SNSマーケティングとは、InstagramやX(旧:Twitter)などのSNSを活用して、商品・ブランドを宣伝したりユーザーと交流したりするマーケティング戦略です。
この記事では、これからのマーケティング活動に不可欠なSNSマーケティングの始め方や効果、成功事例を解説します。SNSを上手に活用すれば、大幅な売上アップやファンの獲得も夢ではありません。企業や個人を問わず、ぜひ挑戦してみてくださいね。
ビギニャー君、うちの会社でもSNSマーケティングに力を入れることになったから、Xアカウントの運用をお願いできるかな?
Xはいつも使っているので構いませんが、僕SNSマーケティングなんてやったことないから、ちゃんとできるか不安です……。
SNSマーケティングの始め方をしっかりと教えるから大丈夫だよ。まずやってほしいのは……。
INDEX
SNSマーケティングの始め方
SNSを活用して顧客と交流したり売上アップを狙ったりするSNSマーケティングは、近年重要性が高まっている戦略のひとつです。なんとなく「やらないと」と思っていても、効果的なやり方や始め方がわからず、なかなか挑戦できていない企業は多いかもしれません。
SNSマーケティングは、次の手順で始めることが可能です。
- SNSマーケティングのKGI・KPIを決める
- ターゲットを明確にする
- 利用するSNSを決める
- アカウントの方針と施策を決める
- 運用の準備を進める
- 運用とデータ分析を行う
ここでは、各プロセスの詳細を詳しくみていきましょう。
SNSマーケティングのKGI・KPIを決める
最初にSNSマーケティングを実施する目的(KGI)を決定しましょう。目的によって、アカウントの運用方針や発信すべき内容が異なるためです。
例えば、認知拡大を目的としているなら新商品に関する情報の発信がメインになるでしょう。顧客との交流が目的なら、親しみやすさを前面に出したキャラクター作りが肝となります。目的を明確にしないと、実施すべき施策や発信の内容がぶれてしまうので注意が必要です。
また、KGIを達成するために必要な中間目標(KPI)もあわせて設定しておきましょう。例えば、「SNSからのサイト流入を1日当たり〇人にする」「1か月でSNSの総フォロワー〇人を目指す」などのKPIが挙げられます。
ターゲットを明確にする
次に、ターゲットを明確にしましょう。SNSマーケティングは、精度の高いターゲティングが可能な施策です。誰に情報を届けたいのかを明らかにして、効率よく成果につなげていきましょう。
ターゲットを整理するときは、対象者のプロフィールや行動などを細かく設定した「ペルソナ」を設計することが有効です。また、ペルソナが商品を認知してから購入に至るまでの行動を可視化する「カスタマージャーニーマップ」の作成も役立ちます。
情報を届けたいユーザー像とその人の行動・心理状況をしっかりと整理すれば、この先の具体的な戦略立案を効率化できます。
利用するSNSを決める
各SNSには異なった特徴があり、ユーザー層も大きく違います。KGIとターゲットをふまえ、活用するSNSとアカウントの方針を決めましょう。
また、公式アカウントを運用したいのか、インフルエンサーマーケティングをしたいのかなど、実施したい戦略によっても最適なSNSは変わってくるでしょう。目標達成の近道となるSNSを見極め、必要であれば複数活用することも検討してみてください。
アカウントの方針と施策を決める
アカウントの方針やSNSマーケティングで実施する具体的な施策を決めていきます。
利用するSNSの種類によって、アカウントの方針や最適な施策は変わります。例えば、Xで公式アカウントを運用するのであれば、リポストキャンペーンを実施して認知拡大を狙うとよいかもしれません。Instagramを利用するのであれば、ユーザーの投稿を引用して活用例を紹介したり、インフルエンサーマーケティングを実施したりする施策が有効です。
もちろん、企業の目的や商材によって最適な施策は異なるため、上記の限りではありません。商材とターゲットへの理解を深め、自社にとってベストなアカウント方針と施策を見極めましょう。
