ファンマーケティングとは?企業成功事例や戦略の立て方、具体的な手法を紹介

ファンマーケティングとは?企業成功事例や戦略の立て方、具体的な手法を紹介

ファンマーケティングとは、自社の商品やサービス、ブランドに対して強い愛着を持つ「ファン」を獲得することで、中長期的な利益拡大を目指す戦略です。

この記事では、ファンマーケティングの成功事例や手法、戦略の立て方をやさしく解説します。

ファンマーケティングは、ユーザーの購買行動が大きく変化した現代の市場にマッチした戦略です。売上アップを狙っている企業は、ぜひ挑戦してみてください。

ビギニャー

先輩、今朝の「最新ニャーPhone」の発売ニュース見ました!?開店前なのに大行列だしSNSは大盛り上がりだし、毎度のことながらすごいですよね……!

シニヤン

ああ、見た見た。ニャーPhone、本当にすごいよね。ファンマーケティングに成功した企業の代表的な例だよね。

ビギニャー

むむっ!?ファンマーケティング……とは?

ファンマーケティングとは?

ファンマーケティングとは、ファンを増やしたりファンの協力を得たりして企業の利益を拡大させていくマーケティング戦略です。これだけを聞いても、具体的にどのような取り組みが必要で、どのような効果が得られるのかをイメージしにくいでしょう。

ここでは、ファンマーケティングを知るために押さえておきたい以下の5項目を解説します。

  • ファンマーケティングの意味
  • ファンマーケティングが重要な理由
  • ファンマーケティングのメリット・効果
  • ファンマーケティングのデメリット
  • ファンマーケティングの関連用語

それぞれの詳細をみていきましょう。

ファンマーケティングの意味

ファンマーケティングとは、企業が提供する商品を熱狂的に愛してくれる「ファン」を増やし、売上を拡大していくマーケティング戦略です。ファンは、企業・ブランドの価値観や世界観、想いなどに共感し、愛したり支援したりしてくれる存在です。

アイドルやスポーツチームのファンをイメージすると、わかりやすくなるかもしれません。ファンは新商品が出ると必ず購入し、周囲に勧めたりSNSに投稿したりして心から応援してくれますよね。

このようなファンの心理・行動をビジネスに取り入れるのが、ファンマーケティングなのです。ファンは他の商品・サービスに目移りしにくく、利益の安定化や拡大に一役買ってくれます。

ファンマーケティングが重要な理由

ファンマーケティングは、現代の市場で特に重要な戦略であると考えられています。その理由として、広告を使った企業主体のアプローチが通用しにくくなっていることが挙げられます。

近年、広告や企業の積極的な営業活動を「怪しい」「不快だ」と感じる消費者が増えてきました。その一方で、SNSなどに投稿される口コミ・レビューを重要視する人が増加しています。そのため、自社商材についてプラスの口コミを投稿してくれるユーザーを増やすことで、認知拡大や購入促進を目指す必要が出てきたのです。

さらに、少子高齢化社会の日本では市場が縮小しつつあるため、獲得できる新規顧客の数に限界があります。その影響で既存顧客の維持・拡大にシフトする企業が増えていることも、ファンマーケティングの重要性が高まった要因です。

ファンマーケティングのメリット・効果

ファンマーケティングのメリット・効果は次のとおりです。

  • 売上が安定する
  • UGCを獲得できる
  • 新規顧客が増加する
  • 顧客目線でサービス・商品を提供できる

各項目の詳細をみていきましょう。

売上が安定する

ファンは、繰り返し自社商品・サービスを利用してくれるユーザーです。確実にリピートしてくれる顧客を増やせれば、売上の安定化を目指せるでしょう。

そのことを裏付けるように、マーケティング業界には次のような法則が存在しています。

  • パレートの法則(売上の8割は2割の優良顧客に支えられている)
  • 1:5の法則(既存顧客の売上向上コストは、新規顧客の獲得コストの5分の1で済む)
  • 5:25の法則(顧客離れを5%改善することで利益率が25%改善される)

このように、既存顧客を大切にする施策は、コスト削減や利益向上に役立つと広く知られているのです。

熱狂的なファンを多く獲得できれば、リピート購入だけではなくアップセルやクロスセルの成功率が向上します。その結果、顧客が生涯にわたって企業にもたらしてくれる利益(LTV)の大幅な向上も見込めるでしょう。

UGCを獲得できる

「UGC(User Generated Content)」とは、一般のユーザーによって作られるコンテンツです。SNSの口コミやECモールのレビュー投稿、自主的に作成される動画コンテンツなどが挙げられます。

