UGC (User Generated Content)とは、ユーザーによって生成されたコンテンツの総称です。この記事では、UGCのマーケティング効果や活用法を紹介します。
昨今のマーケティングにおいて、UGCは非常に重要性を増してきました。ユーザーが生成したコンテンツを活用して、消費者との関係強化やブランディング力の向上を目指しましょう。
先輩、さっき部長にうちの会社のUGCを集めておいてって言われたんですけど、UGCって口コミとかレビューとかのことですよね?集めて何に使うんでしょうか?
あぁ、多分マーケティング施策に活用するんだと思うよ。UGCはマーケティングにいい影響をたくさん与えてくれるからね。
そうなんですか?UGCをマーケティングに活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
INDEX
UGCがマーケティングに与えるメリット・効果
UGC(User Generated Contents)とは、SNS投稿やレビューブログ、電子掲示板への書き込みなど、ユーザーが生成したコンテンツの総称です。UGCは、近年マーケティング分野において重要性が高まっているコンテンツです。
UGCをマーケティングに活用すると、具体的に次のようなメリット・効果が得られます。
- 消費者からの信頼を得られる
- 幅広い層にリーチできる
- 成約率の向上を目指せる
- ブランドや商品の魅力に気づける
- 親近感を抱いてもらえる
- 時間やコストの節約になる
以下では、各項目をみていきましょう。
消費者からの信頼を得られる
企業と利害関係のない一般人のUGCは、消費者から信頼を得やすいというメリットがあります。
消費者のなかには、「企業は商品のいい面しか見せない」と認識している人が少なくありません。商品を宣伝するときにメリットは紹介しても、デメリットについては積極的に紹介しない企業がほとんどでしょう。そのため、企業から発信される情報をそのまま信用することに不安を抱く消費者が多いのです。
一方で、消費者は「一般ユーザーが投稿したコンテンツは信頼できる」と考える傾向にあります。実際に、ECモールやSNSでレビューを見てから商品を購入した経験がある方は多いかもしれません。
自社に関するUGCをマーケティングで活用すれば、消費者から信頼を獲得しながら効果的に商品をアピールできるでしょう。
幅広い層にリーチできる
UGCを活用すれば、幅広いターゲットユーザーにアプローチできるようになります。
とにかく多くの消費者に情報を届けたい場合は、Web広告やSNS広告、インフルエンサーマーケティングなど、さまざまな施策を実施すれば目的を達成できます。しかし、実施する施策・リーチさせるユーザーが多くなるほど費用はかさみますし、クリエイティブ制作・運用の手間もかかるでしょう。つまり、企業の力だけでリーチできるユーザーには限りがあるのです。
一方で、UGCはユーザーが自主的に生成してくれるため、クリエイティブ制作の手間はかかりません。さらに、各プラットフォームに投稿したり拡散したりしてくれるので、企業はコストを抑えて幅広いユーザーへリーチできるようになるのです。
口コミサイトや電子掲示板のユーザーなど、企業だけではリーチしにくい層にも効果的に訴求できます。
成約率の向上を目指せる
UGCの活用は、成約率の向上にも効果を発揮します。
近年、広告よりも口コミやレビューを信頼するユーザーが増えています。商品に関するポジティブなUGCが増えれば、大幅な売上アップを狙える可能性があるのです。
ポイントは、UGCの数を増やすだけではなく、自社のコンテンツやクリエイティブへうまく取り入れていくことです。積極的にレビューを拡散したり引用したりすれば、より高い効果を得られるでしょう。
ブランドや商品の魅力に気づける
一般ユーザーのUGCには、開発者・販売者が把握しきれていないブランドや商品の魅力が含まれることがあります。UGCで新しい発見に出会えれば、今後の施策や商品開発のヒントが得られるでしょう。
