ネーミングとは、店舗や商品、サービスなどに名前を付けることです。
キャッチーで愛されるネーミングを作成できれば、商品の魅力がお客さまにより伝わって売上や集客力アップにつなげられます。
この記事では、マーケティングにおいて重要な役割を果たすネーミングについて解説します。
魅力的なネーミング作るアイデアを知って、売上アップに役立てましょう。
ビギニャーくん、頭を抱えてどうしたの?
先輩、助けてください~。お客さんから新しく立ち上げるWebメディアのネーミングについて相談されたんですけど、まったく思い浮かばないんです……。
あ~、ネーミングか。難しいよね。僕も苦手なんだぁ。
そもそもネーミングとは?
ネーミングとは、店舗や商品、サービスなどの「モノ・コト」に名前をつけることです。ネーミングされた商品名やサービス名はロゴやパッケージ、看板に大きく記載されるため、お客さまが目にする最初の情報となります。
どれほど魅力的な商品を開発しても、名前がなければ消費者に存在を知ってもらうことはできません。魅力的なネーミングを作成してお客さまの目を引くことで、商品を手に取ってもらったり目に留めてもらったりするという「最初の一歩」を踏み出せるのです。
たとえば、緑茶飲料のトップブランドである「お~い、お茶」は、現在のネーミングに変えてから売上が6倍にまで増えました。ネーミングには、売上が大きく左右される可能性があるのです。
ネーミングは、商品を売り出すための戦略を考えるときに、マーケティング担当者がもっとも頭を抱える部分かもしれません。
しかし、ネーミングのコツを知っていれば、誰でも愛されるキャッチーなネーミングを作成することができます。
ネーミングが売上を左右する……!?責任重大すぎて気が重くなってきました……。先輩、魅力的なネーミングってどうやって作ればいいんですか?
ネーミングを作るときは、3つのプロセスを経る必要があるんだよ。
ネーミングを作成する手順
ネーミングを作成するときは、次の手順をでピンとくるフレーズを探していきます。
- 商品の特長を整理する
- キーワードやその言い換えをリストアップする
- キーワードをヒントにネーミングを考える
- 愛されるネーミングを絞り込む
各手順を解説します。
商品の特長を整理する
ネーミングでは商品やサービスの魅力を伝えることが大切なので、はじめに商品の特長を整理しておく必要があります。
- どのようなターゲットに向けて開発した商品なのか?
- どのような特長があるのか?
- どのようなことを消費者に知ってほしいのか?
上記のような特長・コンセプトを再確認することで、ネーミングに盛り込むべき要素を発掘できます。開発者へのインタビューや商品企画書の確認など、商品開発に関連する人や資料も活用してみましょう。
キーワードやその言い換えをリストアップする
次に、整理した商品の特長をキーワードに落とし込んでみましょう。たとえば、「初心者向け」「ビギナー」「誰でも使いやすい」…といったように、ひたすらキーワードをリストアップします。
また、挙げたキーワードの言い換え表現もリストアップし、できるだけ多くの言葉を集めてみましょう。頭の中だけでキーワードを考えることには限界があるので、辞書や検索なども活用することがおすすめです。
キーワードをヒントにネーミングを考える
リストアップしたキーワードをヒントにネーミングを考えます。ネーミングを考えるときは、「愛されるネーミングで大切な要素」と「ネーミングテクニック」の2つを意識することが重要です。
この2つについては後述するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。可能であれば、ここでは複数のネーミングを作ってみてください。少なくとも3つのネーミングを作っておくことをおすすめします。
愛されるネーミングを絞り込む
最後に、実際に採用するネーミングを1つに絞り込みます。考えたネーミングのうち、どれが一番魅力的に感じるのかについてアンケートを取ってみましょう。社内だけではなくお客さまにもアンケートを取ると、より効果の高いネーミングを見極められます。
どうしてもネーミングが作成できないときは、クラウドソーシングでアイデアを募集することもおすすめです。ネーミングでお悩みの際は、ランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングも活用してみてくださいね。
手順だけを見ると簡単そうですけど……、肝心の「愛されるネーミングで大切な要素」がわからないです。
さまぁまぁ焦らずに。そこについても、これからちゃんと説明するよ。
ネーミングで大切な要素
愛されるネーミングを作成するためには、以下の3つの要素を押さえておく必要があります。
わかりやすくて簡潔
愛されるネーミングは、とにかくわかりやすくて簡潔であるという特徴があります。わかりやすいネーミングは、目や耳に残りやすいためです。たとえば「熱さまシート」は、名前を見るだけでどのような商品かがイメージできますよね。
わかりやすいネーミングを作成できると、「熱が出てきたな…。そういえば、熱さまシートという商品があったな、役立つかも!」と、消費者に思い出してもらいやすくなります。
ベネフィットがイメージできる
ベネフィットとは、その商品を使うことで「得られる利益」を指します。商品の長所を意味する「メリット」とは違った意味で使われることが多いので注意しましょう。ベネフィットは主に「得られる未来・恩恵」のニュアンスが強い言葉です。
たとえば、高性能なパソコンのメリットが「処理速度が早い・サクサク動く」なら、ベネフィットは「仕事が1時間早く終わる・ストレスがなくなる」といったことになります。ベネフィットをネーミングに盛り込むと、商品の本当の価値をイメージしやすくなるでしょう。
化粧品の「モテマスカラ」などが良い例として挙げられます。なお、マスカラの起源は、とある薬剤師が妹の恋の成就のために考案した「まつげを濃く見せる化粧品」です。モテさせるために生まれたマスカラだからこそ、「モテマスカラ」というネーミングもあながち大袈裟ではありません。
親しみや面白みがある
親しみやすさや面白みがあるネーミングを作成することも、非常に重要です。漢字や英語が並んだ小難しいネーミングよりも、私たちに馴染み深かったりクスッとしたりするネーミングのほうが印象に残りやすくなるためです。
たとえば、桃屋の海苔の佃煮「ごはんですよ!」は、消費者に呼びかけるユニークなネーミングです。これが「桃屋の特製海苔佃煮」という名前だったら、印象に残らずここまでヒットすることはなかったかもしれません。親しみやすさやちょっとしたひねりを加えると、ネーミングの質は格段によくなるのです。
いつも使っている商品を分析して、どんな特徴を持った名前なのかを考えてみると、ネーミングのヒントが見つかるかもね。
なるほど……!なんだか僕にもネーミングができそうな気がしてきました!
