CMSとは、テキストや画像をアップロードするだけで、簡単にWebサイトを制作・更新できるシステムです。
HTMLやCSSなどの専門知識が不要なので、コンテンツマーケティングを行いたい企業やWeb専門の担当者がいない企業で活用されています。
本記事では、「WordPressと何が違うの?」「具体的に何ができるの?」という初心者のために、CMSの機能や特徴をわかりやすく説明します。
ビギニャー君、昨日アップロードしたブログの画像を差し替えたいから、今送ったファイルを反映させておいてもらえないかな?
会社のブログの更新ですか!?僕、ホームページ制作の知識なんてないですよ……!?
ああ、大丈夫。うちのサイトは、CMSを導入していて誰でも簡単に更新できるから。スマホ世代のビギニャー君なら、簡単に差し替えられると思うよぉ。
CMSとは簡単にいうと?
CMS(Contents Management System)は、コンテンツ管理システムの略で、ウェブサイトやアプリケーションなどのコンテンツを管理するためのソフトウェアまたはサービスです。ユーザーはCMSを使用して、コンテンツの作成、編集、公開、管理を簡単に行うことができます。
さらに、CMSをわかりやすくするならば、「ウェブサイトやアプリの中身を楽に管理するためのツールやシステム」と考えればよいでしょう。
以下では、CMSをしっかりと理解するために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
- CMSの仕組みを説明
- CMSを導入しているWebサイトとそれ以外のWebサイトの違いって?
- CMSとWordPressの違い
それぞれを詳しくみてみましょう。
CMSの仕組みを説明
通常Webサイトを作るときは、HTMLやCSSなどの専門的な言語でプログラミングする必要があります。新しいサイトを作るときはもちろん、デザインやテキストなどを変更したいときも、専門の言語で書き換えなければいけません。
そのため、知識がない人にとってWebサイトの制作や運用は難しいとされていました。
しかし、CMSを導入すれば、難しい作業が不要となり、管理画面での簡単操作でWebページが編集できるようになります。専門知識がなくてもWebサイトを更新できるので、外注費節約や業務効率化などの効果が得られます。
CMSを導入しているWebサイトとそれ以外のWebサイトの違いって?
CMSを導入しているサイトとそれ以外のサイトの違いは、次のとおりです。
CMSを導入していないサイト
HTMLやCSSなどのプログラミング言語でページ1つ1つのデータを作成し、管理しなければいけません。1ページごとのデータが切り離されて保存・管理されているので、更新や編集の際も1ページずつプログラミングする必要があります。
CMSを導入しているサイト
画像やテキストなどをCMSのデータベースで一元管理して、必要に応じてWebページを自動的に生成してくれます。1か所変更するだけで共有部分が全て自動変更されるなど、とにかく管理の手間がかからない点が特徴的です。
さらに、プログラミング言語の使用も不要です。画像のアップロードやテキストの挿入、タグの設定などがほとんど直感操作でできるため、専門知識がなくても手軽にWebサイトの編集や更新ができます。
CMSとWordPressの違い
ホームページを作成するシステムとして多くの企業で活用されているのが、WordPressです。CMSという言葉を知らなくても、WordPressを耳にしたことがある方は多いかもしれません。WordPressは、CMSの一種である「オープンソース型CMS」に分類されます。
そのため、「WordPress=CMS」と認識して問題ありません。ただし、CMSにはWordPress以外のシステムも数多く存在しています。CMSが必ずしもWordPressのことを指すわけではない点に注意しましょう。
なるほど……。CMSが導入されているサイトなら、少し練習すれば僕でも更新できそうです!
