アプリマーケティングは、スマートフォンアプリを活用して顧客とのエンゲージメント向上を目指すマーケティング活動です。
この記事では、アプリマーケティング戦略の立て方や具体的な施策、企業成功事例を紹介します。スマートフォンを利用することが当たり前になった今、アプリを使ったマーケティング活動は不可欠なものになりつつあります。
アプリのダウンロード数を増やしたい企業はもちろんのこと、集客にアプリを活用したい企業は、ぜひ本記事でアプリマーケティングの第一歩を踏み出してみてください。
見てください、先輩っ!今日、ついに猫飯亭のアプリポイントが溜まったんです!ゴージャス定食の無料券と引き替えてきちゃいました〜!
おお〜、すごいね!頑張ってポイント溜めていたもんね。それにしても、アプリマーケティングは集客効果が高いし、ユーザーにとってもメリットが多いからよい施策だよね。
アプリマーケティング……?この、猫飯亭のアプリのことですか?
アプリマーケティングとは
アプリマーケティングとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で利用されるアプリケーションを活用したマーケティング活動です。アプリを通じてユーザーの興味・関心を高め、ビジネス目標の達成を目指します。
モバイル端末の利用が当たり前になった今、アプリマーケティングは重要性が高い施策として注目を集めています。まずは、アプリマーケティングの基本的な知識を身につけていきましょう。
- アプリマーケティングの目的
- アプリマーケティングが重要な理由
- アプリマーケティングのメリット
以下では、上記3項目の詳細を解説します。
アプリマーケティングの目的
アプリマーケティングを実施する代表的な目的として、次のようなものが挙げられます。
- アプリのインストール数や利用者数を増やすこと
- 店舗やECサイトなどに集客すること
- 顧客のエンゲージメントを高めること
- ファンやリピーターを獲得すること
- 利用者のデータを収集して活用すること
業種や商材、ターゲットによってアプリマーケティングの目的は大きく異なります。どのような目的にせよ、アプリを通じて実施する施策全般がアプリマーケティングに分類されます。
アプリマーケティングが重要な理由
アプリマーケティングが重要度を増している理由として、次の2つが挙げられます。
- モバイルユーザーへのアプローチ手法として有効だから
- ユーザー情報を収集しやすいから
総務省の調査によると、2021年におけるモバイル端末の保有率は83.9%だということが判明しました。また、1日のインターネットの平均利用時間は176分で、モバイル端末によるインターネット利用が83.5%を占めています。
サービスに直接アクセスできるアプリは利便性が高く、Webブラウザよりも使いやすいと考えるユーザーは少なくありません。実際、お気に入りのECサイトやメディアにアクセスしやすいよう、専用のアプリをインストールしている方は多いことでしょう。
ユーザビリティの向上やユーザー接点の増加に効果的なアプリマーケティングは、モバイル端末の利用が当たり前になった現代の市場において不可欠な施策だといえます。
またcookie規制によって、ブラウザを通じたユーザーデータの取得が難しくなっていることも大きく関係しています。外部から提供されるサードパーティデータの活用が困難になった今、アプリを通して顧客自身が提供するゼロパーティデータを収集する重要性が高まっているのです。
アプリマーケティングのメリット
アプリマーケティングを実施すると、企業は3つのメリットを得られます。
顧客接点を増やせる
アプリマーケティングには、顧客との接点を創出する効果があります。
アプリをダウンロードしてもらえれば、ユーザーに最新情報やクーポン情報などを届けやすくなります。顧客の興味関心を引くことができるので、アプリを開いて自社商材に触れてもらう機会を増やせるでしょう。
また、ダウンロードしたアプリは自然にユーザーの視界に入ります。アプリが目に入るたびに自社を思い出してもらえれば、よりユーザーのなかで自社の存在感を高められるでしょう。
UXを向上させられる
