SEOスパムとは、Googleのガイドラインに違反したSEOを行い、不正に検索上位を目指すことです。
本記事では、Web担当者が押さえておきたいSEOスパムの基本知識を紹介します。
ペナルティを受けることがないよう、SEOスパムだと判定されてしまう行為や対策法を知っておきましょう。気づかないうちにスパム行為をしている可能性もあります。
先輩見てください!このサイト、キーワードがたくさん書いてあるんですけど、全然日本語になっていないんです……。こういうサイトでも上位表示されるんですね……。
あぁ、多分ツールで自動作成されたサイトだと思うよぉ。今は上位表示されているけど、SEOスパムだと判定されてそのうち表示されなくなるはず。
ス、スパム……?あの、おいしいお肉のことですか……?
SEOスパムとは
SEOスパムとは、サイトを検索エンジンで上位表示させるために不正なSEOを行うことです。そもそも、SEOスパムは具体的にどのような行為を指し、どのような危険性があるのでしょうか。ここでは、SEOスパムの基本的な知識を身につけましょう。
- SEOスパムの定義
- SEOスパムにペナルティが科される理由
- SEOスパムの危険性
- SEOスパムの判定基準
- AI生成コンテンツはSEOスパムに認定される?
上記の5項目を詳しく解説します。
SEOスパムの定義
SEOスパムとは、検索エンジンで自社サイトを上位表示させるために、不正・過剰な方法でSEOを行うことです。別名「ブラックハットSEO」「検索エンジンスパム」と呼ばれることもあります。
検索エンジンのGoogleにはWebサイト運用のガイドラインが設けられており、このガイドラインに違反する行為がSEOスパムだと判定されます。Googleが定めたルールを無視して、ズルや迷惑行為によって検索上位を目指すことだと認識しておくとわかりやすいでしょう。
例えば、他のサイトを真似した「コピーコンテンツ」やキーワードを大量に盛り込む「キーワードスタッフィング」などが該当します。SEOスパムを実施していると判定されると、Googleからペナルティが科されるため注意が必要です。ペナルティには、次の2種類があります。
- Googleのアルゴリズムによる「自動ペナルティ」
- Googleスタッフの目視による「手動ペナルティ」
ペナルティが科されると、インデックスが削除されたり順位が下がったりする可能性があります。
SEOスパムにペナルティが科される理由
GoogleがSEOスパムにペナルティを科す理由は、ユーザーの利便性を重要視しているためです。検索エンジンは、ユーザーにとってより役立つページを上位表示できるように、日々アップデートを行っています。
しかし、そこにSEOスパムでズルをしたサイトが上位表示されてしまうと、「Googleの検索結果は信頼できない」とユーザーに不信感を与えてしまいますよね。
そのため、不正行為をして検索上位を獲得しているサイトはGoogleに目をつけられて、ペナルティを科されてしまうのです。SEOスパムは以前から問題になっていましたが、現在もGoogleと悪質なサイト管理者は戦いを続けています。
SEOスパムの危険性
SEOスパムの判定を受けたサイトには、次のようなリスクが生じます。
- 検索順位が大きく下がる
- 検索結果に表示されなくなる
- インデックス自体が消えてしまう
このようにスパム判定されると、検索上位を目指すどころか検索結果に表示されることすらできなくなってしまう可能性があるのです。一度ペナルティを受けると、検索順位をもとに戻すために多くの時間を必要とします。
このようなペナルティは、Web集客を目指している企業にとって大きな打撃となるでしょう。SEOスパムで上位表示ができても、その効果は一時的なものです。最終的にはマイナスの結果につながるケースが多いため、どのような場合でも実施することは避けるべきです。
SEOスパムの判定基準
Googleでは「品質ガイドライン」を定めており、この内容に違反する行為はSEOスパムに該当すると判断されます。品質ガイドライン違反に該当する項目としては、次のようなものが挙げられます。
- 検索ランキングの操作を目的とした自動生成コンテンツ
- リンクプログラムへの参加
- オリジナルのコンテンツが存在しないページの作成
- クローキング(検索エンジンと人間で違うサイトを表示)
- 不正なリダイレクト
- 隠しテキストや隠しリンク
- 誘導のみを目的とした中身のないページ
- 無断複製されたコンテンツ
- 十分な付加価値のないアフィリエイトサイト
- ページへのコンテンツに関係のないキーワードの詰め込み
- 悪意のある動作を伴うページの作成
- 構造化データのマークアップの悪用
- Googleへの自動化されたクエリの送信
上記のような行為をした場合、たとえ悪意がなかったとしてもスパムであると判断されるおそれがあります。NG行為を理解したうえでサイトを運営することが大切です。
AI生成コンテンツはSEOスパムに認定される?