UGCは消費者の意思決定に大きく影響するため、近年のマーケティングで非常に重要視されています。自社のファンを増やせれば、UGCもおのずと増えていくでしょう。

企業がコストをかけずとも生成されるUGCは、ブランドの認知拡大や商品の比較・検討時に役立ってくれます。UGCが生成される仕組みをうまく構築できれば、広告費の削減にもつながるでしょう。

新規顧客が増加する

ファンの増加は、新規顧客の獲得にも効果的です。

熱狂的なファンは、積極的にUGCを生成してくれます。また、周囲の人に商品を勧めたり情報拡散を手伝ってくれたりするため、企業の力だけではリーチできない層へのアプローチも可能になります。

「ファンが増えれば新規顧客が増え、その新規顧客がファンになってさらに顧客を呼び込む……」
このようなプラスのサイクルが生まれれば、企業は少ないコスト・労力で利益を最大化できます。

顧客目線でサービス・商品を提供できる

ファンは、積極的に感想や意見を発信してくれます。SNSに感想を投稿するだけではなく、企業が提供するコミュニティでの発信やアンケートへの回答を通して、よい意見も悪い意見もしっかりと伝えてくれるでしょう。ときには、企業側が気づいていない新しい発見ができる可能性もあります。

このようなファンが発信するさまざまな意見は、商品・サービス改善や新商品の開発に役立ちます。ファンの意見を取り入れながら商品・サービスを提供すれば、ユーザーファーストな企業としてより顧客からの評価を高められるでしょう。

ファンマーケティングのデメリット

メリットが豊富なファンマーケティングですが、次のように気をつけたいデメリットが存在していることも事実です。

  • 長期的な取り組みが不可欠
  • 戦略の偏りに注意が必要
  • 炎上リスクがある

どのようなことなのか、詳細をみていきましょう。

長期的な取り組みが不可欠

何度も商品・サービスを利用したり積極的にUGCを生成したりしてくれるファンになってもらうには、長期的な取り組みが必要です。単に魅力的な商品・サービスを提供するだけではなく、ブランドのコンセプトを伝えたり信頼関係を築いたりと、さまざまなアプローチをしなくてはいけません。

そのため、ファンマーケティングは即効性のある戦略ではないことを押さえておく必要があります。熱狂的なファンを獲得できるまで、根気強くアプローチしていきましょう。

戦略の偏りに注意が必要

ファンマーケティングの際は、戦略が偏ってしまわないように注意しましょう。

ファンを多く獲得すると、売上が安定します。そのため、なかには「ファンがいれば十分だ」と既存顧客に向けた戦略に偏ってしまう企業も出てくるでしょう。

しかし、既存顧客から得られる利益には限界があるため、企業が成長していくには新規顧客を獲得することが不可欠です。また、既存顧客だけを優遇する戦略は排他的なコミュニティの形成につながりやすく、ファンの暴走や新規顧客に敬遠される原因となります。

ファンを大事にするあまり新規顧客をないがしろにする戦略になってしまわないよう、十分に配慮しましょう。

炎上リスクがある

ファンマーケティングを実施するときは、積極的に顧客と交流していく必要があります。通常よりも近い距離で顧客と接するため、予測できない炎上リスクが隠されている点に気をつけなければいけません。

距離感が近すぎたり不用意な発言をしたりすれば、イメージダウンやリピート率の低下、顧客離れに発展する可能性があります。適切な距離感を保ちつつ、企業と顧客という立ち位置を意識して、丁寧にコミュニケーションを取ることが大切です。

ファンマーケティングの関連用語

ファンマーケティングを実施するときに押さえておきたいのが、ファンと「リピーター」「ロイヤルカスタマー」の違いです。

ここでは、2つの関連用語の意味をおさらいしておきましょう。

リピーター

リピーターは、何度か商品・サービスを利用してくれている顧客を意味します。ファンと似ているように思えますが、両者は「特別な愛着を持っているかどうか」という点が大きく異なります。

ファンは、「このブランドのコンセプトが好き」「この商品じゃないとダメだ」などと、ブランドや商品に強い愛着を持っている顧客です。一方でリピーターは、「家の近くにあるから来店している」「一番安いから買っている」など、ブランドや商品自体に特別な思い入れを持っていません。

自分の意志であえて特定のブランド・商品を選択するファンとは違い、リピーターはすぐに条件のよい競合他社に乗り換える可能性があります。企業が安定して利益を上げるためには、リピーターよりもファンを増やすことが大切です。