例えば、価格を安くするために最低限の機能だけを搭載したパソコンを販売したとします。企業としては「価格の安さ」を全面的にアピールしていたとしても、ユーザーは「動作の軽さ」「誰でも使えるシンプルさ」を魅力に感じるかもしれません。
商品に対する先入観・固定概念がない一般ユーザーだからこそ気づける魅力は、どの商品にも必ずあります。UGCから得られるマーケティングのヒントを、積極的に活用していきましょう。
親近感を抱いてもらえる
UGCは、実際に商品やサービスを使用しているユーザーが発する生の声です。ときには、感想だけではなく動画や写真などのクリエイティブも投稿してもらえるかもしれません。このような一般ユーザーが生成したコンテンツは、親近感を演出してくれるでしょう。
消費者は、一般ユーザーが発する声やコンテンツに自分自身の姿を投影しやすい傾向にあります。遠い存在に感じられるタレントなどを起用した広告では、UGCほど親近感を抱いてもらうことは難しいです。
UGCでブランド・商品に共感や親近感を抱いてもらえれば、より好意的な感情を持ってもらいやすくなります。
時間やコストの節約になる
UGCを活用すれば、時間やコストを大幅に節約できます。
SNS投稿やLP、商品パンフレットなどのクリエイティブをイチから制作することになれば、企画からコンテンツ制作・デザインなど多くの工程が必要になります。そこに、すでに投稿されているUGCを取り入れることで、コンテンツ制作にかかる時間やコストを削減できるようになるのです。
また、UGCからは訴求内容や商品開発のヒントを得ることも可能です。UGCを蓄積して分析すれば、長期的に企業に利益をもたらしてくれる財産になるでしょう。
わわわ、UGCってすごいんですね!こんなにたくさんのマーケティング効果をもたらしてくれるなんて!もしかして、UGCの活用ってすっごく重要なんじゃ……?
その通りなんだよ。これからのマーケティングは、UGCがカギを握っているといっても過言ではないんだ。そんなUGCについて、ビギニャー君はどれくらい知っているのかな?
う~ん。なんとなく口コミとかレビューを指すってことしか知らないです。先輩、UGCについてもう少し詳しく教えていただけませんか?
マーケティングで重要なUGCとは?
UGCは、ユーザーが生成したコンテンツの総称です。これだけを聞いても、その具体例や重要性は理解しにくいかもしれません。
ここでは、UGCへの理解を深めるために知っておきたい3つの知識を紹介します。
- UGCの意味とは
- UGCがマーケティングで重要な理由
- UGCと関連用語の違い
各項目の詳細を説明します。
UGCの意味とは
UGC(User Generated Contents)とは、一般のユーザーが制作・生成したコンテンツを指します。日本語に直すと、「ユーザー生成コンテンツ」という意味です。
UGCの具体例としては、次のようなものが挙げられます。
- SNS投稿
- ブログ記事
- YouTube動画
- ECサイトのレビュー
- 写真共有サイトの投稿
- 電子掲示板の投稿
- UGCに対する感想・レビュー
これらはあくまで一例で、上記以外のものでもユーザーが生成したコンテンツであればUGCに含まれます。
ユーザーの生の声であるUGCは、今や私たちの生活に欠かせない情報源になってきました。消費者にとって重要性が高いUGCは、視点を変えれば、販売者にとっても重要性が高まっていることになります。
UGCがマーケティングで重要な理由
UGCがマーケティングで重要性を増している理由として、次の4つが挙げられます。
- 消費者の購買行動に影響を与えるから
- 多くの企業で活用されているから
- 広告に抵抗感を抱くユーザーが増えたから
- SEOに影響するから
それぞれどのようなことなのか、詳しくみていきましょう。
消費者の購買行動に影響を与えるから
UGCは、消費者の購買意欲喚起に大きな影響を与えます。実際、SNSの投稿やレビューサイトを見て商品購入を決意した経験がある方は多いでしょう。
消費者庁の調査によると、「買い物をするときに評判を気にする人」が6割近くにのぼることがわかっています。広告を意識する人は3割程度なので、広告よりも評判を意識して買い物をする人が多いことが読み取れます。