ChatGPTをはじめとするAIツールの台頭により、近年自動で記事を生成するツールが増えてきています。自動生成された低品質コンテンツはSEOスパム判定のリスクが高まりますが、AIツールで生成されたコンテンツはどのように扱われるのでしょうか。
2023年2月、Googleは「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」を発表しました。ここには、「AIで生成されたという理由だけでスパム判定を下すことはしない」と明記されています。
つまり、AI生成ツールを使ったからといって、即座にスパム判定を受けることはありません。しかしGoogleは同時に、「検索ランキングの操作を目的にAIコンテンツを生成すれば、スパムに関するポリシー違反とみなす」と発表しています。
制作方法にかかわらず、低品質な記事を量産したり不正なSEOを実施したりすれば、ペナルティの対象になるということです。AIを活用してコンテンツを制作するときは、ポリシー違反とみなされないよう、品質やオリジナリティが高い内容にすることが大切です。
う~ん。ガイドラインを見ただけでは、具体的にどんな行為がスパムに該当するかイメージできません……。
そうだよね。それじゃあ、SEOスパムの代表的な種類と手法について、いくつかみてみようか!
はい、先輩っ!
SEOスパムの種類
SEOスパムに該当する行為には、さまざまな種類があります。ここでは、代表的な5種類のSEOスパムを紹介します。
- キーワード系スパム
- 被リンク系スパム
- コンテンツ系スパム
- 転送系スパム
- サイト内検索スパム
それぞれの詳しい手法をみていきましょう。
キーワード系スパム
キーワード系スパムは、キーワードを多用して検索エンジンにキーワードとの関連性の高さをアピールし、上位表示させる手法です。具体的な内容は、次のとおりです。
隠しテキスト
隠しテキストとは、検索エンジンにしか見えないように大量のキーワードを埋め込む手法です。例えば、「ユーザーに見えないサイズの文字でキーワードを埋め込みまくる」「背景と同色のキーワードをページ内へ埋め込む」などの方法で行います。
不自然な流れでのキーワード使用は、スパム判定されるリスクを高めます。キーワードは、ユーザーファーストかつ自然な流れで盛り込むことが大切です。
隠しフレーム
隠しフレームとは、画面を分割して別々にHTMLを表示させる「フレームページ」を作成する際、不要なタグを使う手法です。
ユーザーに見えないほど小さなフレームを作成し、そこにキーワードを大量に盛り込みます。ユーザーには気づかれませんが、クローラーには認識されるため、スパム判定される可能性が高いでしょう。
ワードサラダ
ワードサラダとは、対策キーワードと関連性があるキーワードを使った支離滅裂な文章を用いる手法です。自動生成された文章を使うことが多い傾向にあります。以前の検索エンジンは、文章の内容を詳しく精査することができませんでした。
そのため、コンテンツを大量に自動生成し、被リンク施策と組み合わせながら上位表示を狙うSEOが行われていたのです。現在は検索エンジンの性能が向上し、コンテンツの品質を正しく評価できるようになっています。そのため、ワードサラダを使ったSEOは通用しにくくなりました。
キーワードスタッフィング
キーワードスタッフィングとは、タイトルタグやメタディスクリプションタグなどのメタタグや、コンテンツの内部にキーワードを大量に盛り込む手法です。
キーワードスタッフィングを行うと、コンテンツが不自然になって読みにくくなります。ユーザーエクスペリエンスが大きく低下するため、スパム判定の対象となるのです。
被リンク系スパム
被リンク系スパムとは、自作自演の相互リンクや被リンクをお金で大量に買う手法です。被リンクは、SEO効果が高いとされています。
しかし、あくまでコンテンツやサイトの内容と関連性が深いことが前提となっており、不自然・低品質リンクはスパム認定の対象となります。ここでは、被リンク系スパムの具体的な手法をみていきましょう。
隠しリンク
隠しリンクは、ユーザーから見えないサイズや色で大量のリンクテキストを埋め込む手法です。また、ブラウザの表示領域外にテキストリンクを貼ることもあります。ユーザーが見る情報と検索エンジンが見る情報が大きく異なるため、不正だと判断されてペナリティを受ける可能性があります。
コメントスパム
コメントスパムとは、外部サイトのコメント欄に無関係な自社サイトへのリンクを大量に貼り、被リンクを獲得するSEOスパムです。この手法を用いれば、自作自演で被リンクを大量に獲得できます。しかし、近年のSEOは被リンクの量より質を重視しているため、効果が薄くリスクが高いとされています。
トラックバックスパム
