ライブコマースとは、ライブ配信を通してリアルタイムで商品を購入してもらう販売手法です。
この記事では、売上アップが期待できるライブコマースのサービス内容やメリット、導入方法をやさしく解説します。
中国を中心に普及しているライブコマースが、日本でもマーケディングで活用され始めています。
これからますます注目が高まっていくライブコマースのメリットや始め方を、詳しくみていきましょう。
お、ビギニャー君。スマートフォンで何を見ているの?
あ、先輩!今、ちょうど好きなブランドの服を紹介するライブ配信が行われているんです。気になった服はこの画面から直接買えるので、ついつい3着も買ってしまいました……!
最近話題のライブコマースの配信を見ているんだね。僕も市場調査で使ったことあるけど、便利だよね。
INDEX
ライブコマースとは
ライブコマースとは、中国を中心に広まったマーケティング手法で、現在は日本でも注目を集めています。まずは、ライブコマースの概要をみていきましょう。
- ライブコマースの意味と手法
- ライブコマースが注目されるようになった背景
- 中国・日本におけるライブコマースの市場規模
- ライブコマースと通販の違い
上記の4つのポイントを説明します。
ライブコマースの意味と手法
ライブコマースとは、ライブ配信で商品を紹介したり売ったりする販売手法です。SNSやライブ配信アプリなどを通して企業の担当者やインフルエンサーが商品を紹介します。
視聴者は、動画視聴を通してリアルタイムで質問して商品知識を深めたり、商品を注文したりすることができます。ECサイトを見るだけではわからない商品の魅力や使い方を知ってもらえるので、より多くの情報を視聴者に伝えられる点が大きなメリットです。
ライブコマース発祥の地、中国では、たった1回の配信で1億円以上の売上を達成する事例も少なくありません。
ライブコマースが注目されるようになった背景
ライブコマースが注目を集めるようになった理由には、5G通信の浸透や活用が影響しています。2020年3月より本格的な活用がスタートされた5Gは、「超高速・超低遅延・多数同時接続」を可能とし、現在さまざまな分野で活用されています。マーケティングも、5Gの恩恵を受けている分野のひとつです。
5G通信を活用すれば、ライブ配信をスムーズに行えるようになり、タイムラグ無しで配信者と視聴者がコミュニケーションをとれるようになります。高精細でリアリティのある映像を配信できるため、今まで以上にライブコマースの利便性は高まり、質の高い購買体験が実現できるようになりました。
また、5G通信技術を使えば、外出先やアウトドア中も配信しやすくなります。実際に店舗を訪れて商品を紹介したりキャンプ場からアウトドア用品を紹介したりと、ライブコマースで取り扱える商品の幅は広がっていくでしょう。
さらに、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用すれば、より実店舗や実際の利用状況に近い購買体験を提供できます。技術の進歩により動画コンテンツの利便性が高まった今、ライブコマースはあらゆるジャンルの商品・企業での活用が期待されているのです。
中国・日本におけるライブコマースの市場規模
日本でも注目を集めつつあるライブコマースですが、中国に比べるとその市場規模や認知度はまだまだ低い傾向にあります。
消費者庁に掲載されている資料によると、2019年の中国におけるライブコマースの市場規模は4,338億元(約8兆7,559億円)で、2020年には9,610億元(約19兆3,971億円)に上ると予想されました。(※1)
中国のライブコマース利用者は2億6,500万人で、インターネット利用者の29.3%、ライブ配信利用者の47.3%に相当します。(※2)
一方で、2022年における日本のライブコマース視聴経験者は3.9%にとどまりました。市場規模に関する公式発表はありませんが、中国に比べると市場規模がかなり小さいことはわかるでしょう。
ただし、視聴経験者の購入経験率は54.8%と高い水準を誇るため、利用者の購買意欲は高いことがみてとれます。(※3)