つまり、現代の消費者の購買意欲を喚起するためには、広告と同等もしくはそれ以上に、UGCの活用に力を入れる必要があるということなのです。
多くの企業で活用されているから
UGCは、すでに多くの企業でマーケティングに活用されています。
「UGCの活用」に関するアンケート(アライドアーキテクツ株式会社調べ)によると、企業の93.8%がUGCの重要性を感じていることがわかっています。さらに、52.0%の企業がマーケティング施策でUGCを活用した経験があると回答しました。
UGCを活用した理由は「信頼感の醸成」や「素材不足の解消」とさまざま。実際にUGC施策を実施した4分の3もの企業が、何らかのパフォーマンスが向上したことを実感しています。
UGCを施策に取り入れる企業は、今後ますます増えていくことが予想されます。競合他社に大きな差をつけられる前に、ぜひ、今のうちから取り組みましょう。
広告に抵抗感を抱くユーザーが増えたから
近年、広告に抵抗感を抱くユーザーが増えたことも、UGCの重要性が高まったひとつの要因となっています。
企業が一方的に情報を発信する広告は、「怪しい」「押しつけ感が強い」と消費者から不信感を抱かれることが増えました。その代わりに、一般ユーザーが投稿する忖度のない生の声に価値を見出す人が増えたのです。
またCookie規制により、リターゲティング広告などの個人関連情報を用いた広告配信が難しくなっていることも影響しています。今後、広告だけで消費者にアピールする戦略では、十分な成果を得にくくなっていくでしょう。
SEOに影響するから
UGCは、SEOによい影響を与える可能性があります。
新鮮で関連性の高いコンテンツ・レビューであるUGCは、ユーザーの検索意図にマッチしていると判断されます。そのため、検索時に優先表示される場合があるのです。
また、レビュー内の文言からロングテールキーワードが発見されたり、サイテーション(引用・言及)が増加したりすることで、SEO評価に影響することもあります。
ただし、UGCが直接的に検索順位を押し上げるわけではないことを理解しておきましょう。「さまざまな要因が重なり、プラスの影響を与えるケースがある」程度の認識にとどめておいてください。
UGCと関連用語の違い
UGCには、意味を混同しやすい関連用語があります。ここでは、区別しておきたい2つの関連用語を見ておきましょう。
UGCとCGMの違い
CGM(Consumer Generated Media)は、日本語で「消費者生成メディア」という意味をもつ言葉です。
UGCがユーザーによって生成された「コンテンツそのもの」を指すのに対し、CGMはUGCによって成り立つ「メディア(媒体)」を指すという違いがあります。例えば、ユーザーのレビューや投稿によって成り立っている食べログや、InstagramなどのSNSが代表的なものとして挙げられます。
つまり、CGMはUGCが生成されるプラットフォームを指すのです。
UGCとインフルエンサーマーケティングの違い
インフルエンサーマーケティングは、SNSなどで影響力を持つ人物(インフルエンサー)と提携し、商品をPRするマーケティング手法です。インフルエンサーが生成したコンテンツは「IGC(Influencer Generated Content)」と呼ばれます。
UGCは一般ユーザーが自発的に生成するコンテンツであり、企業との利害関係はありません。一方で、インフルエンサーは企業と協力関係にあるため、依頼や報酬にもとづいてIGCを生成します。
IGCには企業が希望する内容が掲載されていることも多く、純粋なユーザーの意見とは区別しなければいけません。企業は、IGCをあたかもUGCのように取り扱うことがないよう気をつける必要があります。
へぇ~、いろんなものがUGCに該当するんですね!
そうなんだよね。こういうUGCを認知拡大や販売促進に活用することを、UGCマーケティングと呼ぶんだ。
そのUGCをマーケティングに活用するっていうのが、あんまりイメージできないんですよね。UGCマーケティングって、どんなふうに行うんですか?
