フロントエンド商品とは、集客のために価格を安く設定した商品。そして、バックエンド商品とは、集客したお客さまへ最終的に勧めたい本命商品のことです。
この記事では、集客に効果的なフロントエンド・バックエンドマーケティングについて解説!商品の作り方から実例まで、やさしく説明します。
この前お試し用の猫缶を買ったんですけど、すんごく美味しかったんですよ~!昨日、思わず箱買いしてしまいました!先輩も1つどうですか?
お~、ほんとだ、おいしいねこれ!これがフロントエンド商品だったら、僕もついついバックエンド商品を買っちゃうかもしれないな~。
フロ……?先輩、何をいきなり難しい話をしてるんでしょうか……?
INDEX
フロントエンド商品とは?
フロントエンド商品とは、「本命商品」をお客さまに購入してもらうために提供される、「集客商品」のことです。高額な本命商品を、自社商品を初めて知ったお客さまにいきなり購入してもらうことは難しいですよね。
そのため、手に取りやすい価格帯のフロントエンド商品を用意して「ここの商品いいかもしれない」と思ってもらうことで、本命商品につなげるのです。
たとえば、10kgの業務用唐揚げを販売する企業があったとします。お客さまからすると、初めて取引する企業からいきなり10kgも唐揚げを買うのは気が進みませんよね。
そこで、フロントエンド商品として200gの唐揚げを販売しておけば気楽に試してもらえますし、気に入ってもらえたらより高額な業務用唐揚げの購入に誘導する、という戦略が取れるようになるのです。
魅力的なフロントエンド商品を作れるかどうかで、お客さまが企業やブランドに興味を持ってくれるかどうかが変わってきます。さらに、デジタルマーケティングでは、フロントエンド商品を手に取ってもらう際にお客さまの情報が得られるというメリットもあります。
そのお試し用の猫缶は、本命商品に興味を持ってもらうためのフロントエンド商品っていうことになるね。
へぇ~。まんまと策略にハマってしまいました……!そういえば、もう1つのバックエンド商品って何ですか?
バックエンド商品とは?
バックエンド商品とは、フロントエンド商品を購入してもらったあとに販売する「本命商品」のことです。先程の例でいうと、10kgの業務用唐揚げが該当します。
基本的にバックエンド商品は、フロントエンド商品と比べると利幅が大きい商品が設定されます。利益が少なくて安価な集客商品でお客さまを集め、そのまま利益の大きい本命商品につなげる戦略が、「フロントエンド・バックエンドマーケティング」なのです。
ちなみに、ECサイトで用いられる「2ステップマーケティング」も同じ考え方です。これの戦略では、最初のステップとして無料サンプルやお試しセットを提供して、最終的に本命商品につなげることを目指しています。
バックエンド商品とフロントエンド商品を別で用意しておくことで、成約に至るお客さまの割合を大幅に向上させることが可能となります。
この戦略は色んなところで使われているから、日頃から意識してみると勉強になる発見がたくさんあるかもね。
たしかに!実店舗でもインターネット上でも、こうやって集客している企業を割と目にする気がします!
でも、どうしてわざわざ2段階に分けて商品を売る必要があるんですか?