アプリにポイントカード機能や支払い機能、商品検索機能などをひとまとめにして搭載すれば、大幅なUX向上効果が得られます。必ず持ち歩くスマートフォンにユーザーが求める機能を集約できれば、ポイントカードやクーポンの持参忘れなどを防いで、快適にサービスを利用してもらえるようになります。
またアプリに機能を集約することは、企業側のオペレーション負担軽減にも効果的です。スマホ決済機能や自動でポイントを付与する機能などがあれば、店員の業務を大幅に簡素化できます。
リピートを促進できる
マーケティング活動にアプリ施策を取り入れると、リピート促進に役立ちます。定期的にプッシュ通知を送信したりお得な情報を届けたりすれば、顧客ロイヤルティの育成やリピーターの獲得に効果的でしょう。
使うほどに特典が増えていく会員プログラム機能も有効です。アプリユーザーならではのメリットを提供できれば、商品やサービスを選ぶときの判断材料になってくれるかもしれません。
アプリマーケティングは、アプリをダウンロードしてもらうことで利益を得るビジネスモデルはもちろん、ECサイトとか店舗とかいろいろなビジネスモデルの企業におすすめだよ。ビギニャー君が利用している猫飯亭のポイントアプリも、アプリマーケティング施策のひとつなんだ。
へぇ~。たしかに、アプリに限定クーポンが配信されたりポイントが溜まったりするから、意識的に猫飯亭を選んで食べに行っちゃうんですよね。アプリマーケティング、すごいなぁ。
でしょでしょ?実は、うちにもアプリマーケティングの実施を希望しているお客様がいるんだ。ちょうどいい機会だし、一緒に戦略を立ててみない?
アプリマーケティング戦略の立て方
アプリマーケティング戦略は、次の手順で立てると効果的です。
- アプリの目的を明確にする
- ターゲットのニーズを分析する
- 市場調査を行う
- アプリを開発する
- 施策とKPIを策定する
- 継続的に改善・運用する
各プロセスのポイントをみていきましょう。
アプリの目的を明確にする
まずは、アプリをリリースする目的やアプリマーケティングの目的を明確にしましょう。目的によって必要な機能が異なるため、最初に定義しておくことが大切です。
例えば、店舗集客やリピーター獲得が目的であれば、メニューの掲載やポイントカード機能が有効でしょう。EC集客が目的なら、商品検索機能や決済機能が不可欠です。ファン化を目的とする場合、コミュニティ機能があると効果的かもしれません。
目的は、アプリマーケティングの基本的な指針となる要素なので、必ずチーム内で共有しておきましょう。
ターゲットのニーズを分析する
次に、ターゲットニーズを分析します。数々のアプリがリリースされているなか、自社アプリをダウンロードしてもらうには、ユーザーが求める機能を実装する必要があります。自社のターゲットになるユーザーのニーズを分析し、それを満たせるサービスの提供を徹底しましょう。
ターゲットのニーズ分析には、具体的なユーザー像を設定する「ペルソナ設計」や、ペルソナの行動・心理を可視化する「カスタマージャーニーマップ」の作成が有効です。あわせて、ターゲット層におけるアプリの認知度や閲覧する媒体・SNSなども調査しておきます。
市場調査を行う
膨大な数のアプリが流通する市場で競争に勝つには、他社との差別化が不可欠です。そのためには、市場調査を行っておく必要があります。
- 市場のアプリ参入状況
- 競合になる具体的なアプリ
- 競合アプリの目的・機能
- 競合アプリのダウンロード数
- 競合のターゲット
- 競合のマーケティング戦略
上記のような内容を分析して、アプリに必要な機能や戦略、効果的な有効な訴求方法を明確化します。消費者や既存ユーザーにアンケートを行い、追加してほしい機能や既存アプリへの不満などを調査しておくことも有効です。
あわせて自社が提供できる商品やサービスを分析して、競合と比較してみましょう。市場やターゲットに提供できる独自の価値を発見できれば、ライバルに大きな差をつけられるかもしれません。
アプリを開発する
アプリマーケティングの目的やユーザーニーズによっては、アプリの開発や機能の追加が必要になる場合があります。ここまで分析した内容をふまえ、ユーザーに提供するアプリの開発を実施しましょう。
自社でアプリ制作・開発ができない場合は、外部パートナーと提携する必要があります。
- iPhone向けなのかAndroid向けなのか
- 開発にどれくらいの期間をかけられるのか
- 予算はどれくらいなのか