UGCマーケティングの方法
UGCをマーケティングで活用するときの流れは、次のとおりです。
- ターゲットの特定と理解
- UGCを増やす
- UGCを収集・分類する
- UGCを施策で活用する
- 効果検証と改善
各プロセスの詳細をみていきましょう。
ターゲットの特定と理解
まずは、前準備としてターゲットの特定と理解を実施しておきましょう。
- どのようなターゲットにUGCを見てもらいたいか
- どのようなターゲットにUGCを生成してもらいたいか
- ターゲットがどのような情報を求めているのか
- ターゲットがどのような情報なら共有したいと思うのか
- ターゲットがどのようなプラットフォームを利用するのか
このような情報を整理できれば、取るべき施策や重要視すべきプラットフォームが特定できます。情報を整理するためにも、既存顧客の分析やペルソナ設計、カスタマージャーニーマップの作成などを行いましょう。
UGCを増やす
UGCマーケティングを行うときは、素材となるUGCの数を増やすことが大切です。
ユーザーが自発的にUGCを投稿したくなるよう、次のような方法で「話題にしやすい環境」を整えてあげましょう。
キャンペーンを実施する
特定のハッシュタグを付けて投稿したり、レビューを投稿してくれたりしたユーザーに対し、何らかの特典を提供するキャンペーンを実施します。新商品の発売や季節のイベントなど、特別なタイミングでの実施が効果的です。
参加型のイベントを開催する
ユーザーが参加しやすいイベントを開催するのも、非常に有効です。ポイントは正解・不正解がなく、楽しく話題にできるイベントを開催することです。「アレンジレシピ、あなたはどっち派?」「(商品)あるある教えて!」など、共感や議論が生まれやすいトピックを用意すると、気軽にSNSで発信してくれるユーザーが増えるでしょう。
インフルエンサーを活用する
インフルエンサーの活用も、UGC生成に有効です。インフルエンサーのファンが話題にしてくれるのはもちろん、IGCを見て興味を抱いたユーザーによるサイテーションが狙えます。インフルエンサーを起用するときは、PR案件であることを隠して広告する「ステルスマーケティング(ステマ)」にならないよう注意しましょう。
ファンと交流する
UGCを多く獲得したいなら、日常的にファンと交流することがおすすめです。親近感を抱けるブランドであると認識してもらえば、SNS投稿を引用してもらえたり関連情報を投稿してもらえたりする可能性が高まります。
UGCを収集・分類する
次に、投稿してもらったUGCを収集します。インターネットやSNSでブランド・商品について検索するのはもちろんのこと、レビューを依頼したい旨のメールを送っても良いでしょう。
集めたUGCは、分類して管理しましょう。
- 使用感に関する意見
- 味に関する意見
- 価格に関する意見
- パッケージに関する意見
- よい意見
- 悪い意見
このように内容に応じてUGCを分類しておけば、クリエイティブや訴求に適した素材を見つけやすくなります。
UGCを施策で活用する
UGCを用意できたら、施策で活用しましょう。UGCの活用例としては、次のようなものが挙げられます。
LPやサービスページへの利用
商品を訴求するLPにUGCを盛り込めば、訴求力を大幅に向上させることが可能です。「ユーザーの意見が掲載されているLP」と「ただ訴求ポイントを並べるだけのLP」を比較したとき、前者のほうが信頼感を抱かれやすいことは想像できるでしょう。
また、LPにレビューを掲載すれば、ユーザーが他のサイトでレビュー検索することを防げるというメリットもあります。ユーザーの離脱を減らせるため、機会損失を防げます。
広告クリエイティブへの利用
SNSに自社の商品やサービスに関する感想やレビューが投稿されている場合は、それを引用して広告クリエイティブとして活用することが可能です。例えば、Instagramに投稿されたレビューをチラシやサービスサイトに掲載する活用法が挙げられます。
クリエイティブ制作のリソースを抑えられるうえ、信頼性も高められる一石二鳥の施策です。
SNS投稿への利用
UGCは、SNS投稿にも利用できます。
プロモーション投稿で引用するのはもちろんのこと、拡散したり返信したりすることも有効です。一般人の投稿であるUGCはタイムラインに溶け込みやすいので、特にSNS施策との相性がよい傾向にあります。
