仮説思考とは、限られた情報から可能性の高い仮説を立て、それにもとづいて戦略の実行や検証、修正を行う思考法です。
本記事では、マーケティングで仮説思考を活用するメリット・デメリットやトレーニング方法、プロセスを事例付きで解説します。
仮説思考は、より効果的なマーケティング施策を実施したいと考えるマーケターに不可欠なスキルです。仮説思考を身につけて、ビジネスの効率化を目指しましょう。
お!ビギニャー君、Googleアナリティクスが使えるようになったんだね。勉強頑張ったね~!便利でしょ、それ。
はい!でも、ここで集めた情報をどうやって活用すればいいかわからないんですよね。シニヤン先輩、なにかアドバイスもらえませんか?
ふむ、そうだなあ……。ビギニャー君は、Googleアナリティクスを使うときに必要となる考え方を知っているかな?デジタルマーケティングで一番重要なのは、「仮説思考」を持つことなんだ。
デジタルマーケティングで重要な仮説思考とは?
膨大な情報を取り扱い、さまざまな施策を実施・検証するデジタルマーケティングでは、いかに効率よく問題を解決できるかが重要となります。そのときに不可欠なのが、「仮説思考」という思考法です。
仮説思考とは、文字どおり「仮説を立てて思考する方法」なのですが、これだけを聞いてもピンとこない方は多いかもしれません。まずは、仮説思考の基本的な知識を身につけましょう。
- 仮説思考をわかりやすくいうと
- 2つの仮説の種類
- マーケティングで仮説思考が重要な理由
上記の3つのポイントを詳しく解説します。
仮説思考をわかりやすくいうと
仮説思考とは、限られた情報から可能性の高い「仮の結論=仮説」を立て、その内容にもとづいて戦略の実行・検証・修正を行う思考法です。
仮説を立てて検証するというPDCAサイクルを回し続けることで、仮説思考のプロセスがノウハウ化され、思考の精度が高まっていきます。試しに、コンビニエンスストアの店長の立場に立って仮説思考をしてみましょう。
近隣でイベントが開催される日は、飲食物の売り上げがいつもの3倍になります。明日は、近所の小学校で運動会が開催される日です。この2つの情報をふまえると、「飲み物や食料を買いにくる保護者がいるかもしれないから、今日は多めに発注しておこう」という結論に至ります。
このように、私たちは無意識に今ある情報をもとに仮説を立てて行動しています。つまり、仮説思考は私たちが普段日常的に活用している思考法なのです。この思考法を意識的に行うことで、効率的で精度の高いマーケティングやビジネスの実現を目指せます。
2つの仮説の種類
仮説思考で取り扱う仮説は、2つの種類に分類できます。しっかりと使いこなすためにも、仮説の種類を学んでおきましょう。
課題仮説
課題仮説とは、理想の状態と現状のギャップ(課題)に関する仮説です。例えば、オウンドメディアのアクセス数がなかなか伸びず、目標の半分にも満たない状態であるとします。
この場合、現状と理想の状態の間にある課題として「オウンドメディアの露出が少ない」「再訪問してもらえない」などが考えられるかもしれません。
仮説思考のなかでも特に重要なのが、この課題仮説です。正しく課題仮説を立てられなければ、効果的な打ち手を導き出すことはできません。課題仮説を間違える、大幅に時間をロスする危険性があるため注意が必要です。
打ち手仮説
打ち手仮説は、課題の解決策に関する仮説です。例えば「サイトに再訪問してもらえない」という課題に対して、「連載コラムを増やせば、定期的に再訪問するユーザーが増えるかもしれない」と考えます。あらかじめ仮説を立てて検証を繰り返せば、効率よく効果的な打ち手を見つけられるようになるでしょう。
マーケティングで仮説思考が重要な理由
マーケティングにおいて仮説思考が重要な理由は、素早く効果を最大化できる戦略を立てられるようになるためです。情報があふれかえり、市場や消費者のニーズが多様化した現代。膨大な情報を網羅的に分析して結論を導き出す「ボトムアップの思考法」では、判断を下すまでに膨大な時間を要します。
情報の収集や分析をしている間に市場が変化して、時代遅れな戦略になってしまう可能性もゼロではありません。一方で、立てた仮説をもとに必要な情報を抽出し、仮説を証明する「トップダウンの思考法」であれば、時間や労力を最小限に抑えられます。
つまり、仮説思考を活用すれば限られた時間・情報で論理的な思考が可能となり、最適な意思決定ができるようになるのです。移り変わりが早い市場で今必要な施策を打ち出すためには、仮説思考が不可欠であるといえるでしょう。
「仮説思考」って聞くとピンときませんが、僕たちが普段生活で行っている思考法なんですね!なんだか面白そうっ!