具体的な施策が決まったら、施策ごとのKPIを設定します。「インフルエンサーAの投稿でリーチ数〇を目指す」「1ポストあたり〇いいねを獲得する」などが、施策ごとのKPIの例として挙げられます。
運用の準備を進める
施策の大枠が決定したら、運用の準備に入っていきましょう。
必要な準備の一例として、次のようなものが挙げられます。
- アカウント運用者の決定
- アカウント運用マニュアルの作成
- トンマナの決定
- トラブル対応フローの決定
- 投稿内容の企画
- コンテンツ制作
上記の業務をすべて自社でまかなうことが難しい場合は、SNSマーケティングに詳しい企業に委託することもひとつの手です。
運用とデータ分析を行う
ここまで準備ができたら、あとは投稿を開始するだけです。ターゲットや設定した目標をふまえて情報発信をしていきましょう。
SNSマーケティングで大切なのは、一貫性のある運用をすることです。「お役立ち情報を発信する」「とにかくたくさん交流する」など、軸となるテーマをひとつ用意しておくことをおすすめします。
運用をスタートしたあとは、必ずデータの分析を行ってください。SNSのいいところは、ユーザーの属性や行動などを細かく把握できる点です。KPIの達成度合いやユーザーの反応を振り返り、成功した理由や失敗した理由、どうすれば課題を改善できるのかを定期的に見直してみましょう。
SNSマーケティングって聞くと難しく考えてしまうかもしれないけど、SNSを通じて有益な情報を提供したりユーザーと交流したりするだけでも効果的なんだ。
そ、そうなんですか……?さっき先輩は「SNSによって最適な施策は異なる」って言っていましたが、今回僕が担当するXではどのような施策が有効なのでしょうか?
それを知るには、各SNSの特徴を知っておく必要があるんだ。代表的なSNSのプラットフォームと特徴を説明しておくね。
SNSマーケティングで活用されるプラットフォームの種類と特徴
SNSは、プラットフォームによって投稿の形式やユーザー層が大きく異なります。ユーザーがSNSに求める情報や利用する目的も変わってくるため、それをふまえたうえで利用するプラットフォームを選ぶことが大切です。
SNSマーケティングで活用される主なSNSは、次の6つです。
- X(旧:Twitter)
- LINE
- YouTube
- TikTok
以下では、代表的なSNSの種類と特徴についてご紹介します。
Instagramは、画像投稿を中心としたSNSで、10~30代の女性を中心に、40代以上の年齢層や男性にも活用されています。国内の月間アクティブユーザー数は、3,300万人(2019年6月時点)です。※
通常の画像投稿だけではなく、ライブ配信機能や24時間で消えるストーリーズ機能も搭載されており、視覚的な訴求に特化しています。ビジュアル面をアピールしたい商材や、トレンドやおしゃれに敏感な層へのアプローチに適しています。
インスタグラマーと呼ばれる影響力が強い人物を活用する、インフルエンサーマーケティングが盛んなプラットフォームです。また、親会社のFacebookが蓄積したユーザーデータを活かした、精度の高い広告機能も非常に魅力的です。
X(旧:Twitter)
短文のテキスト投稿を中心にコミュニケーションを取るX(旧:Twitter)は、高い拡散力が魅力のSNSです。文字だけの投稿やボタンひとつでシェアできる手軽さが支持されて、老若男女に利用されています。国内の月間アクティブユーザー数は、4,500万人(2017年10月時点)です。※
無料で利用できますが、サブスクリプション型のプラン「X Premium」に加入すれば、長文や長尺の動画を投稿することも可能です。とにかく気軽に投稿・交流できる点が魅力のSNSなので、親しみやすく有益な情報発信を心がけると、アカウントにファンがつきやすくなります。
また、リポストによる爆発的な拡散が起こりやすい傾向にあります。他にも、ハッシュタグやトレンド検索を活用した戦略で、認知拡大やリーチ数増加を狙うことが可能です。
