Googleが「AIモード(AI Mode)」の試験提供を開始しました。AIモードは生成AIを使って新しい検索体験を提供する機能で、SEO対策に大きな影響を与えることが予想されています。
この記事では、AIモードの特徴を解説したうえで、今後どのようなSEO対策が必要になるのかについての考察を紹介します。
INDEX目次
Googleの「AIモード(AI Mode)」とは?
Googleの「AIモード(AI Mode)」とは、生成AI「Gemini 2.0」を活用した新しい検索機能です。これまでの検索エンジンとは違い、ユーザーの質問に対してAIが情報を整理し、的確でわかりやすい回答を表示してくれます。
これまでGoogle社内でテストされていたこの機能が、ついに一部の外部ユーザー向けに公開され、実際に利用できる段階へと進んでいます。
「AIモード(AI Mode)」の機能
AIモードの最大の特徴は、Googleが開発した生成AI「Gemini 2.0」のカスタムバージョンを活用している点です。ユーザーが検索キーワードを入力すると、生成AI「Gemini 2.0」が生成した結果だけをまとめたページを確認できるようになります。
従来の検索では、キーワードに関連するページが検索結果に一覧表示され、ユーザーはいろいろなサイトから情報を取捨選択する必要がありました。
しかし、AIモードを活用すると、AIが検索意図をふまえて複数の情報を統合したうえで最適な回答を提供してくれます。そのため、ユーザーはより短時間で知りたい情報にアクセスできるようになるのです。
「AIモード(AI Mode)」の特徴
AIモードには、次のような特徴があります。
- 探求、比較、推論が必要な検索に強い
- 従来、複数回の検索が必要だった曖昧な質問にも的確な回答を提供
- 今後は画像や動画を活用した視覚的回答にも対応予定
上記の特徴により、ユーザー体験が大幅に向上し、検索の利便性が高まると期待されています。
「AIモード(AI Mode)」を利用する方法
2025年3月時点では、AIモードの提供対象は、アメリカの18歳以上の英語ユーザーに限られています。そのため、日本ではまだ利用できません。
実際に利用するには、Google Labsを通じた事前登録が必要です。ただし、登録してすぐにアクセスできるわけではなく、ウェイトリストに登録し、順番を待つ形になります。
また、「Google One AI Premiumプラン」のユーザーが優先的に招待される仕組みになっています。
「AIモード(AI Mode)」登場の背景
Googleが「AIモード(AI Mode)」を導入した背景には、ユーザーの検索ニーズの多様化と情報過多の問題があります。
現在、インターネット上には膨大な情報が溢れています。その影響で、ユーザーは必要な情報を見つけるために複数のページを訪れたり、情報を自分自身で整理したりする必要がありました。特に、複雑な質問や商品比較をしたいとき、専門的な情報を得たいときは、従来の検索だけでは限界がありました。
その問題を解決するために、GoogleはAIモードによってユーザーの検索体験を向上させ、Google検索そのものの利便性を高めることを目指しています。AIモード登場の背景には、「ユーザーに寄り添った質の高い検索体験を届けたい」というGoogleの狙いがあると考えられます。
AI Overviewと「AIモード(AI Mode)」の違い
AI Overviewは、Googleの検索結果に表示されるAIによる要約機能です。AIモードと非常に似ていますが、それぞれは以下のようにまったく異なる機能です。
- AI Overview
検索結果の上部に表示される要約機能。最新のアップグレードにより、複雑な質問や画像・音声を組み合わせた質問にも対応。 - AIモード
AI Overviewをさらに拡張した機能。「すべて」「ニュース」「画像」などのタブに並び、新しく「AI Mode」のタブが追加され、AI生成の回答を集中的に閲覧できる。
すでに提供されているAI Overviewも、「Gemini 2.0」にアップグレードされ、従来よりも高度な質問に対応できるようになりました。また、コーディングや高度な数学、画像や音声を組み合わせた質問にも対応可能となっています。
今回のアップグレードによって、より検索結果の質が向上し、AI Overviewが表示される頻度も増えると予想されています。