日本にライブコマースの手法が浸透し始めたのは2017年頃ですが、利用するユーザーはまだまだ多くありません。しかし、動画配信技術の向上や自宅で過ごす機会が増えたことをきっかけに、ライブコマースに参入して売上を伸ばしている企業は多く存在しています。
いつでもどこでも顧客とコミュニケーションが取れるライブコマースに、これからますます注目が集まっていくことは間違いないでしょう。デジタルマーケティングがメインとなるECサイトはもちろん、実店舗を構える企業やブランドにとっても、今後ライブコマースが大切な販売活路となる可能性は高いのです。
(※1)1元=20.18 円で計算(2023年8月24日現在)
(※2)出典:消費者庁|ライブコマースの動向整理
(※3)出典:NTTコム リサーチ|「ライブコマース」に関する調査
ライブコマースと通販の違い
ライブコマースと似た販売手法として、通販(通信販売)があります。通販は、店舗ではなく各種メディアを通じて取引を行うビジネス形態です。
インターネットを通じて商品を売る「インターネット通販」や、テレビで商品を紹介する「テレビショッピング」などが挙げられます。動画を通して商品を紹介する点は、テレビショッピングとライブコマースで非常に似ています。
しかし、一方的に情報を届けるテレビショッピングとは違い、ライブコマースでは双方向のコミュニケーションが可能です。ライブコマースの視聴者はチャットを活用して質問や感想を伝えられ、出演者は質問や感想へのリアクションをリアルタイムで行えます。
そのため、より商品の魅力を知ってもらったり、視聴者のニーズに沿った訴求ができたりするのです。ライブコマースは、「双方向のコミュニケーションが可能なテレビショッピング」であるとイメージするとわかりやすいでしょう。
へぇ~、これ「ライブコマース」っていうんですね!初めて知りました!僕の周りでもまだまだ利用者は少ないですけど、これからのマーケティングでは重要度が高まっていきそうですね。
そうなんだよねぇ。ライブコマースがマーケティングに与えるメリットは多いからね。僕も勉強していこうと思っていたところなんだ。
ライブコマースのメリットかぁ。やっぱり動画で商品の魅力を伝えられるのは魅力的ですけど、実際に実施するのって難しそうですよね。デメリットも多そうな気がします。
ライブコマースのメリット・デメリット
ライブコマースをマーケティングに活用すると、多くのメリットが得られます。しかし、うまく準備や運用を進めなければ、企業のイメージダウンにつながるリスクがあることも事実です。ここでは、ライブコマースのメリット・デメリットを紹介します。
ライブコマースのメリット
ライブコマースのメリットは、次の4つです。
商品の情報をたくさん届けられる
写真や動画よりも商品の情報をたくさん届けられるのが、ライブコマース最大の魅力です。配信者の実演販売で使用感や表情、感動などをリアルに伝えられるため、より商品のよさや特長を伝えやすくなります。
特に、アパレルはECサイトで購入したあとに着丈やシルエットで失敗してしまう方が多いので、着用している姿を見られる点は嬉しいポイントでしょう。
商品に詳しい店員から直接接客を受けている感覚で購入できるため、自宅や外出先にいながら店舗のような臨場感のある購買体験を提供できます。ミスマッチを防ぎつつ、お客様の満足感を高められるでしょう。
リアルタイムでコミュニケーションがとれる
配信しながら視聴者のコメントをリアルタイムで見られるライブコマースには、双方向のコミュニケーションがとれるというメリットもあります。従来のECサイトや動画広告では、その時々でユーザーが抱く細かい要望に応じることはできませんでした。
しかし、ライブコマースにはコメント機能があるため、その場で要望に応えたり質疑応答したりすることが可能となります。
商品開発に役立つ
ライブコマースの強みであるコミュニケーションのとりやすさは、商品企画にも活かせます。ライブ配信のコメント欄は、レビューサイトなどに比べると気軽に意見や感想を投稿しやすい傾向にあります。
そのため、チャット感覚で次々にコメントを残してくれる視聴者が多いのです。コメントは履歴として残るので、あとからじっくりと確認や分析ができます。使用者の感想や「こういう商品はないの?」などの要望を蓄積していけば、よりよい商品を届けるヒントになってくれるでしょう。
インフルエンサーマーケティングに適している