世界でもっともユーザー数が多いFacebookは、実名や学歴、仕事などの情報を登録する実名制のSNSです。精度の高いターゲティングが特徴的で、広告運用がメインの活用法となります。国内の月間アクティブユーザー数は、2,600万人(2019年7月時点)です。※
広告だけではなく、投稿もユーザーの興味・関心にもとづいて表示されるため、自社と相性のよいユーザーを狙い打ちしたいときに最適です。日本のユーザー数は少ないですが、商材によっては高い効果を発揮してくれます。
30代以降のビジネスパーソンが多いため、BtoB商材やターゲットの年齢層が高めの商品のPRに向いています。ビジネスにおける信頼度が高く、Facebookの投稿をきっかけにビジネスチャンスが広がるケースも珍しくありません。
他のSNSに比べるとマーケティング効果は落ちてしまいますが、企業の名刺代わりにアカウントを作成しておいてもよいでしょう。
出典:CNET Japan|フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」–独占ロングインタビュー
LINE
日本の人口の約70%が利用するLINEも、実はSNSの一種です。とにかく幅広い層に連絡ツールとして利用されているので、一気にたくさんのターゲットへ訴求したいときに適しています。国内の月間アクティブユーザー数は、9,500万人(2023年3月時点)です。※
LINEでは、LINE漫画やLINE NEWSなど、関連サービスに広告掲載ができます。他にも、個別チャットやクーポン配布、ショップカード機能など、マーケティングを支援する機能が多数実装されています。
LINEは顧客との関係性構築(CRM)に強いSNSなので、最初にその対象となる「友だち」を増やすことが重要です。まずは広告や他のSNSで友だち登録へ誘導し、そこから関係性を深めていく、というのが理想的な活用方法です。
YouTube
動画プラットフォームであるYouTubeも、SNSマーケティングを実施する企業であれば押さえておきたいところ。あらゆる層に利用されているYouTubeは、特にインフルエンサーマーケティングの市場規模が大きいことで知られています。日本の月間アクティブユーザー数は、6,500万人以上(2020年9月時点)です。※
2021年には、ショート動画をアップロードすることも可能になりました。他にも、ライブコマースやスーパーチャットと呼ばれる機能で、ユーザーと交流したり収益化を図ったりすることが可能です。
Googleが提供するサービスなので、膨大な情報を活用した訴求力の高い動画広告が配信できます。ターゲットや商材を問わず、すべての企業におすすめのプラットフォームです。
TikTok
今もっとも注目を集めているといっても過言ではないのが、TikTokです。TikTokは15秒~3分程度のショートムービーを投稿するSNSで、特にZ世代への訴求効果が高いとされています。国内の月間アクティブユーザー数は、約1,700万人(2021年8月時点)です。※
TikTokでバズった楽曲やアイテム、アイデアは若い世代で瞬く間に広がるので、若年層をターゲットにしている企業は必ず押さえておきましょう。スマートフォンがあれば誰でも動画を投稿できるため、動画制作のノウハウに自信がない企業にもおすすめです。
他にも、ライブ配信機能やハッシュタグ機能が搭載されており、インフルエンサーマーケティングや広告配信との相性が抜群です。今後SNSマーケティングの中核を担うプラットフォームになっていくことは間違いないので、今のうちから活用しておきましょう。
こんな感じかな。各プラットフォームの特徴がわかっていると、どんな施策がいいか考えやすくなるでしょう?
たしかにそうなんですけど……。そもそも僕SNSマーケティングに関する知識があまりないことに今更ながら気づきました……!先輩、SNSマーケティングの詳しい手法や効果を教えていただけませんか?
ありゃりゃ、教えていなかったっけ?いい機会だし、しっかりと学んでおこうか!
