SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とは、検索エンジンにおいて特定のキーワードで検索した際に、Webサイトが上位表示されることを目指す施策です。
Webサイトを運営するなら、SEOはWebマーケティングに欠かせない基本です。
この記事では、SEO初心者の方に向けて、押さえておくべき基礎知識と対策をわかりやすく解説します。
先輩……。仕事をしているとSEOってよく耳にするんですけど、SEOって一体何者ですか……!?
SEOかぁ。Webサイトの運営者やマーケティング担当者は当たり前に使っている言葉だけど、新人のビギニャー君には難しいよね。
それじゃあ、今日はSEOについて学んでみようか!
SEOとは?
SEOは「Search Engine Optimization」の略で、直訳すると「検索エンジン最適化」という意味です。
SEOは、Google検索などの検索エンジンを使ったWebサイトの集客施策のひとつです。ユーザーが特定のキーワードを検索したときの結果(オーガニック検索)で、自社のWebサイトのページが上位に表示されるように取り組みます。
オーガニック検索では、1ページ目の上位に表示されるほど、ユーザーの目に触れやすく、Webサイトを訪問してもらえる可能性が上がります。
下位表示や2ページ目以降の表示では、なかなかWebサイトを訪問してもらうことはできません。Webサイトでの集客を狙うなら、SEOは必須の施策です。
SEOでは、Googleの検索エンジンを基本に対策を行います。これは、日本の検索エンジンの利用率においてGoogleの利用率が圧倒的に高いためです。なお、Googleに次いで利用されているYahoo!の検索エンジンも、Googleの検索の仕組みを使っています。
たしかに、検索したときって最初のほうに表示されるサイトしか見ないですね……。でも先輩、そもそもどうしてSEOを実施すると上位表示を目指せるんですか?
SEOで上位表示される仕組みを理解するために、まずは検索エンジンの仕組みからしっかりと説明するね。
SEOで上位表示される仕組み
検索エンジンの仕組みにおいて重要なのが、インターネット上に存在するWebサイトの情報を読み込むロボット「クローラー」と、クローラーが読み込んだ情報を基に検索結果の表示順位を決める手順「検索アルゴリズム」です。
検索エンジンが掲載順位を決める仕組み
Google検索では、以下のような流れで表示順位が決まります。
- クローラーがインターネット上にあるWebページの情報を読み込む(クロール)
- クローラーが読み込んだ情報を整理してデータベースに格納する(インデックス)
- 検索アルゴリズムに基づきWebサイトのランキングをつける
新しいWebサイトや新しいWebページが検索結果に表示されるためには、まずは1および2を経る必要があります。クロールは定期的に行われており、その頻度はWebサイトによって異なります。
上記の流れは、書店で本を探すことにたとえるとわかりやすいかもしれません。新しく作成したWebページを新発売の本だとします。
本が入荷したら、書店ではまず本の内容を確認します(クロール)。次にジャンル分けをして棚に本を陳列します(インデックス)。
その後、来店客に「○○に関連する本はありませんか?」と尋ねられたとき、陳列棚から関連する本をおすすめ順に紹介します(アルゴリズムによるランキング付け)。
知っておくべきGoogleの方針
検索エンジンが掲載順位を決める仕組みについて、Googleの公式サイトで詳しい情報が提供されているので、以下を一読しておくと良いでしょう。
Googleの検索アルゴリズムは、ユーザーにメリットをもたらすことを主たる目的としたものです。つまり、Google検索で上位表示されるためには、ユーザーにメリットをもたらすコンテンツを作成することが重要です。
ユーザーにメリットをもたらすコンテンツについて、Googleがどのように定めているのかは、以下の公式情報が参考になります。
また、検索エンジンに限らず、Googleが提供するサービスに共通する方針について、以下も押さえておくと良いでしょう。
何気なく検索を利用している裏側にはこんな仕組みがあったんですね~。
検索の仕組みを踏まえて、次は、SEO施策の種類について知っておこう。
SEO施策の種類
Googleの検索アルゴリズムの詳細は公開されていませんが、前述のGoogleの方針を踏まえてSEO施策を実施することで、検索結果で上位表示されやすいWebサイトを作成することは可能です。