トラックバックとは、自分のサイトで外部のコンテンツを紹介したとき、引用したことを相手に伝える機能です。トラックバックを利用すると、引用元コンテンツに自分のサイトのリンクを自動的に表示させることが可能となります。
トラックバックスパムは、このトラックバックを悪用して大量の被リンクを獲得する手法です。実施しないのはもちろん、巻き込まれることがないよう、トラックバックを承認制にするなどの対処をしておくことが大切です。
リンクファーム
リンクファームとは、相互リンクだけを目的としたパートナーページなどを作成し、関連性のないリンクを大量に貼る手法です。関連性のない質の低い被リンクを獲得することになるため、この行為もスパム判定の原因となります。
コンテンツ系スパム
コンテンツ系スパムは、コンテンツを不正に作成して上位表示を目指す手法です。不正に作成したコンテンツや盗用コンテンツはペナルティの対象となります。コンテンツ系スパムには、代表的な手法が5つあります。
コピーコンテンツ
コピーコンテンツとは、他のサイトのコンテンツをコピーして自社のコンテンツとして使うことです。コピーコンテンツを作成した側だけではなく、自社のコンテンツを大量にコピーされた側もペナルティの対象となる点に注意が必要です。他のサイトの情報を自社サイトで使いたいときは、必ず引用元や出典を記載しましょう。
ミラーサイト
ミラーサイトとは、すでに存在している別のサイトをコピーし、同じサイトを作成する手法です。評価の高いサイトを真似ることで上位表示を目指すだけではなく、別サイトの会員情報を抜き取るために「フィッシングサイト」を作成する手口もあります。
ミラーサイトもコピーコンテンツ同様、巻き込まれてペナルティを受ける可能性があります。発見した場合は、すぐにGoogleに報告しましょう。
質の低いコンテンツ
質の低いコンテンツとは、文字通り内容が薄かったり品質が低かったりするコンテンツです。ツールで自動生成した記事(ワードサラダ)や内容の薄いアフィリエイト記事、ほかのサイトへ誘導するための内容のないコンテンツなどを指します。
これらのコンテンツは、ユーザーにとって価値がないページだと判断され、スパム判定を受けてしまうリスクがあります。
クローキング
クローキングとは、同じURLにもかかわらず、ユーザーと検索エンジンそれぞれに違うコンテンツを表示させる手法です。例えば、ユーザーには規制対象となる内容を表示し、検索エンジンのクローラーには一般的な内容を表示させる手法が該当します。
検索エンジンは規制対象のサイトに気付けず、不適切なサイトはペナルティを受けることなく検索エンジンに表示され続けることになるのです。
悪意のあるコンテンツ
悪意のあるコンテンツとは、ユーザーが意図していない動作をするコンテンツです。勝手にファイルをダウンロードしたり、クリックしていない広告を表示させたりするサイトが例として挙げられます。
悪意のあるコンテンツは、ユーザビリティを低下させるうえにウイルス感染などのリスクが高いので、ペナルティの対象となります。
転送系スパム
転送系スパムとは、ユーザーが意図していないサイトに転送させる手法です。転送設定自体は、Googleに問題視されていません。しかし、ユーザーが欲している情報にたどり着けないような転送は、ユーザビリティを低下させるためスパム認定されてしまいます。ここでは、代表的な手法を2つ紹介します。
ポップアップ悪用
「大量のポップアップを表示させて消しても消しても消えないようにする」「リンクをクリックすると別ウィンドウで関係のない広告を表示させる」
このような行為が、ポップアップ悪用に該当します。転送設定と同様、ポップアップを表示させること自体が問題になることはありません。しかし、過度に用いたりユーザーに迷惑だと感じさせたりする表示方法は、スパム認定の対象となります。
ドアウェイページ
ドアウェイページとは、ユーザーを特定のページに誘導するためだけに作られたコンテンツです。例えば、次のようなケースがドアウェイページであると判断されます。
- 「東京 マーケティング会社」「大阪 マーケティング会社」のように、一部の単語を入れ替えたページを大量作成する
- オリジナルコンテンツがないサイトに誘導したいページのリンクを貼り付けたブログを大量作成する
誘導のみを目的としたドアウェイページは、ユーザーにとって価値がないコンテンツであり、検索エンジンの利便性を低下させます。そのため、SEOスパムだと判断されてペナルティの対象となるのです。
サイト内検索スパム
サイト内検索スパムは、近年急増しているSEOスパムの手法です。他のサイトの評価を落とす効果があるため、検索上位のサイトの順位を下げて自社サイトを押し上げたいときなどに悪用されます。
健全に運営しているサイトであっても、外部からサイト内検索スパムの攻撃を受けるリスクがあるため、知識として押さえておくと安心でしょう。