ロイヤルカスタマー

ロイヤルカスタマーとは、企業や商品に信頼や愛着を抱き、売上向上に貢献してくれる最上位の顧客層です。両者の最大の違いは、「熱心さ」です。

ファンは、積極的にブランドのコミュニティに参加したりUGCを生成してくれたりします。ロイヤルカスタマーもそのような行動を取ることがありますが、熱量や頻度が大きく異なります。

ファンは、ロイヤルカスタマーのさらに上を行く「熱狂的なユーザー」のことを指すのです。

ビギニャー

言われてみると、ニャーPhoneのユーザーって他のブランドや商品の愛用者とは熱量が違うかも……。商品を愛しているのが本当に伝わってくるから、こっちまで使ってみたくなるんですよね。

シニヤン

そういうファンがたくさんついてくれると、企業としては強いよね。ファンが企業の代わりに商品の魅力を広めてくれるから、効率よく売上向上が狙えるんだ。

ビギニャー

たしかにたしかに!ファンマーケティング、すごいですね!こういうマーケティングに成功している企業って、他にもあるんですか?

ファンマーケティングの企業成功事例

ファンマーケティングに成功している企業は、私たちの身近なところにたくさん存在しています。

ここでは、代表的な成功事例を3つ紹介します。

スターバックス(飲食店)

世界中にコーヒーショップを展開しているスターバックスは、ファンマーケティングを軸にした戦略で大きな成果を上げている企業です。

スターバックスはテレビCMやチラシなどの広告にコストをかけず、SNSを活用した情報発信に注力。魅力的で写真に映える商品は消費者の心をつかみ、購入したユーザーの多くがSNSに感想や画像を投稿しています。

季節に合った新商品を次々に発表し、今しか楽しめない特別感を演出している点も特徴のひとつ。また、教育が行き届いたスタッフの接客を楽しみに来店するユーザーも多いようです。

「コーヒーは飲まないけど、スターバックスは好き」というユーザーは、決して珍しくありません。獲得したファンが自発的に新しい顧客を呼び込むという、好サイクルを生み出すことに成功しています。

アテニア(化粧品)

化粧品会社のアテニアは、ファンコミュニティを活用したファンマーケティングで成功を収めた企業です。

アテニアは、20万人以上のファンが集まって交流する「アテニア ファンコミュニティ」を運営。ここでユーザーの声やインサイトを抽出して、商品開発に活かしています。

コミュニティを通じた交流によって、ユーザーはブランドへの理解や愛着を深め、次第にヘビーユーザーへ。加えて、企業は顧客の生の声を反映した商品を提供し続けられるため、一石二鳥の効果を得ています。

ヤッホーブルーイング(クラフトビールメーカー)

ヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」などのクラフトビールを製造・販売する企業です。同社もファンマーケティングを成功させており、18年連続で増収を実現しています。

商品開発時はあえてターゲット層を狭く絞り込み、コンセプトや引用シーン、ベネフィットにもこだわっています。さらに、ファンと作り上げるイベントや醸造所見学ツアーなどを開催。ファン主催のオンラインイベントも実施するなど、とにかく良質な商品の提供とファンとの交流に取り組みました。

他にも、商品のキャラクター化やユニークな商品展開で独自性を確立し、ユーザーの心をしっかりとキャッチ。今では「ファンマーケティングといえばヤッホーブルーイング」といわれるほど、大きな成果を上げています。

ビギニャー

へぇ~。飲食店から化粧品メーカーまで、いろいろな業界でファンマーケティングって実施されているんですね!

シニヤン

そうそう。どんな業界にも相性がいい戦略だから、ビギニャー君も知っておくといいよ。

ビギニャー

ぜひ勉強しておきたいです!先輩、ファンマーケティングを実施する方法について教えていただけませんか?

ファンマーケティング戦略を立てる手順

効果的なファンマーケティング戦略を立てる手順は、以下のとおりです。

  • ブランドの理念やコンセプトを整理する
  • ファンの定義を決める
  • ファンのニーズを分析する
  • ファンが喜ぶ体験を企画・実施する
  • 体験や感情を共有できる環境を整える

各プロセスの詳細をみていきましょう。

ブランドの理念やコンセプトを整理する

はじめに、ブランド・商品の理念やコンセプトを整理しましょう。

  • ブランドや商品のコンセプトは何か
  • ブランドを通して何を実現したいのか
  • ターゲットは誰か
  • どのような課題を解決したいのか
  • 他社との違いは何か