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、SNSを活用して商品・サービスが売れる仕組みを作る戦略です。売上アップだけではなく、認知拡大や好感度アップなどを目的に行われることもあります。
ここでは、SNSマーケティングへの理解を深めるために以下の4項目について詳しく解説します。
- SNSマーケティングの手法とは
- SNSマーケティングを実施すべき理由
- SNSマーケティングのメリット・効果
- SNSマーケティングのデメリット
それぞれの詳細をみていきましょう。
SNSマーケティングの手法とは
SNSマーケティングでは、SNSを活用したさまざま施策で目標達成を目指します。
代表的なSNSマーケティングの手法は、次のとおりです。
- 公式アカウント
- SNS広告
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
各手法の概要を説明します。
公式アカウント
SNSマーケティングでもっとも一般的なのが、公式アカウントの運用です。企業アカウントを作成し、情報発信やユーザーとの交流を通じて認知拡大やエンゲージメント向上を目指します。
ユーザーは、自分の意見や投稿に対して企業から個別に反応がもらえると、強い親しみや愛着を抱いてくれるようになります。公式アカウント運用がうまくいけば、一般ユーザーをファンに転換できるかもしれません。
SNS広告
各SNSプラットフォームの広告を活用して認知拡大を図るのも、SNSマーケティングの手法のひとつです。テキストだけではなく、動画や画像を使って訴求できる点、ユーザーの属性や行動にもとづいたターゲティングが可能な点がSNS広告の強みです。
また、一般の投稿にまぎれる自然な形で広告を配信できるところも魅力的。キャンペーンの作成から設定、効果測定までプラットフォーム上で行えるため、初めて広告を配信する方でも安心です。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、SNS上でユーザー参加型のキャンペーンを実施し、認知拡大や売上向上を狙う手法です。
例えば、次のようなキャンペーンが一例として挙げられます。
- ハッシュタグ付きの投稿をしたユーザーにクーポンを配布する
- 活用法のアイデアを募集し、大賞に商品をプレゼントする
- フォロー&リポストしたユーザーに抽選でプレゼントする
このように、特典を用意して一般ユーザーの参加を促すことで、話題作りや関連投稿の増加が狙えます。その結果、参加者が抱く商品への愛着を深めたり、投稿を目にしたユーザーにも興味を抱いてもらえたりするようになるのです。
SNSキャンペーンを実施すると情報が拡散されるため、「バズり」やすくなります。一気に認知拡大したいときは、非常におすすめの手法です。
インフルエンサーマーケティング
近年多くの企業に取り入れられているのが、インフルエンサーマーケティングです。SNSなどで強い影響力を持つ人物(インフルエンサー)に商品をPRしてもらうことで、認知拡大や新しい層へのリーチを狙います。
インフルエンサーマーケティングは、特にInstagramやTikTok、YouTubeと相性がよい手法です。インフルエンサーを支持するファンに商品を購入してもらえたり、拡散したりしてもらったりする効果が期待できます。
成果を出すには、提携を依頼するインフルエンサーの選定が重要になります。インフルエンサーのファンを分析し、自社商材に興味を抱きそうな層にリーチできる人物を選ぶことが大切です。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、SNSを通じてユーザーの声を収集・分析し、マーケティング施策に反映する手法です。SNSマーケティングでは、積極的な情報発信だけではなく、ソーシャルリスニングによる情報収集も重要となります。
SNS上に投稿されるユーザーの意見には、企業がアンケートやインタビューを行うときに得られる意見とは異なる、本音が含まれています。忖度のない消費者の声を戦略に活かすことで、真にユーザーファーストな商品・サービスの提供が可能になるでしょう。
SNSマーケティングを実施すべき理由
今、企業がSNSマーケティングを実施すべき理由として、次の3つが挙げられます。
SNSの利用率が上昇しているから
総務省の資料によると、2022年における日本のソーシャルメディア利用者は1億200万人で、2027年には1億1,300万人に増加すると予測されています。以前は若者がSNSのメインユーザーでしたが、近年は40代以上のユーザーや「テレビや雑誌は見ないけどSNSは見る」というユーザーも増えてきました。