SEO施策は、大きく以下の3つに分類されます。
- コンテンツ対策
- 内部対策
- 外部対策
外部対策はできることが限られているため、まずはコンテンツ作成と内部対策を重点的に行うのがおすすめです。
コンテンツ対策
検索エンジンで表示されるためには、まず、ユーザーに検索されるコンテンツが必要です。Webサイト運営の目的とターゲットとするユーザー、ユーザーの検索ニーズを踏まえ、ユーザーにとって興味関心が高く、わかりやすいコンテンツを蓄積しましょう。
すでにコンテンツがある場合は、新規コンテンツ作成と並行して、既存コンテンツの見直しも大切です。
内部対策
内部対策では、「クローラビリティ」と「ユーザビリティ」が上がるようWebサイトの構造を調整します。クローラビリティとはクローラーにとってのWebサイト内のコンテンツの理解しやすさ、ユーザビリティとはユーザーにとってのWebサイトの使いやすさです。
内部対策はコンテンツ対策に関わる部分もあり、コンテンツ対策を内部対策に含めて説明されることもあります。
外部対策
外部対策とは、外部サイトからリンク(被リンク)を獲得したり、関連度が高い外部サイトにリンクを飛ばしたりする施策のことです。
専門性の高い情報源からの被リンクがあるサイトや被リンクが多いサイトは、「ユーザーの役に立っている」「話題性が高い」と判断されて上位表示されやすくなります。ただし、良い評価になるのは「良質なリンク」のみです。
低品質なサイトや投稿からのリンクを量産したり関連性の低いサイトからのリンクを集めたりすると、逆に検索順位が下がったり検索結果に表示されなくなったりしてしまいます。
被リンクは、コンテンツ作成・内部対策を進めることでおのずと集まる形が理想です。
「ユーザーの役に立って使いやすく、信頼できる情報が掲載されたサイト作りが大切」ってことですね!
そうだね。それじゃあ、SEO対策の種類に基づいて具体的な施策を紹介するね。マーケティング部門だけでは対応できないものもあるから、エンジニアやWebディレクターなどと協力しながら対策することが大切だよ。
初心者でもできる、具体的なSEO施策
コンテンツ対策・内部対策・対策それぞれの具体的な施策を紹介していきます。社内だけで対応が難しい場合は、外部の専門家を頼ることも検討してください。
コンテンツ作成編
コンテンツ作成では、まず、Webサイトを訪れてほしいターゲットを明確にしましょう。その上で、次の手順でターゲットが興味関心を持ってくれそうなコンテンツを作成します。
- 検索ニーズの高いキーワードを選定する
- ユーザー目線でコンテンツを作成する
- E-E-A-T を高める
- 既存コンテンツの見直しも行う
各手順について詳しく見ていきましょう。
検索ニーズの高いキーワードを選定する
Webサイトの集客やCVにつながり、かつターゲットが検索していそうなキーワードを洗い出します。
検索ボリュームが1,000~10,000程度になる、2~3つのキーワードの組み合わせが狙い目です。こういったキーワードは「ミドルキーワード」と呼ばれます。
基本的に、キーワード1セットに対して1つのWebページを作成します。そのため、SEO施策を行うWebページの数に応じてキーワードを洗い出す必要があります。
ユーザー目線でコンテンツを作成する
洗い出したキーワードに応じて、Webページ=コンテンツを作成していきます。まずは仮のタイトルと見出しを考え、コンテンツの構成を作成します。
タイトルと見出しはコンテンツを作成するなかで調整して構いませんが、SEOの観点から、タイトルには必ずキーワードを入れ、見出しにも不自然にならない程度にキーワードを入れましょう。
また、検索アルゴリズムでは、「ユーザーの悩みと関連性が深いか」「ユーザー体験が高いか」といったユーザーにとって役立つコンテンツであるかどうかが重視されています。そのため、ユーザー目線でコンテンツを作成することが非常に大切です。
ユーザーの悩みや願望に寄り添い、それを解決するための良質なコンテンツを作成しましょう。
E-E-A-T を高める
E-E-A-Tとは、「エクスペリエンス(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)」のことです。Googleの検索アルゴリズムでは、表示順位を決定する上で、E-E-A-Tがひとつの判断基準となります。
