アドレサブル広告とは、CRMで蓄積した顧客データを使って配信する広告です。ユーザーを特定して広告を配信できるため、
購入率を高めたり休眠顧客の掘り起こしなどに効果を発揮してくれます。個人情報保護法により今後より注目度が高まるアドレサブル広告。
本記事では、そのメリットや活用事例、配信できる媒体を詳しく解説します。
シニヤン先輩~!この会社の商品のリピート購入を強化したくて……。こういう広告施策を打てたらと思ってるんですが、どう思いますかっ!?
どれどれ……。おっ、アドレサブル広告かぁ!いいものに目を付けたね!
アドレサブル広告とは?
「アドレサブル広告」は、自社に蓄積された顧客データをもとに広告配信を行う手法です。しかし、他の広告と何が違うのか、どのような仕組みなのかがわかりにくいですよね。まずは、アドレサブル広告について3つの観点から解説します。
- アドレサブル広告の意味
- アドレサブル広告の仕組み
- リターゲティング広告との違い
アドレサブル広告を詳しく学んでみましょう。
アドレサブル広告の意味
「アドレサブル広告」は、自社に蓄積された顧客データをもとに広告配信を行う手法です。広告配信にあたってCRMのデータを活用するため、「CRM広告配信」といわれることもあります。
「アドレサブル」は英語のAddress(アドレス)が語源となっており、不特定多数に対してではなく「個」を特定して広告を配信します。既存顧客の行動履歴や購買情報などの“精度の高いデータ”を用いてターゲット設定を行う点が、他の広告とは異なるところです。
顧客を狙い撃つアプローチが可能で、費用対効果が上がりやすい傾向にあります。また、自社データを活用するという点では他社との差別化を図りやすく、独自性のある広告運用にも強みを持ちます。
アドレサブル広告の仕組み
アドレサブル広告は、「自社顧客の電話番号やメールアドレス」と「広告媒体が持つ情報」をマッチングする仕組みです。広告出稿の具体的な流れ・仕組みは、次のとおりです。
- 広告主が自社データをリスト化する
- リスト化したデータを媒体にアップロードする
- 媒体が暗号化されたデータをもとにマッチするユーザーをリスト化する
- マッチしたリストをもとに広告を配信する
代表的なアドレサブル広告としては、Facebookの「カスタムオーディエンス広告」やGoogleの「カスタマーマッチ広告」が挙げられます。CRMの情報とFacebook(Google)の情報をマッチングすることで、精度の高いターゲティングが可能となるのです。
リターゲティング広告との違い
アドレサブル広告は、リターゲティング広告と間違われることが多い広告です。リターゲティング広告とは、一度サイトに訪れたことがあるユーザーに対して配信される広告です。たとえば、ECサイトで商品を見たあと、他のサイトに移動したときにECサイトの広告が表示された経験はありませんか?
この“ユーザーを追いかけて表示させる広告”がリターゲティング広告です。リターゲティング広告は、ユーザーが「閲覧したページ」「サイトに訪問した日時」のデータを利用して広告を表示させます。
一方で、アドレサブル広告は「何を購入したのか」「いつ購入したのか」などの自社データを利用します。したがって、リターゲティング広告よりも詳細な情報をもとに広告を配信できるのです。
「より一人ひとりに最適な内容の広告を表示させたい」「優先度が高いユーザーからアプローチしたい」場合は、アドレサブル広告の利用が向いています。
このまえ、シニヤン先輩がちらっと話題に出していたのを思い出したんです!CRMを広告に活用することで、費用対効果を上げることができるって!それで……。
よく覚えてたねえ。そうそう、アドレサブル広告の特徴は、CRMのデータを活用した「精度の高いターゲティング」で、効果的な広告配信ができることなんだ!
アドレサブル広告のメリット
CRMデータを活用するアドレサブル広告には、以下の2つのメリットがあります。
- より精密で効果的なアプローチができる
- 個人情報保護法の影響を受けにくい
各メリットを詳しくみてみましょう。
より精密で効果的なアプローチができる
アドレサブル広告では、企業に蓄積されたCRMデータを活用することで次のような精密なターゲティングが可能です。
- 性別や年齢、住所や職業などの属性情報
- 過去に買った商品やお問い合わせ、申し込み履歴などの行動履歴
そのため、購入やお申し込みなど「コンバージョンにつながりやすいユーザー」を絞り込めます。広告コストを抑えつつ、より精密で効果的なアプローチが実現できるのです。
個人情報保護法の影響を受けにくい
Cookieとは、閲覧したWebサイトからユーザーの端末内ブラウザに一時的に保存される、行動に関する情報です。たとえば、「いつサイトを訪問したのか」「訪問回数」「ID・パスワード」など、さまざまな情報が記録されます。
「広告のターゲティングがしやすい」「パスワードがなくても会員ページにログインできる」など、Cookieにはメリットもあります。
しかし、近年は個人情報保護の観点から、Cookieデータの広告配信への活用が難しくなってきていました。アドレサブル広告は、Cookieではなく自社のCRMデータを利用します。そのため、個人情報保護法やCookie規制などの影響を受けずに広告配信を行うことが可能なのです。
う~ん、知れば知るほど魅力的な広告ですね!どんどん活用していっちゃおうっと!
メリットが豊富なのは事実なんだけど、デメリットがあることも押さえておかないといけないよ。
え?アドレサブル広告のデメリット!?