上記のような情報を整理できると、自社ブランドの輪郭がはっきりしてくるはずです。

自社を愛してくれるファンは、企業以上にブランドを理解してくれる存在です。そのような相手に対して、企業が自社のコンセプトや魅力、強みを理解しないまま施策を打ち出しても、本当に満足してもらうことはできません。それどころか、ファンをがっかりさせてしまうおそれがあります。

まずは、ファンマーケティングの基盤となる自社理解からはじめていきましょう。

ファンの定義を決める

次に、ファンの定義を決めましょう。

ファンとは、単に購入金額が高い顧客ではありません。ブランドや商品に特別な愛着を持ち、競合他社に乗り換えることがない熱心な顧客のことをファンと呼びます。

多くの顧客のなかから自社のファンを見つけるには、「購買データ」と「ロイヤルティ(愛着・信頼)」の指標を組み合わせることが重要になります。

CRMや顧客リストなどを参照すれば、購買データは簡単に把握可能です。そこから定期的に商品を購入している顧客や、高額の買い物をしてくれている顧客を抽出しましょう。

ロイヤルティが高い顧客は、次のような方法で抽出できます。

  • NPS®(ネットプロモータースコア)を実施する
  • ソーシャルリスニングを行う
  • イベント参加者で絞り込む など

上記の方法でファンを抽出できたら、ファンを分類しておくとより効果的です。「直近1年で〇回以上ファン活動をしている人はコアファン」「直近1年で△回以上ファン活動をしている人はライトファン」などと定義しておくと、要因分析やそれぞれに適したアプローチが可能になります。

ファンのニーズを分析する

次に、ファンのニーズを分析しましょう。

  • どのような層のファンが多いのか
  • ファンはどのような価値観を持っているのか
  • どのような点がファンに愛されているのか
  • ファンが抱えている課題は何か
  • どうして自社製品を選んでくれるのか
  • ブランドや商品に何を求めているのか

上記のような情報を整理できると、顧客をファンに転換しやすくなるほか、既存のファンをより熱狂させられるようになります。

ファンの心理やライフスタイルなどがわかったら、タッチポイント(接点)も整理しておきましょう。「うちのファンはオフラインイベントを好む」「ファン同士の交流を重要視している」などの傾向が把握できれば、具体的な戦略を立てやすくなります。

なお、ファンのニーズは常に移り変わります。ファンマーケティングではファンの心理変化をしっかりと把握し、その時々のニーズに応じた対応をすることが大切です。

ファンが喜ぶ体験を企画・実施する

ここまでの準備が終わったら、実際にファンが喜ぶ体験を企画・実施します。ファンのニーズやタッチポイントを理解できていれば、いくつか企画の候補が上がってくるでしょう。

ここで重要なのは、マネタイズを目的にしないことです。利益を追求するのではなく、ファンが喜ぶ体験の提供にこだわることで、本当に満足してもらえる施策になります。

また、一方的に体験を提供するだけにならないよう注意しましょう。積極的にファンと交流したりファン同士のコミュニケーションを促進したりして、交流のなかで関係性を構築することを意識してみてください。

体験や感情を共有できる環境を整える

単に体験を提供するだけではなく、その経験や感情を共有できる環境を整えられると、ファンマーケティングは自走しはじめます。

施策としては、次のようなものが有効です。

  • SNSで体験談を募集する
  • ファンコミュニティで発信を促す
  • 発信者に対する特典を用意する

自発的に発信してくれるようになれば、企業が働きかけなくても自動的にファンがファンを呼び込む仕組みが出来上がるでしょう。

ビギニャー

ふむふむ。自社やファンへの理解を深めるのが大切なのはわかるんですけど、ファンが喜ぶ体験の提供っていうのが難しいんですよね……。例えば、どんな企画が有効なのでしょうか?

シニヤン

ファンマーケティングの代表的な手法としては、こんなものがあるよ。

ファンマーケティングの代表的な手法

ファンマーケティングの代表的な手法として、以下のようなものが挙げられます。

  • SNSにおける交流
  • ファンコミュニティの運営
  • ファンミーティングの開催
  • 会員サービスの提供
  • 体験型イベントの実施
  • リファラル(紹介)プログラムの実施

各項目をみていきましょう。

SNSにおける交流

もっとも手軽に実施できるのが、SNSを使った顧客との交流です。テキストや画像で気軽にやり取りができるため、ライトなファンやファン未満の顧客とも交流しやすくなります。

ハッシュタグキャンペーンやアンケートの実施など、顧客のアクションを促すイベントの実施も有効です。丁寧かつユニークな対応ができれば、よりブランドや商品に親近感を抱いてもらえるでしょう。

