Google Analytics 4(GA4)において、参照元情報に関する重要な仕様変更が行われました。
これまでは、ユーザーがダイレクト流入した場合でも、直前の参照元情報を引き継ぐことができました。
例えば、最初の流入がGoogle検索の場合は、その後にダイレクト流入しても参照元が「google/organic」と表示されてしまいます。この影響で、デジタル施策の成果を正確に把握することが困難という課題がありました。
しかし、新しい仕様では「ルックバックウィンドウ」の設定にもとづいて、参照元情報の引き継ぎ期間を制限することが可能になっています。
ルックバックウィンドウとは?
「ルックバックウィンドウ」は、GA4の設定内の「アトリビューション設定」の一部で、「参照元情報を保持する期間」を指定する機能です。この機能を活用すると、「広告のクリック・閲覧がコンバージョンに関連しているとみなす最大日数」を設定できます。
「ルックバックウィンドウの参照元情報の引き継ぎ期間」と「従来の参照元情報の引き継ぎ期間」にどのような違いがあるのか、詳しくみていきましょう。
従来の参照元情報の引き継ぎ期間
以前は、ユーザーがサイトを訪れる際に「ダイレクト流入※」であっても、そのユーザーが以前訪れたときの参照元情報を引き継ぐことができました。言い換えると、同一ユーザーと判別できる限りは、ダイレクト流入に「直前の参照元情報」を引き継ぐことになります。
例えば、最初の流入がGoogle検索の場合は、その後にダイレクト流入が続いても「Googleからの訪問」として参照元情報が引き継がれるというわけです。
※ブックマークからのアクセスやURLの入力、QRコードの読み込みなど、Web広告や検索、SNSなどを経由せずに訪れること
ルックバックウィンドウの参照元情報の引き継ぎ期間
今回の仕様変更では、GA4の「ルックバックウィンドウ」という設定にもとづいて、参照元情報を引き継ぐ期間を制限できるようになりました。
ルックバックウィンドウの基本的な仕組みは、次のとおりです。
- 設定した期間内に再訪問があった場合、参照元情報が引き継がれる
- セッションが発生するたびに期間がリセットされる
- キーイベントの発生有無は参照元情報の引き継ぎに影響しない
例えば、ルックバックウィンドウが「30日」に設定されている場合は、最初の訪問から30日以内に再訪すれば、最初の参照元情報(Google検索など)が引き継がれます。30日を経過してから再訪した場合は、参照元情報が引き継がれません。
ルックバックウィンドウにおける参照元情報の引き継ぎ例
ルックバックウィンドウを30日に設定した場合の具体的な参照元情報の引き継ぎ例は、以下のとおりです。
- 10月1日にGoogle検索から流入
→参照元として「google/organic」が記録される - 同ユーザーが10月20日にダイレクト流入で再訪
→ルックバックウィンドウの期間内であるため、「google/organic」の参照元情報が引き継がれる - 同ユーザーが11月15日に再訪
→10月20日の再訪でルックバックウィンドウ期間がリセットされているため、参照元情報は引き継がれる - 同ユーザーが12月31日に再訪
→前回の訪問から30日以上経過しているので、以前の参照元情報は引き継がれない
上記のように、参照元情報の引き継ぎ期間は、セッションが発生すると更新されます。なおこの際、セッション中にキーイベントが発生したかどうかは問いません。
参照元情報の引き継ぎ期間変更によるBigQueryへの影響
BigQueryは、Google Cloud が提供するデータ分析基盤です。データの抽出や結合、集計、フィルタリングなどの操作を高速で行えます。
BigQueryを使用したデータ分析においても、GA4のルックバックウィンドウの設定は反映されます。データを出力・集計するときは、ルックバックウィンドウで設定している期間を考慮に入れることが大切です。
仕様変更でより正確な分析が可能に!
これまでのGA4は、過去の参照元情報を継続的に引き継ぐ仕様だったので、実際よりもオーガニック流入や広告の効果が高く見積もられていた可能性があります。しかし、今回の仕様変更によって参照元情報の引き継ぎ期間を制限できるようになれば、より現実に即した効果測定が可能になるでしょう。
ただし、今後は「設定期間を考慮したデータ分析」が求められるようになります。アクセス解析やマーケティング施策の効果測定を行う際は、ルックバックウィンドウの設定期間の確認や見直しもセットで行うことが大切です。
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LIFT編集部
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