フロントエンド商品を設定するメリット・デメリット
フロントエンド商品を設定するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット
まずはメリットからお伝えします。主なメリットは次の3点です。
- 新規顧客を獲得できる
- 販売に繋げやすい
- データを収集できる
各メリットを解説します。
新規顧客を獲得できる
購入ハードルが低い商品を設定しておくと、見込み顧客と接点を持ちやすくなります。本命商品だけを店頭に並べると価格面がネックになって見向きもされない場合も、比較的低価格な商品があると、「安いしとりあえず買ってみようかな」と思ってもらいやすくなりますよね。一度購入・利用した企業やブランド、店舗には抵抗感を抱きにくくなるので、結果的にバックエンド商品も検討してもらえるようになるのです。
販売に繋げやすい
フロントエンド商品を用意しておくと、商品やサービスを手に取ってくれるお客さまが増えます。そのため、すぐに販売数が増えやすいというメリットがあるのです。
ただし、フロントエンド商品はあくまで集客商品なので、それ自体では大きな利益が出ません。利益だけを追うのではなく、集客やデータ収集、商品・施策の改善策を考えるためのひとつの手段として捉えることが大切です。
データを収集できる
フロントエンド商品を販売するときにお客さまの情報を収集しておけば、今後のマーケティング施策に活かせます。
とくに、ECサイトやWebサイトのフォームを利用して購入してもらう場合、お客さまの年齢や性別、居住地、職業、購入履歴などのデータを収集・分析することが可能です。
集めた情報は、一人ひとりに合ったCRMの実施はもちろん、新商品開発といった新しい施策にも活用できるでしょう。
デメリット
続いて、デメリットを見ていきましょう。デメリットは次のとおりです。
- フロントエンド商品だけで満足される可能性がある
- バックエンド商品へ誘導する取り組みが必要
フロントエンド商品だけで満足される可能性がある
フロントエンド商品を用意したからといって、必ずしもバックエンド商品の購入につながるとは限りません。フロントエンド商品を購入しただけで満足してしまう可能性があるためです。フロントエンド商品は、お客さまに満足してもらえる品質に仕上げつつ、完璧すぎない商品にしましょう。
バックエンド商品へ誘導する取り組みが必要
フロントエンド・バックエンドマーケティングを成功させるためには、バックエンドにつなげる仕組みが必要です。たとえば200gの唐揚げを購入した人であっても、さらに大容量な10kgの唐揚げがあることを知らなければ、バックエンド商品の購入につなげられません。
バックエンド商品の購入に至らない理由はさまざまですが、情報の提供や定期的なアプローチなどを通して、ステップアップしてもらうための仕組みを作ることが大切なのです。
なるほど……。フロントエンド商品を作るのって、メリットも多いけど難しいんですね……。
そうなんだよね。どうやって商品を作るのか、一緒に見てみる?
え?いいんですか!?ありがとうございます!
フロントエンド商品・バックエンド商品の作り方
フロントエンド商品は、以下のステップで設計を進めていきましょう。
ターゲットのニーズを把握する
まずは、ターゲットのニーズを把握してコンセプトを決めましょう。お客さまの要望や意見を満たせる商品でなければ、そもそもフロントエンド商品に興味を持ってもらうことすら難しいためです。
お客さまへのヒアリングやアンケート、今まで蓄積してきた情報をもとに、「今必要とされている商品が何か」を把握しましょう。そのなかに、商品設計のヒントが隠されています。
バックエンド商品を決める
次に、バックエンド商品の種類を決めましょう。バックエンド商品の一例としては、以下のようなものが挙げられます。
バックエンド商品の種類
- 小売系:エンドモデル製品の購入
- 通販系:定期購入
- 配信サービス系:サブスクリプションへの登録
- 教育系:講座への申し込み
- 士業:コンサルティング契約
- 製造業:正式受注
「最終的に何がユーザーのニーズを満たせるのか」について整理しておくと、バックエンド商品に見合ったフロントエンド商品を作りやすくなります。
フロントエンド商品を設計・作成する
フロントエンドの設計には、ターゲットが抱えている課題の把握が欠かせません。たとえば、最終的な目標がオンライン英会話教室への入会だとすると、以下のように課題の推測とフロントエンド商品の考案ができます。
フロントエンド商品設計の一例
- バックエンド商品:オンライン英会話教室への入会
- ニーズ:英会話を勉強したい
- 課題:高いお金を払って失敗したら嫌だなぁ……。入るか悩むなぁ。
- フロントエンド商品の候補:1か月の無料体験レッスンを提供する
このように、単にニーズだけを見るのではなく、ターゲットが抱えている課題についても把握することが大切です。なお、フロントエンド商品の代表的な種類は以下の通りなので、設計時はぜひ参考にしてみてくださいね!