E-E-A-Tを高めるためには「たしかな情報源からの出典を行う」「情報の出典・エビデンスを明記する」「専門家監修のコンテンツを作る」「運営者情報や目的を明らかにする」などといった対策が有効です。
既存コンテンツの見直しも行う
新規コンテンツを作成するだけでなく、作成したコンテンツや既存コンテンツの見直しも定期的に行いましょう。
適切なターゲットやキーワードを設定できているか、それらに応じた集客やCVを獲得できているか、できていないとすればどこが問題なのかを見直し、改善を重ねていきます。
内部対策編
内部対策では、Webサイトの構築や運営について専門的な知識が必要となります。具体的には、次のような対策を行います。
- 使いやすいサイト設計
- クロールしやすいサイト設計
- インデックスしやすいサイト設計
それぞれのやり方の詳細を後述しますが、やり方がわからない、用語がピンとこないという場合は、Webサイト構築を行った制作会社や、SEOに詳しい専門家に協力してもらうことを検討しましょう。
合わせて、Googleが公開している以下の情報も参考になります。
使いやすいサイト設計
- 表示スピードを早める
- リンク切れや孤立しているページをなくす
- ナビゲーション(サイトの案内用リンク)を最適化する
- デバイスごとに最適な表示が可能なレスポンシブデザインにする
クロールしやすいサイト設計
- サイトマップを作成する
- 重複ページを削除してURLを最適化する
- 今、どのページにいるかを表示するパンくずリストを設置する
- 最適な内部リンクを設置する
- 低品質なページをnoindexにする
インデックスしやすいサイト設計
- HTMLタグを最適化する
- オリジナル性の高い良質な画像を使用する
- タイトルとディスクリプションを最適化する
外部対策編
外部対策では、以下のように被リンクを自然に集められるような対策を行います。また、関連性が高くリンクを飛ばせる外部サイトがある場合は、設定しておきましょう。
- 外部サイトからリンクを獲得する
- SNSやプレスリリースなどによる拡散を狙う
- 外部サイトで共有するためのソーシャルボタンを設置する
SEOで何をすれば良いのか、わかってきました!
具体的な対策とあわせて、SEO施策を実施するときに押さえておきたいポイントについても解説しておくね。
SEOで上位表示を目指すためのポイント
前述のSEO施策を行う際、以下の点も押さえておきましょう。
- 解析ツールを活用して定期的に改善を続ける
- コピーはNG!独自性が重要
- こまめに情報を更新する
- YMYLに注意する
せっかく行う施策の効果をきちんと出すために、これらの点はとても重要です。
解析ツールを活用して定期的に改善を続ける
SEOで効果を出すためには、実施した施策について定期的な分析と改善の繰り返しが重要です。そのため、SEOに取り組むにあたっては、必ず解析ツールを導入してください。
特に、アクセス解析ツールである「Google Analytics」と、検索関連の分析ができる「Google Search Console」は欠かせません。どちらもGoogleが無料で提供しています。
コピーはNG!独自性が重要
コンテンツを作成する際に、関連する分野の専門性の高いWebサイトや競合他社のWebサイトを参考にすることがあるかもしれません。
良質のコンテンツを作成するためにそういった情報を確認することは大切なのですが、作成したコンテンツが参考にしたサイトのコピーにならないようにしてください。
SEOで表示順位を上げるためには、コンテンツの独自性がとても重要です。他サイトを参考にしつつも、あくまで参考にとどめ、自社ならではの情報を発信できるよう意識しましょう。
こまめに情報を更新する
更新頻度が高いことは、SEOにプラスの影響を及ぼすと考えられます。定期的にコンテンツの更新ができるよう、Webサイトの運営計画を立てましょう。
新規コンテンツ作成や既存コンテンツ改善と並行して、古い情報の更新も行いましょう。
YMYLに注意する
YMYLとは「Your Money or Your Life」の略で、人の生活や人生に大きく影響するジャンルのことです。たとえば、ニュースや時事問題、法律や金融関係、健康や安全に関するコンテンツなどが該当します。
YMYLはユーザーに大きな影響を与えるため、Googleにおいて特に厳しい評価基準が設けられており、信頼性が高い政府機関や医療機関、報道機関などのサイトが優先されて表示される傾向にあります。
根拠に基づいたコンテンツの作成、責任者情報の明記など一定の対策は可能ですが、個人サイトや一般的な企業のサイトのSEOは通用しにくいことを理解しておきましょう。