ユーザーによる新しい発見や想定外のユニークな使い方に関するUGCは、多くの関心を集め話題作りに最適です。うまくいけば、爆発的な拡散が狙えます。
商品開発への利用
UGCは、サービス改善や次回の商品開発にも役立ってくれます。開発者・販売者だけでは気づけなかった新しい発見は、積極的に吸収していきましょう。
利用ユーザーの全員が、ポジティブな感想をUGCとして投稿してくれるわけではありません。なかには、ネガティブな投稿をするユーザーもいることでしょう。
大切なのは、ポジティブな意見とネガティブな意見の両方に向き合うことです。特に、ネガティブな意見には商品・サービスをよりよくするヒントが隠れているので、しっかりと受け止めましょう。
効果検証と改善
UGCマーケティングを実施したあとは、効果検証と改善を繰り返すことが大切です。効果検証の際は、複数の評価指標を用いることを推奨します。
- エンゲージメント率
- ハッシュタグの数
- フォロワー数
- CVR
- リンクのクリック数
- 認知度調査 など
上記のような指標を活用して、「どのUGCがどの成果に結びついたのか」「ターゲットや活用するUGCは適切だったか」を分析しましょう。
効果検証と改善を繰り返すことで、少ないリソースで最大の利益を生み出すUGCマーケティングが目指せるようになります。
流れはこんな感じかな。ちなみに、UGCが発生しやすい商材と発生しにくい商材があるから、それも考慮してマーケティング施策を練る必要があるよ。
そうなんですか!?UGCって、どんな商材と相性がよいのでしょうか?
UGCが発生しやすい商材・発生しにくい商材
商材・サービスのなかには、UGCが発生しやすいものと発生しにくいものがあります。UGCマーケティングはメリットの多い施策ですが、残念ながらすべての商材と相性がよいわけではないため注意が必要です。
以下では、UGCが発生しやすい・発生しにくい商材を解説します。
UGCが発生しやすい商材
UGCが発生しやすいのは、次のような商材です。
- 有形商材
- 隠れた便利商材
どのようなことなのか、詳しくみていきましょう。
有形商材(写真や動画として投稿できる商品)
写真や動画でアピールできる有形商材は、UGCが発生しやすい傾向にあります。文章だけで説明しなければいけない無形商材と比べ、コンテンツを生成しやすいためです。
日用品やガジェットなどの商材はもちろんのこと、ホテルや遊園地などの写真に残せる体験・サービスもUGCが発生しやすい傾向にあります。
隠れた便利商材
隠れた便利商品やお役立ち情報も、UGCが発生しやすいでしょう。目からウロコな情報は話題になりやすいですし、「みんなに知ってほしい」「バズりたい」というユーザーの心理を刺激するためです。
同様に、一般商材の裏ワザやアレンジ活用法がある場合は、それを利用するとUGCの生成や大規模な拡散に発展する可能性を秘めています。
UGCが発生しにくい商材
UGCが発生しやすいのは、次のような商材です。
- 無形商材
- BtoB商材
- 高単価商材
- コンプレックス商材
各商材の詳細をみていきましょう。
無形商材(写真や動画として投稿しにくい商品)
UGCが生まれやすい有形商材と対極に存在するのが、無形商材です。例えば、オンライン学習教材やコンサルティングサービス、保険商品などが挙げられます。
このような無形商材はテキストでしか説明できないので、写真や動画に残せる有形商材と比べると、ややUGC生成のハードルが上がります。テキストによるレビューは発生するかもしれませんが、投稿数は増えにくい場合が多いでしょう。
BtoB商材
BtoB商材も、UGCが発生しにくい傾向にあります。
会社で使っているソフトや素材を、わざわざSNSやブログでレビューする人はそう多くありません。企業アカウントやビジネスパーソンをターゲットにしたレビューサイトであれば、UGCが投稿されることもあるでしょう。しかし、BtoC商材と比べると数が少なくなるのは間違いありません。
高単価商材
高単価商材は購入者が限られるため、必然的にUGCも少なくなる傾向にあります。
また高単価商材に関する投稿を、自慢のように感じてしまうユーザーもいます。日本人は謙虚なので、他のユーザーに配慮して高単価商材に関する投稿を控えるケースもあるでしょう。