ふふふ、でしょう?マーケティングで仮説思考を活用すると、多くのメリットが得られるんだよ。もちろん、デメリットもあるんだけどね。
へぇ~!仮説思考のメリット・デメリット、知りたいですっ!
仮説思考のメリット・デメリット
仮説思考には、メリットとデメリットの両方が存在しています。ここでは、それぞれを詳しくみていきましょう。
仮説思考のメリット
仮説思考には、4つのメリットがあります。
作業スピードと質が向上する
仮説思考の最大のメリットは、スピーディーかつ高品質な仕事を実現してくれる点です。仮説を立てずに仕事に取り組む場合、試行錯誤を繰り返しながら膨大な可能性を探っていく必要があります。時間が無限にあればこの方法で答えを見つけてもよいかもしれませんが、ビジネスの現場では時間に制約があります。
そのため、可能性をある程度絞り込んでから答えを探っていくほうが効率的なのです。間違った仮説を立ててしまった場合は、「仮説を裏付ける情報が見つからない」「想定していたストーリーから外れる」などのサインが現れます。早い段階で間違いに気づけることがほとんどなので、スピーディーに軌道修正できるでしょう。
このように、仮説を検証しながら軌道修正していけば、限られた時間で最大のパフォーマンスを発揮できる結論を導き出せるようになるのです。
迅速に意思決定できるようになる
仮説思考は、迅速な意思決定に役立ってくれます。ビジネスパーソンのなかには、「判断材料となる情報は多いほうが意思決定しやすくなる」と考える方もいることでしょう。
しかし、膨大な情報は活用しにくく、意思決定を阻害する原因となる場合もあります。例えば、いつも利用している飲食店がメニューの割引をしていたとします。「今日はラーメンも焼肉定食もオムライスもうどんも安いですよ」といわれると、どれにするか悩んでしまいますよね。
反対に、「今日は寒いからラーメンをお得にしました」と言われると、すぐに意思決定ができます。最低限の必要な情報を用いる仮説思考は、情報に溺れることを防ぎ、素早く意思決定する手助けをしてくれるのです。
生産性が向上する
仮説をもとに戦略を立てることは、生産性向上にも役立ちます。仮説を立てながら問題と向き合えば、本質的な課題を見極める力を身につけられます。課題の原因や具体的な解決策についての仮説が立てられれば行動につながりやすくなり、効率的な仕事ができるでしょう。
また、仮説を検証していくなかで、次第に「この課題にはこの解決策」という正解パターンのノウハウを蓄積できます。精度の高い仮説を立てられるようになれば、生産性は大幅に向上させられます。
リーダーシップが身につく
仮説思考をトレーニングすれば、リーダーシップを身につけられます。限られた情報から仮説を立てる力は、プロジェクトの全体像をつかみチームを導く際に役立ってくれるでしょう。
また、部下や上司からの情報をもとに先を読む力、重要な局面で必要な判断を下す力も磨かれます。仮説思考で身につく力は、リーダーに求められる能力でもあるのです。
仮説思考のデメリット
メリットが豊富な仮説思考ですが、一部デメリットが存在していることも事実です。仮説思考の2つのデメリットをみていきましょう。
仮説以外の可能性を見落とすリスクがある
仮説思考では、立てた仮説以外の可能性をいったん度外視することになります。そのため、仮説以外の選択肢を見落としてしまうリスクはゼロではありません。仮説思考で立てる仮説は、思考者の知識や情報収集能力に依存しやすい傾向にあります。
そのため、精度の低い仮説を立ててしまうと、よりよい結論にたどりつけなくなるかもしれません。それを防ぐためにも、仮説の間違いに気づいたときは、迅速に軌道修正をすることが大切です。
はじめは精度の高い仮説を立てられない人でも、繰り返し仮説思考を実践していけば、思考の精度が磨かれていきます。よりよい仮説を立てるためにも、トレーニングを積んで仮説思考のスキルを高めていきましょう。
新しい発見が生まれにくい
仮説思考は、立てた仮説に絞って検証を進めていくため、新しい発見が生まれにくいというデメリットもあります。
新しい発見やアイデアは、いろいろな発想や戦略を実施するなかで偶然生まれるものです。結論ありきで考える仮説思考とは真逆の性質をもっているため、クリエイティブな発想やイノベーションを得たいときは注意が必要です。
ふむふむ。仮説思考にはデメリットもありますが、きちんと目的をもって活用するぶんには便利そうですね!