SNSの利用率は年々増加しており、今や私たちの生活に欠かせないツールになっています。それに伴い、SNSを活用する企業も年々増加傾向にあり、新しいマーケティング手法のスタンダードになりつつあるのです。
SNSマーケティングのメリット・効果
SNSマーケティングには、次のようなメリット・効果があります。
認知拡大に役立つ
公式アカウント運用やインフルエンサーマーケティングを実施すれば、大幅な認知拡大を目指せます。また、SNS限定のキャンペーンの実施や魅力的な発信でリツイート(リポスト)を多く獲得することも、認知拡大には効果的です。
ECサイトにも誘導しやすいので、認知から購入までの行動を一気に促せる点が強みです。
ブランディング効果がある
ブランディングの確立で他社と差別化を図りたいときも、SNSマーケティングが効果的です。
独自の世界観やキャラクター設定で発信したり有益な情報を発信したりすれば、「面白くて役に立つアカウントだ」「このブランド、独特で面白いかも」とユーザーの心をキャッチできます。アカウントに対する印象がアップすれば、商品や企業の印象もアップするでしょう。
すぐに情報を届けられる
ターゲットにすぐ情報を届けられる点も、SNSの大きなメリットです。広告や記事を作成しなくても気軽に情報を発信できるので、24時間365日タイムラグなしで新鮮な情報をユーザーに届けられます。
新商品の発売情報や期間限定のセール情報の拡散、店舗の混雑状況の伝達など、さまざまなシーンで役立ってくれるでしょう。
ロイヤルティを向上できる
一方的な発信になりがちな広告とは違い、SNSは双方向のコミュニケーションが可能なツールです。ユーザーと直接交流したり商品の魅力を伝えたりすることで、企業に対して抱く信頼感や愛着である「ロイヤルティ」をアップさせられます。
ロイヤルティが高いユーザーは、リピート購入やSNSで発信してくれる可能性が高くなるため、企業に多くの利益をもたらしてくれるでしょう。
企業・個人を問わずに効果的
SNSを活用する施策は、企業のマーケティング戦略としてはもちろん、個人の認知拡大にも効果的です。リソースや予算が限られている個人でも、SNSマーケティングで大きな成果を得られる可能性があります。
アフィリエイターやフリーランス、ハンドメイド作品を販売する作家などがSNSを活用すれば、集客に役立てられるでしょう。実際、XやTikTokの投稿がバズり、認知拡大や集客に成功しているフリーランスや作家は多く存在しています。
SNSマーケティングのデメリット
メリットが豊富なSNSマーケティングですが、一部デメリットが存在していることも事実です。
気をつけたいSNSマーケティングのデメリットは、次のとおりです。
長期的な取り組みが必要
SNSマーケティングは、すぐに成果につながるとは限りません。インフルエンサーマーケティングや魅力的な投稿でバズったとしても、それが売上に直結しないケースもあります。
SNSマーケティングで成果を出すには、地道にコツコツ取り組んでフォロワーを増やしたりエンゲージメントを高めたりすることが大切です。即効性を求めず、根気強く取り組んでいきましょう。
また、「フォロワー=売上」ではない点にも注意しましょう。フォローしてもらったうえで、目的達成のために必要なアクションを促す施策を実施する必要があります。
運用の負担が大きい
SNSマーケティングは無料で気軽に始められる施策ですが、継続して運用するにはある程度のリソースが必要になります。アカウント運営者や企画・クリエイティブ制作者に負担がかかることは理解しておきましょう。
すべてを自社で行う場合は、少ないコストでSNSマーケティングを実施可能です。しかし、投稿の企画からコンテンツの作成、結果分析まで実施する負担は非常に大きく、必ずしも成果につながるとは限りません。
悪い情報の拡散が早い
伝えたい情報を素早く拡散できる点がSNSのメリットですが、その拡散性の高さはマイナスに働くこともあります。
不適切な投稿や炎上コンテンツは、SNSであっという間に拡散されます。一度炎上すると、企業や商品自体のイメージダウンを招いてしまうため注意が必要です。
戦略的に冗談を言ったりユーザーと親しく交流したりする方針を取る場合も、発言の内容には十分気をつけましょう。企業の看板を背負っていることを忘れずに、あくまで企業対顧客の交流であることを意識しながらSNSを活用することが大切です。
SNSマーケティングって、公式アカウントを運用するだけではないんですね!