コンプレックス商材
コンプレックス商材も、UGCが発生しにくいと考えられています。なぜなら、自らのコンプレックスを開示することになるためです。
ただし、コンプレックス商材に関するUGCの少なさを逆手に取り、あえて情報を発信することで注目を集めるという戦略もひとつの手です。近年は、コンプレックス商材のレビューをYouTubeに投稿し、再生数を増やして広告収入を得るクリエイターが増えています。
なるほど~!たしかにBtoB商材とか高い商材って、誰にでも必要な商材と比べると口コミが少ないですよね。UGCマーケティングは、商材との相性を考えて実施しないといけないですね。
そうなんだよね。それにね、マーケティングでUGCを活用するときは、こんなことも意識してほしいんだ。
マーケティングでUGC活用を成功させるコツ
マーケティングでうまくUGCを活用するためにも、以下のポイントを意識しましょう。
- 情報の鮮度に気をつける
- 目的に合わせてUGCを生成・収集する
- ユーザーの感情を刺激する
- UGCを運用する
- UGC活用ツールを導入する
各項目の詳細を説明します。
情報の鮮度に気をつける
UGCを活用するときは、情報の鮮度に気をつけましょう。なぜなら、口コミを確認するときに投稿日を気にする人が多いためです。
あまりにも古いUGCを活用すると、「参考にならない」「UGCが少ない不人気商品なのかな」と思われるおそれがあります。UGCが逆効果になってしまうことを防ぐためにも、常に最新のUGCを活用しましょう。
常に最新のUGCが必要になるということは、継続的にUGCを獲得し続ける必要があるということです。一時的なUGC施策では成果につながりにくいので、長期的に取り組む必要があることは押さえておきましょう。
目的に合わせてUGCを作成・収集する
活用すべきUGCの種類は、企業が達成したい目的やユーザーのニーズによって異なります。
例えば、「認知拡大を狙った施策に適したUGC」と「商品理解を促すUGC」、「リピートを促すUGC」では最適な内容が大きく異なりますよね。目的に合わせてUGCを作成・収集し、必要に応じて使い分けられるようにしておきましょう。
ユーザーの感情を刺激する
UGCの投稿を促すときや利用するUGCを選ぶときは、「ユーザーの感情を刺激すること」を意識してみてください。
- 有益な情報だからみんなに伝えたい
- おもしろそうだからやってみたい
- 自分も得したい
このような感情を刺激できれば、積極的なUGCの投稿や購買行動につなげられます。
また、リアクションなどの交流でユーザーとの繋がりを構築し、信頼感・親近感を抱いてもらうことも有効です。「このブランドは自分にとって特別」「お得意様だとアピールできる」という優越感や特別感を演出できれば、何度もポジティブなUGCを生み出してくれる熱狂的なファンになってくれるでしょう。
UGCを運用する
UGCは単に集めて活用するだけではなく、運用することが大切です。
Web広告は、成果に応じて広告文やクリエイティブ、予算などを最適化しながら運用することで、成果の最大化を目指しますよね。同じように認知拡大やCV向上を目的とするUGCマーケティングにおいても、成果に応じた最適化は不可欠なのです。
- クリエイティブなどに活用する
- 効果測定・改善する
- 分析をもとに新しいUGCを生成する
上記のサイクルを繰り返すことで、さらに大きな成果につなげられるようになります。
UGC活用ツールを導入する
UGCの活用や運用で高い成果を得るには、UGC活用ツールの導入が有効です。
UGC活用ツールは、文字通りUGCを管理・活用するためのツールで、次のような機能が実装されています。
- UGCの自動収集
- UGC生成を促すアクションの自動化
- 収集したUGCのWebサイト表示
- 二次利用に関する承認獲得支援
- 効果測定
- 活用するUGCの最適化
UGC活用ツールは、必ず導入すべきシステムではありません。しかし、本腰を入れてUGCマーケティングに取り組みたい企業の場合は、導入しておくと業務を大幅に効率化できます。費用対効果をよく検討し、自社にとって必要かどうかを判断しましょう。
ちなみに、UGCは使い方によってはトラブルの原因になることもあるんだ。
え!?そうなんですか?どんなトラブルに発展するリスクがあるのでしょうか?