パートナーを選ぶときは上記の項目が重要になってくるので、しっかりと整理したうえで条件が合う依頼先を選ぶことが大切です。
また、スマートフォン向けのアプリには、App StoreやGoogle Playからインストールする「ネイティブアプリ」と、ブラウザ上で起動する「Webアプリ」の2種類があります。ネイティブアプリはオフラインでも利用できますが、開発にコストや時間がかかります。一方で、Webアプリは少ないコストで開発できてリリース審査が不要ですが、機能に制限があり利用頻度を上げたいときは不向きです。
種類ごとの特徴を理解しつつ、どのようなアプリにするべきなのか慎重に検討しましょう。
「既存アプリの認知度を高めたい」「ダウンロード数を増やしたい」という場合は、アプリ開発のプロセスを飛ばしても問題ありません。
施策とKPIを策定する
戦略の要となるアプリが用意できたら、具体的な施策と目的を達成するための中間目標(KPI)の策定に進みましょう。
アプリマーケティングに有効な施策は、次の見出しで詳しく説明します。目的やターゲットにあわせて、必要な施策を複数組み合わせて実施することがおすすめです。
この際、施策ごとに細かくKPIを設定しておくと、進捗度合いや効果を測定しやすくなります。達成可能で定量的なKPIを策定し、チーム内の意思統一や軌道修正を行いやすい環境を整えておきましょう。
アプリマーケティングで重要となるKPIの一例としては、次のようなものが挙げられます。
- 施策ごとのダウンロード数
- アクティブユーザー数
- アンインストール数
- 課金率
- アプリストアの評価・レビュー
- アプリの認知度
目的によって、必要なKPIは異なります。達成可能かつわかりやすいKPIを設定し、無理なく実行できる戦略を立てていきましょう。
継続的に改善・運用する
アプリマーケティングは、アプリ開発や施策の実施がゴールになるわけではありません。長期的な運用が不可欠なので、効果測定や改善を繰り返して、長く利用してもらえるアプリに磨き上げていきましょう。
どれほどユーザー分析や市場調査を行っても、いきなり戦略が成果につながることは稀です。施策を実施するなかで「この機能が足りなかった」「ターゲットが違っていた」など、課題が見つかることがほとんどなので、ひとつずつ改善していくことが大切です。
ユーザーの意見も取り入れつつ、より愛されるアプリ・施策へのアップデートを行いましょう。
ユーザー・市場のニーズを調査したり自社ならではの価値を提供したりする点は、他のマーケティング施策と同じだね。そこに、アプリ開発やアプリ特有の施策を実施するプロセスが入ってくるのが、アプリマーケティングの特徴なんだ。
なるほどぉ。アプリマーケティングで有効な施策には、どんなものがあるんですか?
そうだね、代表的なものとしては……。
アプリマーケティングに有効な施策
アプリマーケティングに有効な施策は、企業の目的やユーザーのフェーズによって大きく異なります。
ここでは、認知段階・インストール段階・利用段階の3つのフェーズに分けて施策例をみていきましょう。
認知段階
「アプリの認知度を高めたい」「アプリを認知しているユーザーの行動を促したい」という場合は、次の4つの施策が有効です。
- Web広告
- 自社コンテンツ
- UGC
- インフルエンサーマーケティング
各施策の詳細を説明します。
Web広告
すぐに成果へ直結しやすいのが、Web広告の掲載です。リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などを活用し、アプリの認知度を高めます。特に、リリース直後のアプリや新規ユーザー獲得に力を入れたいアプリに有効です。
大切なのは、しっかりとターゲティングを行って広告を配信することです。Web広告では、年齢や性別、興味・関心などを指定して配信ターゲットを絞り込めるため、コストを抑えつつ高い成果を得られます。
自社コンテンツ
オウンドメディアやSNS、LP、メルマガなどの自社コンテンツを活用し、認知拡大を狙う手法です。
例えば、「ブログでゲームアプリの攻略法を掲載する」「SNSでアプリ内購入できる商材に関する情報を発信する」などの施策が有効です。アプリや自社サービスに関する情報を定期的に発信すれば、そのままダウンロードやアプリを経由した商品購入につなげられる可能性があります。