そうだね。SNSを活用する戦略全般を指すから、本当にいろいろな施策が含まれるんだよ。
僕もいろんな施策に挑戦してみたいなぁ。先輩、僕みたいな初心者がSNSマーケティングを成功させるには、どのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。
SNSマーケティングを成功させるポイント
SNSマーケティングを成功させるために意識したいポイントは、以下のとおりです。
- プラットフォームのアルゴリズムを把握する
- 商材の向き・不向きを理解する
- 炎上やガイドライン違反に気をつける
- 情報発信を継続する
- 魅力的なコンテンツを発信する
- 本や動画で勉強する
各項目の詳細をみていきましょう。
プラットフォームのアルゴリズムを把握する
まず行ってほしいのが、利用するプラットフォームのアルゴリズムを把握することです。
各SNSには、「誰にどの投稿を表示するのか」を決定するためのアルゴリズムが存在しています。このアルゴリズムを理解したうえでコンテンツを投稿できると、より多くのターゲットに情報を届けられるようになります。
近年は、おすすめ欄に表示される投稿から情報を得るユーザーが増えてきました。そのため、アルゴリズムに高く評価してもらい、おすすめ欄に乗ることが重要です。
例えば、TikTokは公式サイトで「おすすめ」に表示させる動画を決定するアルゴリズムを公表しています。利用したいプラットフォームの公式サイトをよく確認し、どのような投稿が評価されるのかについてしっかりと学んでおきましょう。
商材の向き・不向きを理解する
SNSマーケティングには、向いている商材と向いていない商材があります。すべての商材に効果的なわけではないため、自社商材の特性にあった戦略を立てることが大切です。
SNSマーケティングに向いているのは、次のような商材です。
- 10~30代までをターゲットにする商材
- 口コミを集めやすい話題性のある商材
- オンラインで購入できる商材
- 写真や動画で訴求できる商材
一方で、次のような商材はSNSマーケティングと相性が悪い傾向にあります。
- 高額商材
- ミドル層・シニア層をターゲットにする商材
- ニーズがニッチすぎる商材
- コンプレックス商材
- オンラインで購入できない商材
- 写真や動画で訴求できない商材
ただし、「上記の商材が絶対にSNSマーケティングに向かない」というわけではありません。戦略やターゲットによっては、SNSを使った認知拡大が有効な場合もあります。
炎上やガイドライン違反に気をつける
SNSは便利なツールですが、炎上のリスクと隣り合わせです。企業イメージを下げないように、公式アカウントでの発言はもちろんのこと、提携しているインフルエンサーが不適切な発言をしないように管理しておきましょう。
またSNSのガイドラインに違反すると、アカウントが停止されたり投稿を削除されたりする可能性があります。ガイドラインは定期的に変更されるので、常に最新の情報をチェックしておきましょう。
情報発信を継続する
SNSでの発信はSEOによる流入を狙いにくいですし、発信頻度が低いとユーザーは離れてしまいます。また、古い投稿は露出が減るので、継続的な発信でユーザーの目に触れる機会を増やすことが肝心です。
情報発信を続けることは想像以上に大変なため、途中でSNS運用をやめてしまう企業は珍しくありません。すぐに成果が出なくても、長期的に施策を実施し続ける覚悟が必要です。
魅力的なコンテンツを発信する
SNSマーケティングでは、ユーザーが求める魅力的なコンテンツの発信が不可欠です。価値ある投稿だと思ってもらえなければフォローや拡散をしてもらえないので、情報の鮮度や品質に十分注意しましょう。
しっかりと効果を出したいのであれば、専門知識を持った担当者の育成や、SNSに詳しい企業へ協力を依頼するなどの工夫が必要です。
本や動画で勉強する