CMSはサイト作成をすっごくラクにしてくれるから、メリットがたくさんあるんだよ。
CMSを導入するメリット
CMSを導入するメリットは、以下の5つです。
- 専門知識がなくてもサイトを更新できる
- 作業を効率化・分業化できる
- マルチデバイスに対応できる
- デザインの統一やリニューアルが簡単にできる
- DX化を促進できる
各項目を詳しく解説します。
専門知識がなくてもサイトを更新できる
CMSの最大の強みは、何といってもサイト制作や更新が簡単になる点です。専門知識がない従業員でもサイトを作成・更新できるので、情報をスピーディーに届けられるようになります。インターネットとブラウザさえあれば、スマホからサクッと編集することも可能です。
作業を効率化・分業化できる
同じサイトでも、「商品ページはマーケティング部」「ブログは営業部」など、さまざまな部門の担当者が制作に携わるケースは多々あります。CMSを導入しておけば、それぞれの部門が自分たちで作業できるようになるため、より手軽に魅力的なコンテンツを作成できます。
更新頻度や品質が高いコンテンツが多いサイトにはSEO効果も期待できるので、上位表示を目指している企業にとっては大きな利点でしょう。
マルチデバイスに対応できる
CMSは各デバイスに応じたテンプレートでページを自動表示するため、マルチデバイスに対応しています。どのようなデバイスで閲覧してもページが崩れないので、見やすくて使いやすいサイトが作成できます。
デザインの統一やリニューアルが簡単にできる
CMSにはデザインテンプレートがあるため、誰が編集してもデザインに統一性が生まれるという利点があります。また、ナビゲーションやパンくずリストなども自動更新してくれるので、手間の増加やリンク切れを防止する効果もあります。テンプレートを変えれば、内容はそのままに見た目だけリニューアルすることも可能です。
DX化を促進できる
DX化とは、進化したテクノロジーを活用し、人々の生活をより快適でよいものへと変革していく概念や取り組みのことです。在宅ワークの導入や、あらゆる業務がインターネット上で行えるビジネスシステムの導入などが、DX化の一例として挙げられます。
CMSの導入は、DX化を促進する効果もあります。Webサイト更新の業務を効率化したり、在宅ワークでのWeb制作を可能にしてくれるためです。
また、CMSで社内ポータルサイトを作成し、社員同士の情報共有やマニュアル作成を効率化している企業もあります。このように、CMSはさまざまなシーンでのDX化を促進してくれるシステムなのです。
ほうほう。CMSってメリットだらけなんですね~!僕もどんどん活用していこうっと!
でもね、メリットしかないシステムは存在しないから、デメリットについてもしっかりと理解しないといけないよ。
えぇ!?こんなに便利なシステムなのに、デメリットがあるんですか!?
CMSを導入するデメリット
CMSを導入するデメリットは、次の3つです。
- 機能や操作方法を身につける必要がある
- セキュリティリスクに配慮が必要
- デザインが制限される
各デメリットの詳細は以下のとおりです。
機能や操作方法を身につける必要がある
新しいシステムを導入する以上、最初はどうしても機能や操作方法についての勉強が必要になります。一度学べば簡単に使用できるケースがほとんどですが、誰でもいきなりCMSを使いこなせるわけではないことを理解しておきましょう。
セキュリティリスクに配慮が必要
インターネットとブラウザさえあれば使えるCMSは、手軽さの反面セキュリティリスクに注意が必要です。近年は「オープンソース型CMS」を狙ったサイバー攻撃が増えているため、セキュリティ対策はしっかりと行いましょう。
デザインが制限される
テンプレートを使ってページを表示させるため、デザインが制限されるというデメリットもあります。完全にオリジナルのデザインを希望するときは、ほかの制作方法のほうが向いているかもしれません。
また、自作でカスタマイズとなると 、どうしてもHTMLやCSSの知識が必要になります。知識がない場合は、既存のテンプレートのまま使うしかないので、他のサイトと同じデザインになる可能性も考慮しなければいけません。
ところで、CMSって実はたくさんの種類があるんだよぉ。
そうなんですか!?「WordPress」っていうのは仕事でなんとなく聞いたことがありますけど、他は全然わからないです……!