インフルエンサーマーケティングとは、影響力を持つ人に商品を使ってもらったり宣伝してもらったりして、認知度の拡大や売上アップを狙う手法です。インスタグラマーやYouTuberにプロモーションを依頼するのが、インフルエンサーマーケティングの代表的な方法です。
ライブコマースでも、インフルエンサーマーケティングを行えます。商材に関連したインフルエンサーにライブ配信で商品紹介してもらうことで、ファンを顧客として取り込める可能性が高まります。
今までブランドに興味を持っていなかった新しい購買層にもアピールできるので、より多くの消費者に商品を知ってもらうキッカケになるでしょう。
ライブコマースのデメリット
単にライブ配信で商品を紹介するだけでは、ライブコマースで売上アップを狙うことは難しいかもしれません。ライブコマースにはデメリットもあるため、注意しながら実施する必要があります。気をつけたいデメリットは、次の5つです。
念入りな事前準備が必要
ライブコマースはライブ配信で行うため、失敗は許されません。したがって、事前準備で万全な体制を整えることが大切です。回線や機材、出演者の不慣れなどが原因で発生する配信トラブルは、視聴者に大きなストレスを与えます。
トラブルが発生しないよう、何度もリハーサルを行いましょう。また、そもそも視聴者を集められなければ、認知度や売上の向上は狙えません。プレスリリースやSNSなどで事前告知して、より多く集客することも忘れないようにしましょう。
イメージダウンに気をつける必要がある
ライブ配信にはたくさんメリットがありますが、反対に「イメージダウンにつながるリスクがある」というデメリットもあります。出演者の些細な言動が視聴者の反感を買えば、企業そのものの印象が下がってしまうかもしれません。
「商品を深く理解していない」「言動に問題がある」などの懸念点がある場合、ライブコマースの出演者には向いていない可能性があります。出演者を選ぶときは、その人の性格や普段の行動についてしっかりと情報を集め、慎重に判断しましょう。
商材に向き・不向きがある
ライブコマースはさまざまな商品のPRに活用できますが、特に向いている商品の特徴がいくつかあります。
ライブコマースに向いている商品の特徴
- 生産者から消費者に直接届けるDtoC商品
- 使用しているシーンをリアルタイムで見せたほうが魅力的な商品
- 1万円以下の安価な商品
例えば、コスメやアパレル、家電、グルメ、日用品などはライブコマースと相性抜群です。反対に、次のような商品はライブコマースと相性が悪い傾向にあります。
ライブコマースに向いていない商品
- 見栄えがよくない商品
- 効果がわかりにくい商品
- 長期的に使用しないと効果が出にくい商品
一例として、健康食品や筋トレ商品などが挙げられます。このような商品をライブコマースで取り扱う場合は、訴求方法やコンテンツの企画内容を工夫する必要があるでしょう。
データを分析しながら実施する必要がある
ライブコマースは、戦略的に実施しなければ成果を得られません。視聴者を集められるエンタメ要素や特典要素を取り入れたり、ターゲット層が見やすい時間に配信したりと、計算しながら実施することが大切です。
また、配信後はデータの分析を行いましょう。視聴者のコメントや年齢層、平均視聴時間などをデータとして蓄積・分析しておけば、よりよい配信や商品開発につなげられます。
イベントや会場によっては禁止されていることもある
イベントや展示会などに出展するタイミングで、集客のためにライブコマースを実施することもあるかもしれません。外部の施設でライブコマースを実施するときは、「ライブ配信が可能かどうか」をあらかじめ確認しておきましょう。
イベントや会場によっては、撮影を迷惑だと感じるお客さんへ配慮するために、ライブ配信を禁止している場合があります。ルールを守らずにライブコマースを実施すると、企業の大幅なイメージダウンにつながるおそれがあるため注意が必要です。
なるほど……。ライブコマースを実施するときは、たくさんの準備やデータ分析が必要になるんですね。奥が深いです。
そうだね。特に事前準備は重要だから、始めるときはある程度のノウハウが必要になるんだよ。
ライブコマースって、どうやって始めればいいのでしょうか?