アドレサブル広告のデメリット・注意点
精密なターゲティングができて個人情報保護法にも対応しているアドレサブル広告。一見メリットしかないように思えますが、実はデメリットも存在しているため注意が必要です。アドレサブル広告のデメリットは、以下の2点です。
- 顧客のデータ数に左右される
- 膨大なデータ分析が欠かせない
どのようなことなのか、詳細をみてみましょう。
顧客のデータ数に左右される
アドレサブル広告でターゲティングする際は「商品購入履歴」や「申し込み」などの詳細なデータを要します。このとき、そもそもCRMのデータ数が少ないと、媒体が保持するデータとマッチングすることすらできません。
そのため、まとまったサンプル数を保有する必要があります。アドレサブル広告を配信したい企業は、初めに顧客データの蓄積を行いましょう。
膨大なデータ分析が欠かせない
いくら大量に顧客データを保有していても、そのデータが活用できる形になっていなければ有効活用することはできません。「データがあちこちに散らばっている」「データの形式が違う」という場合は、まずデータを整理する必要があります。
そのうえで、分析を行ってターゲティングに活用できるものにする必要があるのです。データを整理する作業だけで多くの時間や手間を要しますし、ノウハウがなければデータ分析はできません。
「CRMのデータを丸ごとアップすればいい」というわけではないので、注意しましょう。自社にリソースやノウハウがない場合は、マーケティングや広告配信に詳しい企業の手助けが欠かせません。
なるほど~、たしかにデータが少なくてもダメですし、多くても活用できる形になっていなければ広告配信はできませんよね……。気をつけますっ。
うんうん。ここをちゃんと理解できていれば、アドレサブル広告の活用を成功させられると思うよ。ところで、ビギニャー君はどんな方法でアドレサブル広告を活用したいと思っているのかな?
そうですね。たとえば……。
アドレサブル広告の活用事例
アドレサブル広告は、「新規顧客」「既存顧客」それぞれに向けたアプローチが可能です。目的に合わせてうまくターゲティングできれば、より高い効果を発揮してくれるでしょう。
- 「新規顧客」の獲得を有利に
- 「既存顧客」へのアプローチや掘り起こしに
以下では、活用方法の事例を詳しく解説します。
「新規顧客」の獲得を有利に
アドレサブル広告は、新規顧客を有利に獲得したいときに活用できます。まず、自社顧客のデータの中から優良顧客のデータを分析します。そして、そのデータと同じ特徴をもつユーザーをターゲットに広告を配信するのです。
自社の顧客と同じ特徴をもつ人は、自社の製品やサービスに興味を持ってくれる可能性が高い傾向にあります。そのため、購入やお申し込みにつながりやすいユーザーを獲得しやすくなります。
「既存顧客」へのアプローチや掘り起こしに
アドレサブル広告は、既存顧客へのアプローチや掘り起こしにも高い効果を発揮してくれます。たとえば、次のような施策が実施できます。
- 顧客の購入履歴をもとにクーポンを配信する
- 購入角度が高い優良顧客にキャンペーンの広告や新商品の広告を配信する
- 休眠顧客に対して「おかえりキャンペーン」を案内する
このようなアプローチをすることで、リピート率の向上や休眠顧客の減少を目指せるようになります。
ところで。アドレサブル広告の配信先は主に5種類あるんだけど、ビギニャー君はどれを使いたいか考えてる?
えへへ……。実は、そこがまだで……。シニヤン先輩のお知恵を借りたいな~って思ってたんです!
なるほどね!それじゃあ、アドレサブル広告を配信できる媒体の特徴を確認しておこうか!
アドレサブル広告を配信できる媒体
アドレサブル広告に対応している媒体は、主に以下の5種類です。
- Googleカスタマーマッチ広告
- YDN(ヤフーディスプレイネットワーク)広告
- Facebookカスタムオーディエンス広告
- Instagram広告
- Twitterティラードオーディエンス広告
それぞれ特徴が異なるので、自社の商品やサービスと相性のいいものを選びましょう。
Googleカスタマーマッチ広告
自社の持つ顧客データを用いて、Googleでのメールアドレスや電話番号、住所など、登録情報がマッチするユーザーに対して広告配信できます。GoogleやGmail、YouTubeなど出稿先が多様なので、さまざまなユーザーに対してアプローチを手軽に行えるのが強みです。
YDN(ヤフーディスプレイネットワーク)広告
メールアドレスを用いてYahoo!の顧客情報とマッチングを行い、ユーザーの行動履歴に合わせてさまざまな広告展開を行えます。出稿先はクックパッドやExcite、All Aboutなど、パートナーサイトやYahooが提供するサービスなどです。
Facebookカスタムオーディエンス広告
Googleカスタマーマッチ広告と同じように、メールアドレスや電話番号、住所などのデータをもとにマッチするユーザーへ広告を配信できます。
SNSの性質上、登録する情報が多いため、より精密かつ個人の趣味嗜好に対してもターゲティングしやすい点が強みです。広告掲載先としての信頼度が高いので、BtoB広告と相性がよいでしょう。
Instagram広告
基本的にはFacebook広告と同じですが、視覚的なアプローチにより強みを持ちます。また、ユーザー層はFacebookよりも若年層が多めで、プライベートで使うユーザーが多いため、若年層向けの商品やBtoC向けの広告と相性がよいでしょう。
Twitterティラードオーディエンス広告
電話番号やメールアドレス、Twitterユーザー名を用いて、マッチするユーザーへ広告配信できます。SNSの性質上、広告の拡散性が高くなるため、二次拡散などによる広がりが期待できる点が強みです。
アプローチしたい商品やサービスと、どの配信先と相性がいいかを考えて配信することで、アドレサブル広告の効果はさらに大きくなるはずだよ!しっかり考えていこう!
ありがとうございます、シニヤン先輩!
それにしても、データの蓄積・分析……そして活用!ビギニャー君もだんだん広告の知識が身についてきたみたいで嬉しいよ!これからも、一緒に頑張っていこうねえ~!
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