SNSマーケティングには、専門的なノウハウが必要です。「とりあえずやってみよう」では成果につながらないので、知識を身につけてからチャレンジすることをおすすめします。
今は、書籍や動画気軽にSNSマーケティングについて学べるようになりました。YouTubeなど、無料で学べるコンテンツを活用してみてもよいでしょう。
ここでは、初心者におすすめのSNSマーケティングに関する書籍を2冊紹介します。
SNS担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書/株式会社グローバルリンクジャパン 清水将之 (著)
SNSマーケティングの概要から主要SNSを活用したマーケティング手法まで、戦略の全体像を一通り説明している入門書です。PinterestやSnapchatなど、これから注目度が高まっていきそうなSNSについて学ぶことも可能です。
成功事例や分析・改善の手法についても解説しているため、具体的な方針や施策を立案するときも役立ってくれるでしょう。
SNSマーケティング100の法則/カーツメディアワークス (著)
SNSマーケティング担当者が知っておきたい100の法則について説明している書籍です。「フォロワーが増えない」「企画が思いつかない」など、SNSマーケティングにありがちな課題を解決するヒントを与えてくれます。
施策を実施し始めた段階の担当者におすすめの一冊です。初心者はもちろん、中級者の方でも多くの学びを得られるでしょう。
ふむふむ、ただコンテンツを投稿するだけではダメなんですね。勉強になります!
そうだね。それに、SNSマーケティングの動向は日々移り変わっているから、最新のトレンドを押さえることも忘れてはいけないんだよ。
【2023・2024】SNSマーケティングの最新トレンド
SNSを利用するユーザーのニーズは常に変化しているため、SNSマーケティングの施策もニーズにあわせて変化させていかなければいけません。
今押さえておきたいSNSマーケティングのトレンドとしては、以下の内容が挙げられます。
- ワンストップ送客の重要性が向上
- ショートムービーの需要が急拡大
- 動画ベースのコミュニケーションへの転換
- AI活用が加速
- クリエイターの存在感がより大きなものに
- フライホイール型の戦略が重要
どのようなことなのか、詳しくみていきましょう。
ワンストップ送客の重要性が向上
効率のよさを重要視する近年の消費者は、とにかく情報収集から購入まで少ない手間で済ませたいと考えています。そのため、SNS上で商品の認知から比較検討、購入まで完結させられる「ワンストップ送客」の重要性が高まっているのです。
海外の一部SNSでは、プラットフォーム上で認知拡大から購入まで完結させられる機能の実装が進んでいます。日本ではまだ浸透していませんが、できるだけユーザーの手間を軽減できる導線を整えることを意識しておくとよいでしょう。
ショートムービーの需要が急拡大
TikTokを皮切りに、ショートムービーを好んで視聴するユーザーが増えました。スキマ時間にサクッとみられるショート動画は特にZ世代と呼ばれる10~20代の若い世代に人気で、多くの流行やヒット商品を生み出しています。
これからSNSマーケティングに取り組む企業は、積極的にTikTokやYouTubeショートへの投稿を検討してみるとよいでしょう。また、InstagramやXでショートムービーコンテンツを投稿することも有効です。
ショートムービー需要とともに押さえておきたいのが、画面を回転させずに視聴できる縦型動画への注目度が高まっていることです。動画コンテンツを制作するときは、縦型動画の活用を意識してみてください。
動画ベースのコミュニケーションへの転換
動画プラットフォームの活性化や5Gの普及により、私たちはいつでも・どこでも動画コンテンツを楽しめるようになりました。その影響で、今後は動画による商品紹介やライブコマース、VR・ARなどを用いたPRなど、見られる・体験できる動画ベースへのコミュニケーションへ転換していくと予想されています。