ライブコマースの始め方
ライブコマースと聞くと、初めて実施する企業は難しく感じてしまうかもしれません。しかし、正しい手順さえ理解すれば、どのような企業でも導入できます。ここでは、ライブコマースの始め方をやさしく説明します。
- 販売する商品とプラットフォームを決める
- 必要な機材や環境を準備する
- 出演者を選ぶ
- 台本を作成して告知する
- ライブ配信を行う
各プロセスの詳細をみていきましょう。
販売する商品とプラットフォームを決める
はじめに、ライブコマースで販売する商品を決めましょう。ライブ配信を行える時間には限りがあるので、企業の商品をすべて紹介することはできません。売り出したい商品をいくつかピックアップし、その商品をメインに紹介していきましょう。
紹介する商品やターゲットによって、適しているプラットフォームは大きく異なります。プラットフォームごとのユーザーの年齢層や興味・関心を把握し、商品と相性がよい媒体を選んでください。ライブ配信と商品購入ページの連携方法はサービスによって異なるので、その点も事前確認が必要です。
必要な機材や環境を準備する
次に、ライブ配信に必要な機材や環境を準備しましょう。スマートフォンさえあれば撮影や配信はできますが、より商品の魅力を引き出すために専用のカメラやマイク、照明などもあると便利です。
また、配信環境も非常に大切です。企業の会議室から配信しても問題ありませんが、環境音が気になったり背景がゴチャゴチャしていたりすると、視聴者のストレスになります。撮影専用のスタジオや店舗、製造工場など、目的に応じて配信環境を変えるとよいでしょう。
出演者を選ぶ
ライブコマースでは、出演者の選定が売上に大きな影響を与えるため、慎重に選ぶ必要があります。インフルエンサーはもちろんのこと、企業のバイヤーや開発担当者、ショップ店員などが出演者となるケースも多々あります。
インフルエンサーを起用することで、一度に多くのファンを呼び込めるようになる点がメリットです。反対に、商品を熟知した企業の人間だからこそ伝えられる熱意や商品の魅力もあるでしょう。どちらがいいと一概にいうことはできないので、状況に応じて判断することが大切です。
台本を作成して告知する
出演者を決めたら、あとは本番に向けて最終的な準備を進めるだけです。ライブ配信にはある程度の臨機応変さが必要ですが、大まかな流れについては台本を作成しておきましょう。
タイムスケジュールやセールストークの内容、質疑応答に割く時間の長さなどは事前に決めておきます。何度かリハーサルを行って、スムーズに進行できるようにしておいてください。
同時にSNSやプレスリリースなどで配信を告知しましょう。インフルエンサーを起用する場合は、その人のSNSでも告知してもらうと、多くの集客が見込めます。
ライブ配信を行う
ここまでの準備が整ったら、ライブ配信を行うのみです。準備してきたとおり、商品の魅力が伝わる配信をしましょう。なお、アーカイブ動画を残しておけば、そこからも商品を売ることが可能です。配信後はデータを分析し、次回の配信や商品開発に活かしてくださいね。
自社で準備を進めることが難しいときは、ライブコマースのサポート事業を実施している企業に相談するのも手だよ。
ふむふむ、勉強になりますっ!ところで、ライブコマースってどんなプラットフォームで実施できるんですか?
そうだねぇ……。例えば、こんなプラットフォームでライブコマースを実施できるよ。
ライブコマースを実施するためのサービス・アプリ
近年、ライブコマースに対応するサービスが増えてきています。ここでは、ライブコマースを実施できるサービスやアプリの代表例をみてみましょう。
- SNS型プラットフォーム
- ECモール型プラットフォーム
- SaaS型プラットフォーム
上記の3種類に分けて、具体的なサービス・アプリを紹介します。
SNS型プラットフォーム
もっとも手軽かつ集客しやすいのが、このプラットフォームです。SNSのライブ配信機能を利用してライブコマースを行えるため、SNSのフォロワーが多い企業におすすめです。
YouTube