そうだね。リーダーシップも身につくし、これを機にビギニャーも挑戦してみたらどう?
ぜひやってみたいです!先輩、仮説思考のやり方を教えていただけませんか?
【事例】仮説思考のプロセス・やり方
仮説思考は、以下のようなプロセスで進めます。
- 情報の収集と分析
- 仮説の設定
- 仮説の実行と検証
- PDCAの実施
ここでは、事例として「Googleアナリティクスで自社HPを閲覧している企業を調べる方法」というページのアクセス改善戦略を仮説思考で考えてみましょう。
情報の収集と分析
「仮説」を立てるためには、まず材料となる情報が必要です。はじめに、問題や課題の現状を正しく把握するために、情報の収集と分析を進めましょう。
このときに注意したいのは、新しく情報を集めようとしないことです。仮説がない状態で情報収集しても、「何の情報をどこまで集めればいいのか」がわからないためです。今ある情報をベースに考えていくことを意識しましょう。
現状の分析には、ビジネスフレームワークや解析ツール、CRMを含むマーケティングシステムなどが役立ちます。
仮説思考の例
サイトの現状を知るために、「誰が・いつ・どこを経由して・何を使ってサイトを閲覧したのか」などの情報をアクセス解析ツールで計測しました。その結果、次のような情報を得たようです。
仮説の設定
次に、収集・分析した情報をもとに仮説を立てます。仮説を立てるときは、どのような情報をもとにどう考え、なぜこのような結論に至ったのかを明確にしましょう。仮説設定のプロセスを明らかにすれば、関係者間で仮説の精度検討や、施策実施の説得などに役立ちます。
ポイントは、「固定観念や主観を入れないこと」と「はじめから100点の仮説を立てようとしないこと」です。客観的事実にのっとり可能性が高い仮説を立てつつ、軌道修正を繰り返しながら精度を上げていきましょう。
仮説思考の例
前のステップでわかった「事実」をもとに、「このサイトはどんなユーザーに興味をもってもらっているのか」について仮説を立てます。
このときのコツは、間違いを恐れずに思いついた「仮説」を積極的に形にしていくことです。たとえば、シニヤンは導き出した「事実」から次のような仮説を立てたようです。
仮説の実行と検証
仮説が立てられたら、それが正しい結論であると想定して戦略を検証します。手っ取り早く検証するには、施策を実施するのが一番です。しかし、リスクがともなう場合は、次のような方法で仮説の検証を行ってもよいでしょう。
- 仮説を裏付ける情報の収集
- 専門家へのヒアリング
- 他部門や消費者を巻き込んだ意見交換
仮説を検証するときのポイントは、数値化できる情報である「定量情報」と数値化できない消費者の意見などを含む「定性情報」の両方からアプローチすることです。多角的な視点から検証できれば、仮説の問題や修正点を見つけやすくなります。
PDCAの実施
仮説を実行・検証したあとは、その結果にもとづいてPDCAサイクルを回しましょう。PDCAサイクルとは、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」を繰り返し、ビジネスの精度を高めていく取り組みです。実行した仮説を評価し、間違えていた部分は再考して軌道修正します。
なお、仮説の修正は検証と同時に行うことも可能です。検証と修正を同時進行できれば、よりスピーディーな問題解決を目指せるでしょう。
コツは、仮説を立てるときに「間違っているかも」と気にしすぎないこと。仮説が正しいのかどうかは、検証して確かめればいいんだから。
それでやっぱり仮説が間違っていたら、今度は「この仮説は違った」という新たな情報が手に入るでしょう?そしたらその情報をもとにまた仮説を立て直して、軌道修正していけばいいんだよ。
むむむ、理屈はわかるんですけど、仮説を立てるのって難しいんじゃないんですか?仮説思考を身につけるには、どのような訓練をすればいいんだろう……。
仮説思考を身につけるトレーニング方法
仮説思考はマーケターやビジネスパーソンに不可欠なスキルですが、誰でもいきなりできるようなものではありません。ビジネスで通用するレベルの思考力を身につけるためには、トレーニングが必要です。仮説思考を身につけるためのトレーニング方法としては、次のようなものが挙げられます。
- ロジカルシンキングを身につける
