代行業者のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット
- とにかく手間がかからない
- プロが成果の出る施策を実施してくれる
- 気軽に相談できる
デメリット
- 手数料がかかる
- 社内にノウハウを蓄積しにくい
- 意思決定に時間がかかる
手間をかけずにターゲティング広告を運用したい場合は、業者に依頼することがおすすめです。プロが広告を運用するため、すぐに成果が出る点が最大のメリットでしょう。
ただし手数料がかかりますし、社内にノウハウを蓄積しにくくなります。運用者が社外の人間なので、希望をスムーズに施策へ反映しにくい点にも注意しましょう。
どちらにもメリットとデメリットがあるけど、広告運用のノウハウやリソースに不安がある場合は、運用代行会社に依頼することがおすすめだよ。
やっぱり自社運用って難しいんですか……?ターゲティング広告の成果をしっかりと出したい企業は、どんなポイントに気を付けて運用すればいいのでしょうか……?
そうだね、例えば……。
ターゲティング広告運用のポイント
ターゲティング広告の運用時は、以下の2点を意識するとより成果を高められます。
- 適切な広告設定を行う
- ユーザーにとって魅力的な広告にする
各ポイントを詳しくみてみましょう。
適切な広告設定を行う
ターゲティング広告で成果を挙げるためには、何よりも広告設定が重要となってきます。年齢や性別に加え、抱えている悩みや商品を通して手に入れたい未来(ベネフィット)なども考慮のうえ、適切に配信するターゲットや手法、媒体を選んでいきましょう。
また、キーワード設定も積極的に見直してみてください。どのような広告設定をすればいいかわからないときは、「カスタマージャーニーマップ」などのフレームワークを活用し、ユーザーの行動や心理状況を可視化してみましょう。
自社との接点やその時々の課題が明確になるため、最適な広告の配信方法を見つけるヒントとなってくれます。
ユーザーにとって魅力的な広告にする
ターゲティング広告は有用性の高い手法ですが、そもそもユーザーにとって魅力的な広告を配信できなければ成約につなげるのは難しいでしょう。いくら興味のあるジャンルの広告が表示されても、商品やサービスの魅力が伝わる内容でなければ、行動を起こす気にはなりにくいですよね。
ターゲティング広告の訴求力には限界があるため、重要なのはクリエイティブだと、しっかり理解しておきましょう。広告をより魅力的なものにするためには、次のような工夫が有効です。
- ターゲットのニーズに合わせて訴求文言や画像を設定する
- 自社ならではの強みをアピールする
- 動画を活用して目を引くクリエイティブに仕上げる
上記の内容はあくまで一例なので、自社の特性に合ったクリエイティブを制作しましょう。
ふむふむ、勉強になりますっ!ところで先輩、僕たまにターゲティング広告が怖くなるときがあるんですよね。
ああ、ちょっとわかるかも。監視されているような気分になるよね。実際、ターゲティング広告を「気持ち悪い」と感じている人は少なくないんだよ。
ターゲティング広告は気持ち悪い!?無効にする方法
自分の興味・関心にマッチした広告が表示されるターゲティング広告は、本来企業のみならずユーザーにとってもメリットがある広告です。
しかし、ターゲティング広告に対して「追跡されている」「個人情報が洩れている」という印象を抱き、気持ち悪いと感じる人は決して珍しくありません。もし、ターゲティング広告が気持ち悪いと感じるのであれば、以下の方法で広告表示を無効にすることがおすすめです。
- プライベートモードを使う
- Googleの広告管理から設定する
- Yahoo!の広告設定から設定する
それぞれの設定方法を詳しく解説します。
プライベートモード(シークレットモード)を使う
ターゲティング広告の表示を避けたいのであれば、プライベートモードの利用がおすすめです。プライベートモードとは、Webブラウザに搭載されている機能です。
利用することで、閲覧情報やcookie情報を残さずにWebサイトを閲覧できるようになるため、ターゲティング広告が表示されるのを防げます。
chromeでプライベートモードを利用したいときは、画面右上の「⁝」→「新しいシークレットウィンドウ」からアクセス可能です。他にもさまざまなブラウザがプライベートモードを搭載しているので、ブラウザの設定画面を確認してみましょう。
Googleの広告管理から設定する
Googleアカウントを持っている人は、広告管理の設定を変更することで配信される広告を制限できるようになります。設定方法は簡単で、マイアドセンターで希望に応じて入力するだけです。
ここで「パーソナライズド広告オフ」を選択すると、Googleアカウントの情報やアクティビティなど、個人情報を反映した広告が表示されるのを防げます。
Yahoo!の広告設定から設定する
Yahoo! JAPAN IDアカウントを持っている方も、広告設定のページから広告表示を制限できます。広告の最適化設定のページから「行動履歴による広告内容の最適化」を「最適化しない」に設定してください。Yahoo! JAPAN IDの登録情報や興味・関心に基づかない広告が表示されるようになります。
先輩、いろいろと教えてくださってありがとうございました!教えてもらった内容をしっかりと復習して、ターゲティング広告にチャレンジしてみます!
うんうん、その意気だ!またわからないことがあったら何でも聞いてね。
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WRITING 執筆
LIFT編集部
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