オウンドメディアは成果が出るまでに時間がかかるので、SNSやWeb広告と組み合わせながら戦略を立てることが大切です。
UGC
UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)は、一般ユーザーが生成した口コミやレビューの総称です。SNSへの投稿はもちろんのこと、動画コンテンツやレビューブログなども含まれます。
近年は、企業が発信する情報やWeb広告よりも、一般ユーザーの口コミを重要視する消費者が増えました。アプリ利用者による宣伝は、認知拡大に絶大な効果を発揮してくれるでしょう。
レビューキャンペーンを実施したりシェアしたくなるようなお得・ユニークな機能を実装したりすれば、UGCが自動生成される仕組みを構築できます。UGCがバズれば、コストをかけることなく一気にアプリや商品の認知度を向上させられるかもしれません。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、SNSなどで強い影響力を持つインフルエンサーと提携して行うマーケティング施策です。アプリのPRを依頼したりコラボ商品を開発したりと、さまざまな施策を実施します。
自社商材と親和性の高いインフルエンサーと提携すれば、効率よくターゲットにリーチできます。ただし、高い費用対効果が得られる反面、インフルエンサーによっては報酬が高額になる点に注意が必要です。
インストール段階
「アプリのインストールを促進したい」「便利・面白いアプリを探したい」という場合は、次の2つの施策が有効です。
- SEO
- CRO
なお、上記の2つの施策をあわせて「ASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)」と呼びます。ASOは、アプリストア内に表示させるアプリの情報や掲載順位をコントロールし、ダウンロードの増加を目指す施策です。
ここでは、ASOで重要になる施策の詳細を紹介します。
SEO
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とは、検索エンジンでコンテンツを上位表示させ、自然流入の増加を目指す施策です。通常は、自社メディアをGoogleなどの検索エンジンで上位表示させる施策を指しますが、アプリストア内で自社アプリを上位表示させる施策もSEOに該当します。
ASOの一環としてSEOを実施するときは、次のような手法が有効です。
- キーワードの最適化
- ロングテールキーワードを狙う
- タイトル・アプリ名・説明文にキーワードを盛り込む
- サブタイトル(プロモーション用テキスト)にキーワードを盛り込む
- 好評価レビューを多く獲得する
- キーワードフィールドを最適化する(iOSのみ)
- アプリ利用率やダウンロード数を向上させる
- サイテーション(アプリへの言及・引用)の獲得
- ディープリンク(アプリ関連コンテンツへのリンク)の設置
CRO
CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)とは、アプリの詳細ページを最適化し、ダウンロード数を増加させる施策です。SEOで集客したユーザーにアプリの魅力を伝え、ダウンロードを促す段階で重要になります。
ASOの一環としてCROを実施するときは、次のような手法が有効です。
- 印象に残るアプリアイコンにする
- わかりやすく魅力的な説明文にする
- アプリの内容が伝わるスクリーンショットを掲載する
- 動画を活用する
- 好評価レビューを多く獲得する
利用段階
「アプリを快適に利用してもらいたい」「利用率を高めたい」という場合は、次の4つの施策が有効です。
- 機能の見直し
- プッシュ通知
- コミュニティの運営
- アプリ改善・最適化
各施策の詳細を解説します。
機能の見直し
ユーザーに何度も利用してもらえるアプリにするには、ユーザーが求めている機能を搭載することが何よりも重要です。アプリに足りない機能がある場合は、機能を追加しましょう。
業種によりますが、ユーザーニーズが高い便利機能として次のようなものが挙げられます。
- クーポン
- ポイントカード
- チェックインポイント
- EC・予約
- プッシュ通知
- キャッシュレス決済
- 店舗情報検索