- 正しく因果関係をとらえる
- 常に疑問を抱く
- 未来志向になる
- 引き出しを増やす
- 「So What?(だから何なのか?)」を繰り返す
それぞれの項目を詳しくみていきましょう。
ロジカルシンキングを身につける
ロジカルシンキングとは、物事における「結論」と「根拠」のつながりを捉えて、矛盾が生じないように順序立てて思考する方法です。日本語にすると、「論理的思考」という意味になります。
例えば「木になる実は果物である」「りんごは木になる」という根拠があった場合、「りんごは果物である」という結論を導き出すのがロジカルシンキングです。ロジカルシンキングには、次のようにさまざまな手法があります。
- 演繹法(えんえきほう):理論をつなげて結論を導き出す
- 帰納法(きのうほう):事実から共通事項を見つけて結論を導き出す
- 弁証法(べんしょうほう):対立または矛盾する事柄をあわせて結論を導き出す
このようなロジックパターンに課題を当てはめられるようになれば、根拠をもとによりよい仮説を立てる力を身につけられるでしょう。
正しく因果関係をとらえる
物事の「原因」と「結果」を正しくとらえることも、仮説思考を身につける際に重要となります。「この原因があったからこの結果につながった」と、裏付けや根拠をセットで考えられれば、仮説思考のスキルは大幅に向上します。日常のなかで起こる事象をよく観察し、原因と結果を考えるクセをつけてみましょう。
常に疑問を抱く
仮説思考では、事実や仮説を深掘りして考えることが非常に大切です。「このお客さんはどうしてこの商品を買ったのか?」「この施策や予算配分はそもそも正しいのか?」など、仕事や日常生活のなかで疑問を抱く習慣をつけましょう。
そして、その疑問を解消するために情報収集や分析を行ってみてください。この訓練を続けることで、仮説を検証する際に必要となる情報を見極める力や思考力を高められるようになります。
未来志向になる
未来に意識を向けて生活することも、仮説思考のトレーニングになります。例えば、「この新商品は1年後どれくらいのシェア率になっているかな」「この企業の事業や株価は3年後どうなっているかな」と、思考を巡らせてみましょう。
この際、なんとなく未来を予想するのではなく、客観的事実にもとづいて根拠のある予測をすることが大切です。日ごろから未来を予想して自分なりの仮説を立てる訓練をしておくと、ビジネスでもスムーズに仮説思考を活用できるようになります。
引き出しを増やす
仮説思考には、多くの知識や経験が必要になります。いくら思考法を鍛えても、知識や経験がなければ導き出せる仮説の引き出しは狭まります。よりベターな仮説を探し出すためには多くの選択肢が必要なので、知識や経験を身につけて引き出しを増やしておくことが重要です。
引き出しを増やすには、広くアンテナを張りあらゆる情報を収集する必要があります。自分が担当する業務の領域はもちろん、仕事以外の知識も意識的にインプットしておきましょう。広く深く知識を蓄えておけば、良質な仮説を立てる手助けとなってくれます。
「So What?(だから何なのか?)」を繰り返す
「So What?(だから何なのか?)」を繰り返すことも、仮説思考のトレーニングにつながります。So What?は、問題解決を目指す打ち手を考えるときに役立ちます。例えば、So What?を繰り返すと次のように仮説を導き出せます。
- 人件費がかさみ、経営が圧迫されている
- (So What?)今すぐ対処できる残業代の削減に取り組むべき
- (So What?)残業が多い部署は業務量が多く、人手が足りていない
- (So What?)これ以上人件費は増やせないから、業務効率化を目指すべき
- (So What?)IT化で業務を自動化すればよいのではないか
このように、So What?で問題を深掘りすれば、課題解決のための具体的なアクションを探り出せるようになります。
難しいトレーニングを想像していましたが、日常生活に取り入れられるものばかりで安心しました!さっそく、今日からチャレンジしてみますっ!
うんうん、頑張ってみてね。それとね、精度の高い仮説を立てるためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があるんだよ。
へぇ~。どうすれば仮説思考の精度を高められるんですか!?