サイト内検索スパムは、サイト内のコンテンツを検索する機能を悪用し、意味のないページを大量にインデックスさせる攻撃です。具体的な手順は、次のとおりです。
- スパム攻撃用のサイトを作成する
- 攻撃対象サイトのリンクを、スパム攻撃用のサイトにつけて記事を公開する
- Googleにクローリングさせてインデックス登録させる
- 攻撃対象サイトのGoogle Search Consoleに表示される
- 攻撃対象サイトの評価が下落するのを待つ
通常、サイト内検索の結果に表示されるURLは、Googleにインデックス登録されません。サイト内検索スパムでは、検索結果に表示させたいスパムクエリ(検索キーワード)のURLを攻撃用のサイトに設置することで、インデックス登録させるのです。
攻撃を受けたサイトは、意味のないサイト内検索結果のページが大量にインデックスされ、SEO評価が落ちてしまいます。サイト内検索スパムを防ぐには、サイト内検索結果で表示されるページにnoindexを設定する必要があります。
サイト内検索結果からの流入があるサイトは、noindexにするとアクセスを失うので慎重な対応が必要です。
ペナルティの対象になると知らないまま行ってしまうこともあるから、気をつけないといけないんだよ。
わわわ、僕も気をつけよう……。ところで先輩、スパム判定されているかどうかって、調べることはできるんですか?それと、スパム判定されたときの対処法はあるのでしょうか?
SEOスパム判定を受けたときの対処法
SEOスパム判定を受けたときは、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、スパム判定の確認方法や対策法を紹介します。
手動ペナルティの確認・対処方法
まずは、手動ペナルティの確認・対策方法をみていきましょう。
Google検索を使った方法
手軽にスパム状況を確認したいなら、Google検索を用いた方法がおすすめです。検索窓に「site:」と入力し、その後ろに調べたいサイトのURLを入れるとインデックス状況を調べられます。
検索したときに該当するページが最初に表示されない場合、または表示されるページ数が少なすぎる場合は、コンテンツのどれかがスパム認定を受けている可能性があります。
Google Search Consoleを使った方法
Google Search Consoleでも、手動ペナルティの状況や内容を確認できます。確認方法はとっても簡単で、Google Search Consoleのトップ画面から「セキュリティと手動による対策>手動による対策」をクリックするだけです。
ペナルティを受けている場合は、その種類と原因、対処方法を確認できます。なお、問題に対処したあとは再審査をリクエストできるので、早く検索順位を戻すために必ずリクエストを行っておきましょう。
自動ペナルティの確認・対処方法
自動ペナルティを受けているかどうかも、Google検索を使った方法で確認できます。しかし手動ペナルティとは異なり、Google Search Consoleでペナルティの状況や内容を知ることはできません。そのため、自力でペナルティ判定を受けている原因を見つけて対処する必要があります。
コンテンツの順位やインデックス状況に不審な動きがあった場合は、もしかすると自動ペナルティが科されているかもしれません。Google Search Consoleや被リンク数を確認するツールなどを用いて、不審なインデックスや被リンクがないかチェックしてみてください。
ただし、あくまで予測ベースでの対処になるため、基本的に自力で自動ペナルティを解消することは難しいことを理解しておきましょう。
SEOスパム判定を防ぐ対策法
SEOスパム判定を防ぐためには、ユーザーファーストのコンテンツの制作を徹底することが大切です。Googleの品質ガイドラインは、ユーザーが使いやすいWebサイトを基準に定められています。
つまり、ユーザーに親切なコンテンツ設計をすれば、SEOスパムだと判定される基準に抵触することはないのです。
また、SEOスパムの手法についての知識を身につけ、意図しないスパム行為を防いだりスパム被害を早期発見したりすることも大切です。正しい知識があれば、過度にSEOスパムにおびえることはありません。
ふむふむ、なるほどっ!SEOスパムについてしっかりと理解して、ユーザーファーストのサイトを作る。これを意識しておけばOKってことですね。
そうそう。普通にサイトを運営していれば、スパム判定されることは滅多にないから、心配しなくても大丈夫。
ただし、攻撃を受けるリスクはあるから、スパムの種類や対処法はしっかりと押さえておこうね。
またひとつマーケターとして成長できましたっ!先輩、ありがとうございます。
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