フロントエンド商品の種類
- 小売系:エントリーモデル製品の購入
- 通販系:サンプルの提供
- 配信サービス系:無料お試し期間
- 教育系:無料体験レッスン
- 士業:初回50分の無料相談、セミナー
- 製造業:無料見積り、小ロットからの受注
なお、フロントエンド商品は必ずしも無料にする必要はありません。ニーズを抱えているお客さまが購入しやすい価格帯を見極めて、企業ごとに最適な値段を決めてください。
検証してみる
フロントエンド商品が作成できたら、効果を検証してみましょう。いきなり市場に流通させても問題ありませんが、無駄なコストを減らして効率よく検証するなら、一度テストすることがおすすめです。
アンケートで消費者の意見を聞いたり、座談会を開いてみたりしてもいいでしょう。「フロントエンド商品からバックエンド商品にステップアップしたいか」「どうすればバックエンド商品を買いたくなるか」といった意見を聞ければ、成果の出るマーケティングの実施につなげられます。
ニーズだけではなく課題もしっかりと把握するんですね!メモメモ……。
そうだね。それと、フロントエンド・バックエンドマーケティングを成功させるためには、コツを押さえておくことが大切なんだよ。
コツですか……?先輩、詳しく教えてくださいっ!
フロントエンド・バックエンドマーケティングのコツ
フロントエンド・バックエンドマーケティングを成功させるために、以下の4つのコツを押さえておきましょう。
一貫性を持たせる
フロントエンド商品とバックエンド商品を設計するときは、一貫性を持たせることが非常に重要です。たとえば、最終的に業務用唐揚げ10kgを購入してほしいのにエビフライの試食を提供しても、唐揚げの購入につなげることは難しいですよね。
この場合は、唐揚げの試食を配ったほうがいいことは想像できますよね。フロントエンド商品とバックエンド商品は、必ず関連性があるものにすることが大切なのです。
コストや収益を長期的な視点で捉える
フロントエンド商品は利幅が少ない商品ですし、最初はなかなかバックエンド商品の購入数が増にくいため、「利益が出ない」「コストばかりかかって意味のない施策だ」と思ってしまうこともありでしょう。
しかし、一時的にコストがかかっても、この施策では確実に新規顧客を獲得できます。適切に商品を設計できていれば結果的にマイナスを回収できる可能性が高いので、すぐに諦めずに施策を継続する根気強さが非常に重要となります。
完璧に作り込まない
フロントエンド商品を作るときは、完璧になるまで作り込まないことを意識しましょう。なぜなら集客商品で満足させてしまうと、本命商品につながらない可能性が高いためです。
「次も使いたい!」と思ってもらうために、ある程度の信頼を獲得したり品質を高めたりする必要はあるのですが、わずかに不満や課題、物足りなさが残る商品にしなければいけないというわけです。
「すべての機能を使いたいなら有料会員へ!」「セミナーだけではなくコンサルも希望なら契約を!」など、バックエンド商品で大満足してもらえる商品設計を心がけてください。
ん~、完璧に作り込まないって難しいです。なんだか、どんな商品設計にすればいいかわからなくなってきました。
それじゃあ、最後に実例を見てみようか!
フロントエンド・バックエンドマーケティングの実例
フロントエンド商品とバックエンド商品を活用したマーケティングは、実は世の中にたくさん溢れています!ここでは、その実例についてご紹介します。
コンビニコーヒー
コンビニコーヒーは、セブン-イレブンやローソンなどさまざまなコンビニで販売されています。コーヒー自体は100円前後と格安で、利益が出にくい価格設定ですよね。
しかし、コーヒーのついでにおやつや朝食を買うお客さまを呼び込む効果があるため、トータルで見ると利益が出るようになっているのです。
動画配信サイト
HuluやNetflixなどの動画配信サイトは、2週間~1か月程度の無料お試し期間を用意しています。だれでも気軽に挑戦できるお試し期間を設けておくことで、「便利だから本登録しようかな」「解約するのが面倒だし、このまま契約してもいいか」と考えるユーザーの獲得を狙っているのです。
スーパーマーケット
スーパーマーケットも、フロントエンド・バックエンドマーケティングを行っている代表的な小売店です。スーパーのチラシに記載があるような目玉商品は、それだけで利益を獲得できない価格設定になっています。
激安の目玉商品でお客さまを集め、そのほかの商品のついで買いで利幅を獲得しようと考えているわけです。
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