仮説思考に取り組むときのポイント
仮説思考に取り組むときは、以下のポイントを意識するとより効果的です。
- 理想の姿と現状をしっかりと整理する
- 仮説をよく掘り下げる
- 仮説を具体化する
- さまざまな観点で考える
- AIを活用する
- ベストよりもベターを求める
ここでは、各ポイントの詳細を説明します。
理想の姿と現状をしっかりと整理する
仮説思考でもっとも重要なのが、理想の姿と現状のギャップを把握し、達成したい目標を設定することです。目標が明確になっていなければ、立てるべき仮説や最適な解決策があやふやになってしまいます。
まずは、今どのような状況でどのような状態が理想なのかを明確にし、何をもって「成功」とするのかをしっかりと整理しておきましょう。この際、3C分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークを利用すると、情報を整理しやすくなります。
仮説をよく掘り下げる
仮説を立てたあとは、その仮説をよく掘り下げてみてください。
- その仮説はどのような結果に結びつくのか
- 仮説を成功させるために必要な条件はあるのか
- 仮説によって解決できるのは本質的な問題なのか
このような疑問をもって仮説と向き合えば、実行前に仮説を検証できるようになり、タイムロスを最小限にとどめられます。
仮説を具体化する
仮説を立てるときは、できるだけ具体化することを意識しましょう。例えば、「成約件数が目標値の半分だった」という課題に対し、「営業力を強化すれば成約件数が上がる」という仮説を立てても、具体的な行動にはつながりません。
「インサイドセールスでアプローチを効率化する」「Web集客を強化するために月〇本コンテンツを制作する」など、行動に直結する仮説を立てることが大切です。
さまざまな観点で考える
精度の高い仮説を立てるためには、さまざまな視点から物事を捉えることが欠かせません。新しい発想やひらめきを生み出すためにも、3つの観点から考えることを意識してみましょう。
0ベースで考える
「0ベースで考える」とは、今までの常識や経験による先入観などをすべて取っ払い、まっさらな状態で物事を考えることです。思考にかかっているリミットを取り払うことで、クリエイティブなアイデアが生まれやすくなります。
例えば、顧客のニーズを反映した新商品のアイデアが思い浮かんだとします。しかし、今までの自社ブランドのイメージや予算、製造ラインなどのさまざまな制約が頭をよぎり、「どうせ実現できないだろうな」と提案をあきらめました。このような出来事は、仕事をしていれば日常茶飯事でしょう。
しかし、このような制約にとらわれていては、創造的なアイデアやひらめきは生まれません。制約を取り払って0ベースで考えれば、今までにないまったく新しい発想が生まれる可能性があります。
思考を両極端に振る
仮説思考の際は、両極端の仮説を立てることが効果的な場合もあります。例えば、営業活動をしても成果が出ないのであれば、いっそ営業活動をやめてみることも検討してみましょう。その代わり、既存顧客へのフォローに力を入れてみてはいかがでしょうか。
結果として、「既存顧客のアップセルやクロスセルだけでも利益を上げられる」という新たな事実がわかるかもしれません。
反対に、「事業成長に新規顧客は欠かせない」ということが再認識できる可能性もあります。思考を両極端に振れば新しい視点に立てるようになり、現状や真反対の施策に対する学びを得られるでしょう。
反対の視点から考える
反対の視点から考えることも、精度の高い仮説を立てる際に役立ちます。販売者目線のマーケティング戦略で商品が売れないのであれば、消費者目線に立ってみましょう。消費者目線で「どうしてこの会社の商品を買わないのか」を分析していけば、自社の問題点を見つけやすくなります。
この際、商品の品質や価格、機能、プロモーション戦略、サポート体制など、複数のポイントを評価することが重要です。
AIを活用する
仮説を立てる際は、ぜひAIを活用してみてください。AIは人間を大幅に上回る処理能力をもっており、客観的事実にもとづいた論理的な結論を導き出してくれます。
AIを使えば情報収集や分析を効率化できるうえ、思考バイアスも排除できるため、マーケターは仮説を構築することに集中できるようになるでしょう。
AIと聞くと高度なシステムをイメージする方は多いかもしれませんが、近年はAIを搭載したMAツールやCRMなども多く提供されています。マーケティングシステムや営業システムを導入している企業は、積極的に情報収集や分析に活用しましょう。
ベストよりもベターを求める
仮説思考を実践するときは、ベストよりもベターを求めましょう。ビジネスの世界には、100点の正解が存在していません。各企業を取り巻く環境は異なり、市場やニーズは常に移り変わっています。そのため、絶対に正しいといえる画一的な正解はないのです。
そのような状況でベストを求めて分析ばかりしていると、移り変わりが早い環境で取り残されてしまうおそれがあります。納得のいく仮説が立てられても、その頃には仮説が時代遅れなものになっている可能性もあるでしょう。
その時々で最良な選択をするためには、なるべく早くベターな施策を実行することが大切です。実行しながら軌道修正を繰り返せば、徐々に自社にとってベストな戦略に近づけるでしょう。
ふむふむ。先輩、ありがとうございました!僕、仮説思考のコツをだいぶつかめた気がします!さっそく、サイトの情報をもとに改善策を考えてみますっ!
仮説が立てられたら、ぜひ僕にも聞かせてね。一緒にブラッシュアップしていこう。
は~いっ!やっぱり先輩は頼りになりますっ!
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WRITING 執筆
LIFT編集部
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