- 顧客データベース
- セグメント配信
機能の見直しは、既存ユーザーのUX向上はもちろんのこと、新規ユーザーの獲得にも効果を発揮してくれます。
プッシュ通知
プッシュ通知は、デバイス上にメッセージをポップアップ表示させる機能です。アプリをダウンロードしたユーザーに最新情報やセール情報などを配信することで、アプリの起動や継続利用を促す効果があります。
プッシュ通知を送信するときは、ユーザーの興味を引く魅力的なメッセージにしたり頻度を最適化したりする工夫が必要です。通知を送りすぎると嫌悪感を抱かれる可能性があるため、ユーザーのニーズに合わせた配信が重要になります。
コミュニティの運営
既存ユーザーのエンゲージメント向上やファン化を促したいなら、ユーザーが交流できるコミュニティを運用することが有効です。例えば、アプリ内で利用できる質問掲示板やSNS機能などが挙げられます。
ユーザー同士の交流はアプリやブランドへのロイヤルティ向上につながりますし、利用者の生の声を集める有効な手段となってくれます。LTVの向上やアプリ改善に役立てられるでしょう。
アプリ改善・最適化
アプリをリリースしたあとはアプリ利用者の行動を分析し、改善や最適化を継続しましょう。不具合や追加すべき機能があれば定期的にアップデートを行い、メンテナンスにも対応していきます。
適切な改善や最適化を実施するために、顧客管理・分析機能の実装を忘れないようにしましょう。
継続的に運用する体制を整えるには、アプリの保守・運用を任せられる人材を確保する必要があります。自社で対応することが難しい場合は、サポートに対応した開発会社を選ぶことが大切です。
アプリマーケティングで有効なのは、「マーケティング面の施策」と「アプリに関する技術面の施策」の2つに分けられるんだ。目的やターゲット顧客のフェーズに応じて、最適な施策を見極める必要があるんだよ。
ふむふむ。技術面の施策は難しいですけど、マーケティング面での施策は僕にも実施できそうです……!
ふふふ、頼もしいね。ところで、アプリマーケティングを成功させるには、施策以外にも重要なポイントがあるんだ。
アプリマーケティングを成功させるポイント
アプリマーケティングを実施するときは、次のようなポイントを意識すると施策を成功させやすくなります。
- 顧客ニーズに沿った価値を提示する
- UGCを獲得する
- 効果の高い施策から実施する
- セグメント別に施策を打ち出す
- プッシュ通知の頻度を最適化する
どのようなことなのか、詳細をみていきましょう。
顧客ニーズに沿った価値を提示する
アプリマーケティングでは、顧客ニーズに沿った価値を提供することがもっとも重要です。
ダウンロード・利用する明確なメリットがなければ、アプリを使ってもらうことは困難でしょう。一方的な情報発信や宣伝ではなく、顧客が求めている機能・サービスに応じた施策の実施を意識してください。
一般的に、男性は「ポイント機能」を、女性は「クーポン機能」を好む傾向にあるといわれています。このようにターゲットの属性や好みにあわせて施策を決定すると、アプリを利用する動機を与えられるようになります。
UGCを獲得する
アプリマーケティングでは、UGCの獲得が非常に重要です。口コミでアプリの有用性を発信してもらえるよう、UGC施策を積極的に実施しましょう。
アプリストアのレビューはASO効果があるため、検索順位の向上やCV率の向上に役立ちます。SNSや動画共有サイトなどに投稿されるUGCは、認知拡大に効果的です。
具体的な施策としては、紹介コードの活用や口コミキャンペーンが挙げられます。お得なキャンペーンを打ち出すのはもちろん、ついついシェアしたくなるような便利・面白い機能を実装する戦略もおすすめです。
効果の高い施策から実施する
アプリマーケティング施策のなかには、高額なコストが必要になるものも多く存在しています。すべての施策を取り入れることは難しいため、優先順位をつけて成果につながりやすい施策から順に実施しましょう。
一般的に、アプリの大規模なリニューアルや機能追加よりも、Web広告やASOのほうが少ないコストで実施しやすく即効性もあるとされています。リソースを無駄にすることがないよう、スモールスタートで取り組むことを意識しましょう。
セグメント別に施策を打ち出す