お!その調子その調子!ビギニャー君がもっと魅力的なネーミングを作成できるように、ネーミングテクニックについても紹介しておくね。
【事例】キャッチーなネーミングを作るテクニック9選
キャッチーで魅力的なネーミングができるかどうかは、才能ではなくてテクニックの有無にかかっていると言っても過言ではありません。 ここでは、誰でも真似できるネーミングテクニックについてご紹介します。
ビジョンや目的をヒントにする
会社名や店名、オウンドメディアなどを立ち上げるときにおすすめなのが、ビジョンや目的をヒントにネーミングする方法です。会社やお店に込めた想いが消費者によく伝わるようになります。
- オイシックス株式会社「美味しいものを苦労せずに食べたい」というお客さまの声に答える会社
- 株式会社ファーストリテイリング「ファーストフードのように早い小売業」という企業精神を持った会社
キーワードを組み合わせる
リストアップしたキーワードをプラスしたりかけ合わせたりしてネーミングする方法です。商品イメージがより伝わりやすくなります。
- シーチキン:Sea(海)+chicken(鶏肉)
- ケシミン:消す+シミ
キーワードの一部を変える
キーワードの一部を変更して、オリジナルの造語を作る方法です。キーワードの印象を強めたい、オリジナリティを強めたいときにおすすめです。
- ららぽーと:フランス語で港の意味を持つ「la port」の語感をよくしたネーミング
- ぷっちょ:噛んだときの「ぷちゅ」という食感の語感をよくしたネーミング
キーワードを略す
人間は3~4語の言葉を覚えやすいとされているため、長いキーワードを略すと印象的なネーミングを作成できます。名前にしっかりと意味を込めつつ、キャッチーなネーミングができるというメリットがあります。
- アシックス:「Anima Sana InCorpore Sano(健全な精神は健全な肉体に宿れかし)」の略
- チューハイ:焼酎ハイボールの略
語呂合わせにする
キーワードを親しみやすく語呂合わせにする方法です。商品のコンセプトをしっかりと伝えつつ、覚えやすくて印象的なネーミングに仕上げられます。
- ASKUL:「明日商品が来る」を変化させたネーミング
- GU:「もっと『自由』に着よう」の「自由」を変化させたネーミング
逆さまから読む
キーワードを後ろから読むと、意外にいい商品名になることがあります。とてもシンプルな手法ですが、思いのほかキャッチーなネーミングに仕上がるかも……!?
- MIU:海を反対から読んだ、海洋深層水を使用したミネラル飲料のネーミング
- ポッキー:吉報を逆さから読んだネーミング
接頭語や接尾語をつける
キーワードに接頭語や接尾語をつけ、印象をガラッと変える方法です。キーワードに意味を付け加えられるので、より想いを込めたいときにもおすすめです。
- NIFTY:「Network Information Forum」の頭文字と、状態を表す(-ty)の組み合わせ
- Panasonic:「Pan-(すべての)」と、「Sonic(音)」を「a」でつないだ造語
外国語にする
日本語や英語でピンと来ないときは、ほか言語に翻訳してみる手法がおすすめです。フランス語やドイツ語、イタリア語などさまざまな国の言葉に変えてみると、面白い音やリズムの名前を付けるヒントになるかもしれません。
- Nivea:ラテン語の「nix(雪)」「nivis(雪の)」
- HOKA ONE ONE(ホカオネオネ):ニュージーランド語の「さあ、飛ぼう」
アナグラムにする
アナグラムとは、単語の文字を入れ替えて別の意味にする言葉遊びのことです。簡単に造語を作れるので、アイデアを出すのが苦手という方でも実践しやすいネーミング方法です。
- EDWIN:「DENIM(デニム)」のアナグラム
- すイエんサー:「サイエンス」のアナグラム
わ~!このテクニックを知っていれば、誰でも魅力的なネーミングを作れそうですね!
そうだね。ぜひここまでに紹介したコツとテクニックを参考に、ネーミングを作成してみてね!
最後に、ネーミングを作成するときに気をつけたいポイントを解説するね。
ネーミングを考えるときの注意点
ネーミングを考えるときは、以下の3つのポイントに気をつけましょう。
- すでに商標登録されている名前でないか
- 似たような名称のモノやサービスはないか
- ドメインは取得できるかどうか
言うまでもないですが、すでに商標登録されている名前は使用できません。似ている名前であれば使用することはできますが、のちにトラブルになったり消費者に間違われたりとデメリットが多いため避けたほうが安心です。
また、せっかく素敵なネーミングを考えられても、ドメインが取得できなければホームページなどを作成するときに問題となります。ドメインの取得が可能かどうかについても確認しておきましょう。
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LIFT編集部
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