前項で説明したショートムービーだけではなく、動画を用いた多彩なコンテンツの準備が必要になっていくでしょう。
AI活用が加速
SNSマーケティングにAIを活用することも、今後は重要性が増していくかもしれません。無料で利用できるAIツールもあるので、補助的に導入してみてはいかがでしょうか。
SNS運用は、担当者やコンテンツ制作者の負担が大きい施策です。AIを使ったコンテンツ作成補助や動画脚本の考案、画像制作は、SNSマーケティングの負担軽減やコスト削減に役立ってくれるでしょう。
クリエイターの存在感がより大きなものに
最近の消費者は、企業の発信や完成された広告よりも、ありのままのレビューや等身大のインフルエンサーによる発言を信頼する傾向にあります。そのため今後は、より一般ユーザーに近い立場のインフルエンサーや、個人クリエイターと協業する戦略が不可欠になります。
特に、次のような第三者発信のSNS広告が重要です。
- インフルエンサーに商品を提供して正直な感想を投稿してもらう
- イラストレーターに商品紹介漫画を投稿してもらう
このようなオリジナリティが高いクリエイターのコンテンツは、企業が発信する情報や広告よりもバズりやすい傾向にあります。自社商材と相性のよいクリエイターを見つけたら、ぜひ協力を求めてみてください。
フライホイール型の戦略が重要
フライホイールとは、顧客を中心に営業やカスタマーサービス、マーケティングなどを展開する円形で表現されるメンタルモデルです。株式会社Hubspotによって提唱されました。
このモデルでは、各部門が一連となって協力し合い、興味・関心の獲得からファン化まで目指していくことが重要視されています。組織全体が結束したときにフライホイールがうまく回り、ビジネスの成長が実現します。
特徴的なのは、顧客の満足度を高めることで「口コミをきっかけとした新規顧客の獲得」や「既存顧客のLTVの向上」を目指す戦略を重要視している点です。これからは、購入や新規顧客の獲得だけを目的としていた従来の「ファネル」の考え方から、「フライホイール」に転換していくことが大切です。
動画やクリエイターの活用、フライホイールへの転換……。トレンドを意識しながら戦略を立てるのって大変そうです……!
難しいことばかり話してしまったけど、まずはユーザーのニーズを満たせる情報発信から始めて、少しずつステップアップすれば大丈夫だよ。企業の成功事例を紹介するから、ぜひ今回のXアカウント運用に活かしてみてね。
SNSマーケティングの企業成功事例
SNSマーケティングの成功事例として、企業の取り組みを2つ紹介します。
親しみやすい投稿でユーザーの心をキャッチ!|シャープ株式会社
シャープ株式会社が運用するTwitterアカウントには、大企業の公式アカウントとは思えないほどフランクでユニークな投稿がたくさん。
「共感できる」「クスっとくる」と思わせる投稿で、80万人以上ものフォロワーを獲得しています。しっかりと商品の宣伝やお役立ち情報も織り交ぜつつ、宣伝っぽくないPRに成功しています。
ついつい買いたくなるレシピを紹介!|伊藤ハム株式会社
伊藤ハム株式会社は、Facebookの公式アカウントで自社商品のアレンジレシピを写真とともに公開。季節のレシピや宅飲みレシピ、主婦向けのお手軽レシピは、「チャレンジしてみようかな」と思わせる魅力的なものばかりです。
YouTubeでもお役立ち動画を投稿しており、自社商品のよさを効果的にアピールしています。
ふむふむ。先輩、ありがとうございました!教えていただいたことをふまえて、さっそくアカウントの運用方針や企画を考えてみますっ!
大切なのは、施策の効果測定をして改善していくことなんだ。一度で効果的な施策は実施できないから、あまり気負わずにね。頑張ってね。
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