アプリによっては、利用してもらいたいターゲット層が幅広くなることがあります。その場合は、各セグメントに適した施策を実施することが成功のカギです。
例えば、10代のターゲットと30代のターゲットでは、利用する媒体やSNSが異なります。また、男性と女性では重視するポイントが違いますし、ライフスタイルによって最適なアプローチ時間も変わってくるでしょう。
すべてのターゲットに同じ施策を打ち出すのではなく、ターゲットを分類して、それぞれに適したアプローチを行うと効果的です。各セグメントのニーズや行動を正しく把握するためにも、ターゲット分析は念入りに行っておきましょう。
プッシュ通知の頻度を最適化する
アプリマーケティングでは、アプリをダウンロードしたユーザーに対してプッシュ通知を送信する施策が不可欠です。しかし、頻繁なプッシュ通知は、通知OFFやアンインストールの原因になるため注意しなければいけません。
プッシュ通知を送信するときは、ユーザーのニーズやライフスタイルを把握し、タイミング・内容を最適化する必要があります。「通知を送信するのは重要なお知らせがあるときのみ」「1日1回の通知にとどめる」など、ユーザーの反応をみながら送信頻度を調整しましょう。
勉強になりましたっ!これからアプリの重要性がますます高まっていくのは間違いないですし、僕もしっかりとアプリマーケティングについて知識を深めておきたいと思います!
そうだね。今後ビギニャー君がアプリマーケティングを実施できるよう、参考までに企業成功事例についても紹介しておこうか?
はい、ぜひぜひっ!
アプリマーケティングの企業成功事例
アプリマーケティングで成果を出した企業の事例を3つ紹介します。
無印良品
無印良品は、「MUJI Passport」というアプリを活用したマーケティング戦略によって実店舗集客を成功させています。
「MUJI Passport」は、最寄り店舗の検索や在庫検索、購入・来店時のポイント付与機能を搭載したモバイルアプリです。UX向上や来店促進に効果を発揮し、アプリ会員の購入単価を非会員よりも高くすることに成功しています。
加えて、レビューを投稿したユーザーにもポイントを付与してお得感を演出。UGC獲得やリピート購入への導線もしっかりと整えています。
カインズ
ホームセンターを運営するカインズは、「顧客にもっとも便利な方法でカインズとつながってもらう」ためにアプリを活用。在庫や売り場を確認できる機能、チラシ機能、ポイントカード機能を搭載し、顧客の利便性向上に役立てています。
カインズの課題は、求めている商品を見つけることが難しいと感じているユーザーが多いことでした。カインズが取り扱う商品は専門的なものが多く、業界や職人によって呼び名が異なると従業員が対応しきれないケースがあったためです。
そこで、アプリにおけるロングテールまで含めた表記ゆれへの対応、人工知能による検索結果の最適化機能の実装などを実施。その結果、商品検索における商品到達率が大幅にアップし、利便性向上に成功しました。
他にも、アプリで商品を取り置きするサービスも提供。非対面のショートタイムショッピングを可能にすることで、幅広いニーズに対応しています。
マクドナルド
マクドナルドの公式アプリは、機能を充実させることで多くのアクティブユーザーを獲得しています。
マクドナルドは、LINEアカウントやメルマガの配信を廃止し、情報発信をアプリに集約。新商品の情報やクーポン配信機能を1つのプラットフォームにまとめたことで、運用コストを削減しました。
さらに、店舗検索機能やモバイルオーダー機能を搭載。アプリ内で人気ゲームとのコラボ施策を実施するなど、利用したくなるアプリ機能・特典の提供に注力しています。
ユーザーに高い価値を提供するだけではなく、マーケティングや店舗オペレーションの負担軽減にも成功した良好事例です。
だいぶアプリマーケティングのイメージがつかめてきました!先輩、ありがとうございます。
いえいえ、どういたしまして。ビギニャー君も、いつか猫飯亭や事例企業のように魅力的なアプリマーケティングが実施できるといいね。応援しているよ。
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WRITING 執筆
LIFT編集部
LIFT編集部は、お客様との深いつながりを築くための実践的なカスタマーエンゲージメントのヒントをお届けしています。