それじゃあ、CMSの種類とそれぞれの特徴についても学んでおこうか!
CMSの種類と特徴をご紹介
CMSは、大きく分けると3つの種類に分類できます。
- オープンソース型
- 商用パッケージ型
- フルスクラッチ型
自社に合ったCMSを導入するためにも、それぞれの特徴についてみていきましょう。各タイプの代表的なサービスもご紹介します。
オープンソース型
- WordPress
- Concrete5
- Joomla
- Drupal
CMSのプログラム本体を構成するソースコード(プログラムの元ネタとなるテキストファイル)が無償で公開されている、ライセンス料が不要のCMSです。
とにかく安く導入できて簡単に使用できますが、商用利用を前提としていないため、大規模なサイトには向いていません。
また、公式サポートが存在していないので、不具合やセキュリティ面での脆弱性に懸念が残るというデメリットがあります。
商用パッケージ型
- HeartCore
- NOREN
- Adobe Experience Manager
ベンダー(販売会社)が開発・提供しているCMSで、自社のサーバーにインストールして利用します。商用利用を想定して開発されているので、規模が大きいサイトにも対応できる点が強みです。
また、必要な機能がパッケージ化されていて使いやすく、ベンダーのサポートが受けられるという利点もあります。
ただし、購入時の初期費用や導入後のライセンス利用料など、コストが高くなりやすいというデメリットがあります。
フルスクラッチ型
- Hubspot CMS
- RCMS
- Movable Type
各企業のWebサイトに合わせて独自に開発できるのが、こちらの種類です。自社システムとの特殊な連携が必要な場合や複雑な機能が求められる場合は、このタイプでないと対応できない可能性があります。イチから開発するためカスタマイズ性は非常に高いですが、コストと時間がかかる点がネックとなります。
へぇ……、こんなに種類があるんですね!これだけあると、どれを導入したらいいか迷ってしまいそうです。
導入する製品によって向いているサイトの種類は違うから、自社に合った選び方を知っておくのは大事かも。
せっかくだから、CMSを選ぶときのコツについても勉強しておこうか!
自社に合ったCMSの選び方
Webサイトをスムーズに運営できるかどうかは、CMSを正しく選べるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。ここでは、自社に合った製品の選び方について以下の視点から紹介します。
- 目的
- サイトの規模
- 機能
- セキュリティ
4つのポイントを詳しくみてみましょう。
目的
各製品には、それぞれ得意とするサイトがあります。ブログのような発信を得意とする「ブログシステム系」や、コーポレートサイトの制作が得意な「ポータルサイト系」、ECサイトの制作が得意な「Eコマース系」。
「このCMSだとこのサイトは作れない」ということは、ほとんどありません。しかし、サイトの目的と相性がいいシステムを選ぶと、更新やほかのツールとの連携などをスムーズに行えます。
サイトの規模
CMSは、製品によって適しているサイトの規模が違うため注意が必要です。数ページ程度の小さいサイトであれば「オープンソース型」でも十分です。しかし、規模が大きいサイトや複雑な機能を持たせたいサイトは「商用パッケージ型」「フルスクラッチ型」のほうが向いています。
機能
CMSの基本的な機能は、「コンテンツの作成・編集機能」「ユーザー管理機能」「マーケティング機能」など。メインとなるサイト制作に関する機能はほとんど共通していますが、その他にできることや操作性はシステムによって少しずつ異なります。
また、ほかのツールと連携できるかどうかも製品ごとに異なるので、注意が必要です。マーケティングツールとの互換性を求めるときは、特に気をつけてくださいね。
セキュリティ
自社の情報や顧客情報を取り扱うWebサイト運用の際は、セキュリティ対策が非常に重要です。オープンソース型はサイバー攻撃の対象になりやすく、バージョン更新やセキュリティ対策を自社で行う必要がある点に注意しましょう。
セキュリティ対策に不安がある場合は、ベンダーがサポートしてくれるパッケージ型のCMSを活用することがおすすめです。
いろいろなことを踏まえて製品を選ばないといけないんですね……!勉強になりますっ!でも先輩、すべての会社にCMSが必要というわけではないんですよね?