コンテンツを作成して終わりじゃないんですね。
そうなんだ。手間や時間はかかるけど、SEOは企業にとって大きなメリットがあり、重要なものなんだよ。
SEO施策のメリット・重要性
SEO施策が重視されるのは、次のようなメリットがあるからです。
- 継続的な集客効果が期待できる
- CVにつながりやすい
- コストをかけずに始められる
本記事で紹介したような対策やポイントを押さえることで、これらのメリットを最大限引き出すことができます。
継続的な集客効果が期待できる
SEOのために作成したコンテンツは、削除しない限りインターネット上に存在して、Webサイトにコンテンツが蓄積されつづけます。良質なコンテンツが蓄積されたWebサイトはSEOに強くなり、企業にとっての資産となります。
広告などの集客施策は、即効性がある代わりに出稿を止めるとすぐに集客効果がなくなりますが、一度SEOに強いWebサイトやコンテンツを作ることができれば、継続的な集客効果を発揮します。
また、Webサイトがつねに上位表示されることで、企業のブランディングにも効果的です。
CVにつながりやすい
オーガニック検索によりWebサイトを訪れるユーザーは、そのWebサイトの商品・サービスに興味関心の高いユーザーです。
たとえば、「パソコン おすすめ」で検索しているユーザーはパソコンの購入を検討しているはずです。そういったユーザーに対して、パソコンメーカーのECサイトが上位表示されれば、売上につながりやすくなります。
SEOを意識して、CVとターゲットとするユーザーに応じたキーワードと内容のコンテンツを作成することで、効率的にCVを獲得することができます。
コストをかけずに始められる
広告は出稿枠や表示回数、クリック数などに応じて広告費がかかりますが、SEOで上位表示されてもコストはかかりません。上位表示されるコンテンツを社内で作成できれば、コストをかけずにSEOを始めることができます。
もちろん、そのためにスタッフが業務時間を割く必要はありますし、社内で対応できない点は外部の専門家に依頼したほうが良い場合もあります。
まったくコストをかけずに効果を出せるわけではないのですが、まずは自分たちでできるところからコストをかけない方法で始められるという点は、SEOのメリットといえます。
だからSEOに取り組むことが必要なんですね!
一方でデメリットや注意点もあるから、その点も押さえた上で取り組もう。
SEO対策のデメリット・注意点
SEOには、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。
- 即効性がなく、効果が出るまでに時間がかかる
- アップデートで順位が大きく変動するおそれがある
- 人的リソースの確保が必要
こういった点を踏まえて、SEOに取り組むための計画や体制を整えましょう。
即効性がなく、効果が出るまでに時間がかかる
SEOは、施策を実行したからといってすぐに結果が出るものではありません。そのため、広告など即効性のある集客施策と組み合わせながら取り組むことが大切です。
毎月定期的な振り返りを行いながら、ひとつのコンテンツについて3ヶ月~半年程度は様子を見ましょう。「こうすれば絶対に上位表示される」という方法はないので、分析と改善を繰り返していくことが重要です。
また、Webサイト自体のコンテンツ量が少ないとSEO施策の効果が出にくい傾向もあるため、コンテンツを蓄積していくことも重要です。
アップデートで順位が大きく変動するおそれがある
検索アルゴリズムは更新されるものです。特に大きなアップデートがあると、それまでの表示順位が大幅に変わることが珍しくありません。
一度上位表示になったからといって気を抜くことなく、定期的にデータを分析しながらメンテナンスを続け、変化にすぐに気づけるようにしましょう。また、Googleが発表する情報にも注意しましょう。
人的リソースの確保が必要
本記事で紹介しているSEOの具体的な施策を見るとわかるかと思いますが、SEO施策には人手と時間が必要です。社内で取り組む場合は、施策に必要なスタッフと業務時間をきちんと確保しましょう。
コンテンツの量が必要な場合、ライティングの一部を外注することもよく行われます。また、特に内部対策は専門知識が必要なところもあるため、SEOに強い外部の専門家の力を借りるのも良いでしょう。
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