【考察】Googleの「AIモード(AI Mode)」がSEOに与える影響
AIモードが実装されることにより、SEOに以下のような影響が出ると考えられます。
- 単純な情報の羅列コンテンツはAIに代替されて価値が下がる
- AIによる回答だけで満足されてしまい、各ページへの訪問数が減少する
今後は、ユーザー個々のページにアクセスすることなく求めている情報を得られるようになるため、サイトへの訪問者数が減少する可能性があります。実際、AI Overviewが導入されたあとに、検索順位は変わっていないのにトラフィックが減少しているサイトが増えている現象が確認されています。
ただし、検索エンジンを使った集客において、SEOの必要性が完全になくなることはありません。なぜなら、AIモードで提供される回答自体も、もとをたどればSEOコンテンツから情報を引用しているからです。
AIはゼロから新しい情報を生み出せるわけではなく、既存のウェブページの情報を整理・要約しています。AIが取り上げるための「元になる情報」を提供できていなければ、AIにも選ばれません。
つまり、AIモードが普及すればするほど、AIに取り上げられるためのSEO対策が重要になってくるのです。
【考察】AIモード(AI Mode)時代のSEO戦略で重要なポイント
AIモード時代のSEOやコンテンツマーケティングでは、どのような戦略が重要になるのでしょうか。
今後は、AIによる要約だけでは提供できない、さらに詳しく知りたいと思わせるような深い情報を盛り込んだコンテンツ設計が必須です。ここでは、これからのSEO戦略で重要なポイントを紹介します。
AIが苦手とする「リアルな体験情報」を充実させる
AIは、インターネット上に溢れる膨大な情報を整理して提供することは得意ですが、「リアルな体験」や「オリジナルの専門的な知見」を提供することは苦手です。
そのため、以下のような人間だからこそ生み出せる情報を盛り込むことで、AIが生成したコンテンツと差別化していくことが重要となります。
- 実際に経験したエピソードやストーリー
- インタビューを通じて得た専門家の見解や独自の意見
- オリジナルの調査結果や実験データの分析
これらの情報には、AIでは得られないリアリティや信頼性があります。ユーザーに「AIの回答だけでは物足りない」と感じてもらえれば、サイトへの訪問を促進できるでしょう。
「もっと知りたい!」と思わせるコンテンツ設計にする
AIモードの登場によって、ユーザーは検索結果ページだけである程度の情報を得られるようになります。だからこそ、本当に価値のある情報を提供するには、AIが生成する内容を超える「深掘りされたコンテンツ」を制作しなければいけません。
具体的には、以下のような工夫が効果的です。
- 独自の調査データやアンケート結果を盛り込む
- 具体的で詳細な事例・ケーススタディを掲載する
- オリジナルの図解・動画・インフォグラフィックなどを活用する
- AIが拾いきれないSNSやコミュニティの口コミを紹介する
- 他では得られない詳細な比較レビューや検証結果を掲載する
- AIが追いつかない最新トレンドや業界のリアルタイム情報を発信する
これらの情報を提供することで、「AIの要約だけでは満足できない」「もっと詳しく知りたい」と思わせ、結果的にサイトへの訪問者を増やせます。
AI時代のSEOは、「AIに選ばれること」と「AIを超える付加価値を高めること」の両面を意識することが大切です。この2つを押さえれば、検索流入を維持・増加させられるでしょう。
まとめ
Googleの「AIモード(AI Mode)」は、これまでの「AIによる概要(AI Overview)」をさらに進化させた機能です。
このままAIが生成した回答を表示する機能が充実していけば、ユーザーは短時間で求める情報にたどり着けるようになるでしょう。その影響で、メディアを運用している企業の多くは、SEO戦略の方針を見直す必要性に迫られています。
AIとうまく共存してコンテンツマーケティングを成功させるには、最新のアップデート情報やトレンドをキャッチアップすることが不可欠です。AIモードの登場を新しいチャンスと捉え、これまで以上に価値あるコンテンツ作りに力を入れていきましょう。
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