さすがビギニャー君。CMSはメリットが豊富なシステムだけど、導入が特に向いている企業とあまり向いていない企業があるんだ。
CMSの導入が向いている企業
CMSはどのような企業・サイトにもメリットが多いシステムですが、必ずしもすべての企業に必要なものとはいえません。
企業の目的や社内リソースによって必要・不要が異なるため、まずは自社の現状を整理してみることが大切です。CMSの導入がおすすめの企業としては、次のような特徴が挙げられます。
- 現在サイトの更新を外注していて、コストが気になる
- 複数の部署や担当者がサイトの制作に携わっている
- サイトの更新頻度が高い
- サイトの規模が大きい
- サイト内のナビゲーションやデザインに統一感がない
- デジタルマーケティングに力を入れたい
反対に、以下のような特徴や希望がある企業は、CMSの導入があまり向いていません。
- サイトの規模がそこまで大きくなく、更新の頻度が少ない
- 厳格なセキュリティが求められている
- サイトのデザイン性を高めたい
「そもそも自社にCMSが必要かわからない」「どの製品がいいかわからない」とお悩みの場合は、Webに関する専門知識を持った企業に相談することをおすすめします。
ちなみに、CMSはマーケティングツールとしても活用されているんだよ。知ってた?
え?サイトを作る以外の活用法もあるんですか!?
マーケティングツールとしてのCMS
従来、CMSはWebサイトの制作や運用を効率化するために活用されるシステムでした。しかし、Webマーケティングの重要性が高まった昨今、CMSは日々進化してマーケティングツールとしての役割を果たすようになってきています。ここでは、マーケティングツールとしてのCMS活用パターンを2例紹介します。
- CMS×MA
- CMS×CRM
各項目を詳しくみてみましょう。
CMS×MA
「MA(Marketing Automation)」とは、見込み顧客(リード)を管理したり育成したりする活動や、そのために用いるツールです。
MAでは、アンケートに記載されているリードの情報を管理したり、その情報をもとにメールマガジンを配信したりして顧客の獲得を目指します。CMSとMAを組み合わせると、以下のようなマーケティング施策を実施できるようになります。
- サイト内の行動をスコアリングして、確度の高いリードをリスト化する
- コンバージョンに寄与するコンテンツを絞り込む
- CMSに蓄積された情報を活用してメール配信する
CMSのなかには、高度なアクセス解析機能やメルマガ配信機能を搭載しているものもあります。また、MAツールを連携させることで、マーケティングを効率化してくれるCMSも存在しています。
CMS×CRM
「CRM(Customer Relationship Management)」とは、顧客との関係性を管理したりマネジメントしたりする活動や、そのために用いるツールのことです。
例えば、会員登録してくれている顧客の属性を反映して商品をおすすめしたり、問い合わせ履歴を管理したりして顧客との関係性を築き上げます。CMSとCRMを組み合わせると、以下のようなマーケティング施策を実施できるようになります。
- Webサイト上の行動と顧客情報を組み合わせて、より高度な分析を行う
- ユーザーごとに最適なページを表示させる
MAと同様に、CRMの機能が搭載されているCMSもあれば、連携することでマーケティング活動を効率化できるCMSもあります。このように、MA・CRMとCMSを組み合わせることで、ひとり一人の顧客に適した訴求をする「One to Oneマーケティング」を実施できるようになります。
おおおお!すごいです!!CMSって、サイトを作るだけのシステムじゃないんですね……!
もちろん、万能なシステムではないから、他のツールと連携しながら使うことが大切なんだけどね。
なるほど!先輩、いろいろと教えてくれてありがとうございました!さっそくCMSを操作して、先輩に頼まれた画像の差し替えをしてきます!
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