2019年より、YouTube動画の下部に商品を広告表示させる機能が搭載されました。圧倒的にユーザー数が多いため、集客しやすい点がメリットです。なお、YouTubeのライブ配信や商品のタグ付けには、一定の条件が設けられているため注意が必要です。
Instagramでは、すでにアパレルブランドやインフルエンサーによるライブコマース配信が盛んに行われており、幅広い年齢層が利用しています。ライブ配信画面に商品をタグ付けすることが可能で、商品の詳細表示や購入にも対応。誰でも無料でライブ配信できるため、さまざまな企業やインフルエンサーに活用されています。
TikTok
TikTokも、ライブ配信を通じたマーケティングが盛んなプラットフォームです。2023年8月現在、日本ではまだライブコマース機能が実装されていません。そのため、ショート動画で商品を紹介し、外部サイトに誘導する手法が多用されています。
しかし、アジア圏ではTikTok上でライブコマースを実施する機能が使えるようになっているため、今後日本でも可能となる可能性は高いでしょう。Z世代を対象とした商材や、インフルエンサーマーケティングと相性がよい傾向にあります。
LIVEBUY
LINEが提供するライブコマースプラットフォームです。LINE Payやクレジットカードと連携することで、ワンタップで商品を購入できるようになる使いやすさが魅力です。LINEが抱える多くのアクティブユーザーを取り込める点がメリットですが、2023年8月現在、新規出店を受け付けていません。
SHOPROOM
ライブ配信プラットフォームである「SHOWROOM」の機能のひとつとして搭載されている、ライブコマースサービスです。アイドルやアーティストの配信者が多く、コラボ商品やプロデュース商品の販売に強い傾向にあります。ただし、ユーザー数が他のSNSほど多くないため、アプローチできる層は限定的です。
ECモール型プラットフォーム
ECモールが提供するライブコマース配信サービスです。ECモールに出店している場合は、アカウントがあれば簡単に配信を開始できます。
楽天市場ショッピングチャンネル
楽天市場が提供するライブコマースサービスです。楽天市場で出品している商品を紹介したり、セールなどのお得情報を発信したりできます。大手ECモールならではの安心感とユーザー数の多さが特徴です。ライブ配信限定のクーポンを配布する店舗も多く、特別感を演出できます。
ライブTV
ライブTVは、au PAYマーケットが提供するライブコマースサービスです。芸人や芸能人を積極的に起用することで、幅広い層のユーザー獲得に力を入れています。Pontaポイントを貯められるため、ポイ活をしているユーザーやポイントを消化したいユーザーの回遊が狙えます。
SaaS型プラットフォーム
自社のECサイト内でライブコマースを配信できるサービスです。自社サイトにある程度集客がある場合は、SaaS型プラットフォームを活用してもよいでしょう。
LIVEkit
最短1日でライブコマースを実施できる手軽さが魅力のサービスです。スマートフォンがあれば、簡単にライブ配信を開始できます。通販支援の実績が豊富な運用会社から企画や撮影、配信、分析のコンサルタントサポートを受けることも可能です。
TAGsAPI
ECサイトに短いコードを加えるだけで、簡単にライブコマースを実装できるサービスです。カスタマイズの自由度が高く、ユーザーは再生ボタンを押すだけでライブコマースを視聴できるため、どのようなECサイトでも導入しやすいでしょう。専任コンサルタントによるサポートも受けられるので、初めてライブコマースを実施する企業でも安心です。
え!?こんなに身近なサービスでライブコマースが実施できるんですね!これなら、僕でも今日から始められそうです……!
サービスによっては即日スタートできるものもあるから、本当に気軽に始められるんだよ。でも、ライブコマースを成功させるには、ちゃんとコツを押さえて実施する必要があるんだ。
そ、そうですよね……。先輩っ、ライブコマースのコツって何なのでしょうか?