権利関係とか広告規制とかに気をつけないと、会社の信用を大きく落としてしまう可能性があるんだよ。
UGCをマーケティングに活用するときの注意点
UGCは、マーケティングで活用できる便利な素材です。しかしその一方で、使い方に注意しなければトラブルのリスク要因にもなるため、気をつけながら利用する必要があります。
UGCを活用するときに注意したいのは、以下の3つのポイントです。
- コンテンツのクオリティをコントロールしにくい
- 意図しない形で拡散されるリスクがある
- 広告規制に抵触するおそれがある
- 権利侵害に注意する必要がある
- ネガティブレビューへの対応に気をつける
各項目をみていきましょう。
コンテンツのクオリティをコントロールしにくい
UGCは、ユーザーによって生成されるコンテンツです。プロが作るコンテンツではないため、テキストや画像、動画などのクオリティをコントロールしにくいというデメリットがあります。
不適切な表現が含まれるUGCや写真・動画が見にくいUGCの場合、いくらポジティブな意見が記載されていても、マーケディングで活用することは避けるべきです。利用するUGCは、しっかりと見極めましょう。
意図しない形で拡散されるリスクがある
UGCは、必ずしも企業の思惑通り生成されるものではありません。ユーザーが自主的に生成するUGCは、クオリティのみならず内容のコントロールも難しい傾向にあります。
例えば、ラグジュアリーで静かに食事が楽しめることをアピールしたい飲食店があったとします。しかし、「インスタ映えする料理がある」「観光スポットとしておすすめ」と拡散されてしまえば、若者や外国人観光客が増えてしまう可能性があります。
もちろん、若者や外国人観光客が悪いというわけではありません。しかし、意図しない情報が拡散されたことにより、飲食店の雰囲気が変わってしまったり従来の顧客が来店しにくくなったりと、目的と違う結果に結びついてしまうおそれがあるのです。
UGCを生成・活用するときは、内容にも気をつける必要があります。
広告規制に抵触するおそれがある
広告を目的としたコンテンツを制作するときは、広告規制に気をつけなければいけません。事実以上に商品をよく見せたり医薬品でもないのに効果・効能を謳ったりする広告は、法令違反だと判断されるおそれがあります。
対して、一般ユーザーが生成するUGCは広告目的ではないため、広告規制は適用されません。しかし、UGCを広告目的のクリエイティブに利用するときは、広告規制を遵守する義務が生じます。
押さえておきたい代表的な広告規制は、次のとおりです。
- 景品表示法
- 不正競争防止法
- 薬機法
- 健康増進法
例えば、Instagramで愛用しているサプリメントを紹介し、個人の感想の範囲で「ダイエットに成功した」と発信することは問題ありません。しかし、この投稿が企業から提供を受けたPR案件だったり、企業が当該投稿を広告目的で拡散したり転載したりすれば、法令違反になってしまうのです。
たとえ「個人の体験談です」と注釈をつけても、広告規制の適用外になることはないので気をつけてください。
権利侵害に注意する必要がある
UGCはユーザーが自作したコンテンツであるため、知的財産権は作成したユーザーに帰属します。本人の許可なくUGCを使用すると、著作権侵害に該当する可能性があるため注意しましょう。
また、画像にユーザーの顔がはっきりと認識できる場合、肖像権の侵害になることもあります。UGCを利用したいときは、その旨を作成者に伝えて許可を得てください。
ネガティブレビューへの対応に気をつける
生成されるUGCには、ネガティブな意見が含まれる可能性もあります。
なかには、悪い評価をつけられて気分を害してしまう方もいるでしょう。しかし、ネガティブな意見にこそ、真摯に向き合うことが大切です。