ライブコマースを成功させるコツ
単に商品を紹介するだけでは、ライブコマースで成果を出すことはできません。ここでは、ライブコマースを成功に導くために意識したいコツを5つ紹介します。
- あらかじめ目的やコンテンツの内容を決めておく
- 出演者と視聴者のコミュニケーションを促進する
- 楽しんでもらえるコンテンツを配信する
- ブランディングに応じた出演者・内容にする
- タイミング・配信時間を最適化する
各項目の詳細をみていきましょう。
あらかじめ目的やコンテンツの内容を決めておく
ライブコマースを実施するときは、あらかじめ配信の目的やコンテンツの内容を決めておきましょう。ライブコマースの魅力は、視聴者とコミュニケーションをとりつつ臨機応変に対応できる点です。
しかし、うまく進行できなければ、配信の目的やコンテンツの方向性を見失いやすくなります。質問対応に追われたり、話が脱線して言いたかったことを伝えきれなくなったりしないよう、台本はしっかりと用意しておきましょう。また、質問対応や在庫確認をスムーズに行うための準備も必要になります。
出演者と視聴者のコミュニケーションを促進する
ライブコマースを実施するときは、積極的に視聴者とコミュニケーションをとりましょう。ライブコマースの強みは、顧客と交流するなかでブランドや商品のファンを増やせる点です。
特に、ライブ配信を見に来る視聴者はブランドや商品への関心が高い傾向にあるため、心をつかめれば優良顧客やリピータに育成できるでしょう。単に商品を紹介するだけではなく、顧客と交流してエンゲージメントを高める場にできると、よりライブコマースの効果を高められます。
楽しんでもらえるコンテンツを配信する
淡々と商品の特長を伝えるだけのライブ配信は、視聴者にとって楽しいコンテンツとはいえません。離脱を防ぎ購入につなげるためには、継続視聴したいと思わせるコンテンツを配信する必要があります。
商材やターゲットによって好まれるコンテンツは異なりますが、例えば次のような内容は視聴者に楽しんでもらえる可能性があります。
- リアルタイムのお悩み相談コーナー
- メイクやコーディネートの実演
- 調理やテイスティングの実施
- 人気インフルエンサーや芸能人による紹介
ポイントは、押し売りにならないように注意することです。視聴者のニーズをふまえて、多彩なコンテンツを提供することが理想的です。
ブランディングに応じた出演者・内容にする
ライブコマースの出演者は、ブランドを代表する存在です。したがって、ブランディングにマッチした人材を起用することが重要です。コスメを販売するなら美容系インフルエンサー、日用品なら親しみやすい芸能人を起用するなど、出演者の人選を工夫しましょう。
また、ライブ配信の内容もブランディングにあわせる必要があります。例えば、高級商材を取り扱う配信がバラエティー番組のようにカジュアルな雰囲気だと、ターゲットには刺さらないかもしれません。ユーザーのニーズや商材の特性を分析し、それに沿ったコンテンツを作ることが重要です。
タイミング・配信時間を最適化する
ライブコマースは、配信するタイミングや時間も重要となります。例えば学生をターゲットとする場合は、19時以降の夜間に配信すると集客しやすいでしょう。主婦をターゲットとする場合は、休日よりも平日の日中のほうがみてもらいやすいかもしれません。
1回あたりのライブコマースの配信時間は30~1時間、配信頻度は週1~2回程度が目安となります。ただし、ライブコマースの配信時間や頻度に正解はないため、分析を繰り返しながら自社に適した配信スタイルを確立することが大切です。
ライブ配信って、いろいろと考えながら戦略的に実施する必要があるんですね……。成果を出すのは難しそうです。
簡単じゃないのは事実だね。だけど、ライブコマースで成功を収めている企業はたくさんあるんだよ。成功事例を知っておくと、少し希望が持てるかも。
日本企業のライブコマース成功事例
ライブコマースで認知度や売上アップを実現している企業は、日本にも何社か存在しています。ここでは、日本企業におけるライブコマースの成功事例を2つ紹介します。
ユニクロ
株式会社ユニクロでは、ライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」を2020年に開始しました。タレントやモデルなどがユニクロの商品を着用して出演し、視聴者の疑問に答えつつコーディネート紹介などを行っています。
「最新コレクションの世界最速レビュー」や「身長別スタッフ試着会」など、ブランドファンの「気になる!」に応えられるコンテンツを配信。店舗ごとの配信も行っており、実店舗のPRにもつなげています。
資生堂
化粧品メーカーの資生堂も、2020年から日本向けのライブコマースを開始しています。「ベストコスメの発表」や「トレンドメイクテクニックの紹介」など、オシャレに敏感な視聴者に向けたコンテンツを配信。
ライブ配信視聴特典が用意されている特別感も、ユーザーを惹きつける一因でしょう。資生堂は中国向けのライブコマースにも成功しており、順調にECの売り上げを伸ばしています。
へぇ~。なんだか、概要を聞いただけで視聴したくなっちゃうコンテンツばかりですね……!やっぱり、ライブコマースを成功させている企業はコンテンツが魅力的なんですね。
紹介した企業はもともとの知名度も高いんだけど、やっぱりコンテンツの質やライブ配信の特別感を演出することがうまいんだよね。
でも、ライブコマースってまだまだ日本では広まっていませんよね?メリットが多いのに、どうして中国みたいに爆発的に普及しないんでしょうか?
日本ではライブコマースが流行らない?
うまく活用すれば高いマーケティング効果が得られるライブコマースですが、日本ではまだ十分に浸透していません。どうして、日本のライブコマース市場は成長しないのでしょうか。ここでは、その理由と対策についてみていきましょう。
日本でライブコマースが流行らない・失敗しやすい理由
日本でライブコマースが流行らない・失敗しやすい理由としては、次の3点が挙げられます。
ライブ配信に対するニーズの違い
そもそも、中国と日本ではライブ配信に対するニーズが大きく異なります。偽物や低品質な商品の流通が多い中国は、「商品を見てから購入したい」「信頼できる人の意見を参考にしたい」というニーズが高い傾向にあります。そのため、ライブ配信で商品の使用感や出演者の意見を確認し、購入するユーザーが多いのです。
対して、日本は商品に対する信頼性が高いため、必ずしもライブ配信で品質を確認する必要がありません。
また、日本においてライブ配信は、アイドルやインフルエンサーの応援・交流をするための手段という認識が強い傾向にあります。そもそもの用途が異なるため、ライブ配信を通じてショッピングをするというニーズが浸透していないのです。
販売力をもつライバーが少ない
販売力をもつライバーが少ないことも、日本でライブコマースが流行らない一因です。中国のライバーはとにかく商品知識が深い点が特徴的で、その専門性や信頼性に惹かれて多くの視聴者が購入を決意します。
対して、日本のライブコマースに出演するのは、企業と提携した芸能人やインフルエンサーが多い傾向にあります。このようなライバーは商品知識が深くないケースも多く、商品の魅力を伝えきれないことも珍しくありません。
中国のライバーが「専門性」で集客しているのに対し、日本のライバーは「かわいい」「カッコいい」などの感情で集客する傾向にあります。そのため一時的な集客はできても、継続的な売上や拡散にはつながらないことが多いのです。
プラットフォームが発達していない
ライブコマースのプラットフォームが発達していない点も、日本でライブコマースが流行らない理由です。日本には、ライブコマースに特化したプラットフォームがありません。
SNS内などでライブコマースを行えるサービスは日々リリースされていますが、短期間でサービス終了になることも多く、利用が定着していないのが現状です。
今のところ、日本においてライブコマースは「SNSやECサイトにおけるひとつの機能」としか認識されていません。今後プラットフォームが整備されていけば、日本でもライブコマースが定着していく可能性は十分にあるでしょう。
日本でライブコマースを定着させるには?
ライブコマースが流行っている中国と定着が進まない日本には、市場や文化の違いが存在しています。そのため、単に中国をマネするだけの戦略では、ライブコマースを成功させることはできません。日本のライブ配信文化やニーズに応じた戦略を立てることが、今後ライブコマースを定着させるうえで重要になってきます。
日本のライブコマースで意識すべきは、「売上の向上」ではなく「エンゲージメントの向上」です。爆買い文化がある中国と比べ、日本人は慎重に消費活動をする傾向にあるため、少しずつ購買意欲や関係性を構築することが欠かせません。そのために有効な施策としては、次のようなものが挙げられます。
- ユニークな企画立案や積極的な交流を行い、楽しめるコンテンツを配信する
- 各分野に精通した専門性の高い有名人を起用し、信頼感を高める
- 限定オファーやここでしか見られないコンテンツなどで特別感を出す
また、ライブコマースは「どれほど集客できるか」が重要となります。SNSやWeb広告など複数のタッチポイントを活用しながら、できるだけ多くの視聴者を集めましょう。
はじめから集客や売上アップを成功させることは難しいため、根気強く分析と改善を繰り返しながら戦略的に実施していくことが大切です。
中国とはライブ配信に対するニーズや市場の環境が違うから、真似するだけじゃダメなんだよね。他のタッチポイントにはないエンターテインメント性や特別感を演出しないと、成果を出すことは難しいかもしれないね。
ライブコマースって、難しいですね……。日本でも定着を促進できるよう、僕もライブコマースについて勉強してみようっと!先輩、ありがとうございました。
CONTACT お問い合わせ
WRITING 執筆
LIFT編集部
LIFT編集部は、お客様との深いつながりを築くための実践的なカスタマーエンゲージメントのヒントをお届けしています。