ネガティブレビューは、可能な範囲であえて公開しましょう。そして、謝罪やサービス改善などを通して丁寧に対応してください。ユーザーの意見に向き合っていることをアピールできれば、信頼性向上や信頼回復のチャンスにつなげられる可能性が高まります。
ただし、あまりにもネガティブレビューが多い場合や対応が不適切な場合は、マイナス効果になってしまう場合もあります。受け取り方は一人ひとり違うので、ユーザーを不快にさせることがないよう、慎重に対応することが大切です。
よかれと思って使ったUGCが、法令違反やイメージダウンにつながることもあるんだ。UGCの活用には、知識やノウハウが必要なんだよ。
僕はまだ知識に不安が多いので、先輩に相談しながら利用することにします!ところで先輩、UGCをマーケティングに活用して成功を収めた企業ってあるんですか?
もちろん、たくさんあるよ。例えば……。
UGCをマーケティングに活用した成功事例
UGCの活用でマーケティングを成功させた企業の事例を3つ紹介します。
ビアボール
サントリーのビアボールは、アンバサダーとしてインフルエンサーを起用しています。
若者のビール離れが加速するなか、あえてミレニアル・Z世代をターゲットにマーケティングを展開。若者に人気のTikTokクリエイターを起用して商品をPRし、話題作りや二次拡散に成功しています。
また、「自分好みにカスタマイズできるビール」という商品の強みを活かし、各クリエイターに自分なりのビアボールの楽しみ方を発信してもらう企画を実施。エンターテイメント性の高いPR施策が注目を集め、今では一般ユーザーによる多くのアレンジレシピが投稿されています。
Airbnb
Airbnbは、空き部屋を貸したい人(ホスト)と部屋を借りたい旅人(ゲスト)をつなぐWebサービスです。近年メディアで取り上げられることが増えたので、名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
Airbnbは、ツイッター上で「#OneLessStranger」というハッシュタグを使ったキャンペーンを実施。世界中の人々が、知らない人に対して優しい行為をしている写真やストーリーを募集しました。ハッシュタグを付けた投稿は爆発的にシェアされ、キャンペーン開始から3週間後で300万人を超えるユーザーが参加しています。
Airbnb公式は、ユーザーがタグ付けしたコンテンツを積極的にリポスト。UGCを利用し、エンゲージメントやフォロワーの増加、認知拡大に成功しています。
オイシックス
ミールキットや食材のサブスクリプションサービスを提供する「オイシックス」も、UGCマーケティングに成功しています。
オイシックスは、LPにUGCを活用。商品を購入してくれたユーザーが生成したInstagram投稿を、「利用者さまの声」としてLPに盛り込んでいます。顧客の声をキャッチコピーやベネフィットを紹介するコンテンツに活用することで、CVRの向上に成功しました。
さらに、Instagramでは自社商品を使った投稿を積極的に募集しています。プレゼントキャンペーンを実施して、多くのUGCの獲得につなげています。
初めての企業でも、SNSを活用すればUGCマーケティングは気軽に実施できるんだよ。他の施策に比べて実施ハードルはかなり低いから、気になるならチャレンジしてみるといいかもしれないね。
ふむふむ、勉強になりました!先輩、ありがとうございます。
いえいえ、どういたしまして。それじゃあ、部長に頼まれたUGC集めを頑張って終わらせちゃおうか~!
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