ファンコミュニティの運営

ブランドや商品に関するファンコミュニティを運営することも、ファンマーケティングでは有効です。愛用者同士が交流できる場を提供することで、より熱狂的なファンへの育成が目指せます。

ファン対ファンが行うコミュニケーションには、顧客の正直な意見が隠されています。アンケートやインタビューではわからない、新しいヒントが得られるかもしれません。

ファンミーティングの開催

ファンミーティングとは、ファンに対して提供する特別なイベントです。アイドルや芸能人などが開催するイメージの強いイベントですが、企業が顧客に対して開催することもあります。

商品開発者と交流できる点、他の顧客にはできない特別な体験ができる点は、ファンに強い優越意識を与えます。よりいっそう、自社への愛着を深めてもらえるでしょう。

会員サービスの提供

利用すればするほど優遇される会員サービスの導入も、ファンマーケティングではおすすめです。また、サブスクリプションサービスを提供し、顧客を囲い込んでしまうのもひとつの手です。

上位会員向けコミュニティの提供やサブスクリプション限定の商品など、ファンになる明確なメリットを用意すると、自社を選ぶモチベーションを与えられます。

体験型イベントの実施

モニター体験やサンプルを配布する座談会など、体験型のイベントを開催すると強い印象を与えられます。自社イベントの開催のみならず、他社が主催するイベントへの出展やサンプルの郵送なども有効でしょう。

近年は、どこの企業もオンライン施策が中心となっています。だからこそ、あえてオフラインのイベントを開催すれば強い印象を残せます。

リファラル(紹介)プログラムの実施

リファラル(紹介)プログラムは、ユーザーに商品やサービスを知人へ紹介してもらうことで、ポイントやサンプルなどを付与するプログラムです。

商品を熟知した愛用者が紹介することで成約率が向上しますし、紹介で知ったサービスは継続率が高くなる傾向にあります。さらに、リファラルプログラムを用意しておけば、よりUGCが生まれやすくなります。

この手法には、ファンがファンを生み出す効果があるだけではなく、紹介行動を通じてファンを特定できるというメリットがあるのです。

シニヤン

決して特別なことをする必要はないんだ。僕たちがいつも行っているマーケティング手法でも、ファンマーケティングの効果は得られるんだよ。

ビギニャー

たしかに!!SNS運用とか会員サービスの提供って、そんなに特別な取り組みではありませんよね。これなら、僕でもできそうです!

シニヤン

おっ、頼もしいね。それじゃ、ファンマーケティングで重要な3つの要素についても説明しておこうかな。

ファンマーケティングで重要な3つの要素

ファンマーケティング戦略では、以下の3つの要素が基盤となります。

  • 共感
  • 愛着
  • 信頼

各要素の詳細をみていきましょう。

共感

「ブランドの理念が自分の考えと似ている」「商品のコンセプトに価値を感じる」など、顧客に共感してもらうことがファンマーケティングでは重要です。ブランドを形成するストーリーや独自の価値観に共感してもらえれば、商品を選ぶ強いモチベーションを与えられます。

特に、近年はSDGsや貧困などの環境・社会問題に関心を抱く消費者が急増しました。このような問題に関心を抱く消費者からの共感が得られれば、根強いファンの獲得を目指せる可能性があります。

愛着

「このブランドのデザインが好き」「使用感がダントツでいい」などの愛着感情も、ファンマーケティングで重要な役割を果たします。思い入れがあるブランド・商品は顧客の定着を促進し、競合他社への乗り換えを防いでくれるでしょう。

ただし、商品自体に愛着を持ってもらうのは、決して簡単なことではありません。そのため、接客や店舗の雰囲気づくり、ブランドストーリーなどの複数の要素を組み合わせて愛着を形成していくことが大切です。

信頼

「ここの商品は品質が安定している」「絶対に間違いない」という信頼感を提供することも、ファンマーケティングを実施するうえで重要となります。商品やブランドに対して信頼感を抱いてもらえれば、企業自体の信頼・価値向上効果が得られます。

信頼感は、決して一時的な取り組みで与えられるものではありません。日ごろの誠実な対応や高品質な商品の提供などを積み重ね、信頼してもらえる基盤をじっくりと整える必要があります。

ビギニャー

ふむふむ。共感・愛着・信頼ですね!しっかりと意識してファンマーケティングに挑戦してみようと思います!

シニヤン

それとね、ファンマーケティングを成功させるために知っておいてほしい施策のポイントもあるんだ。

ファンマーケティングを成功させるためのポイント

ファンマーケティングを成功に導くには、以下の5つのポイントを意識してアプローチすることが大切です。

  • 売上だけをKPIにしない
  • インタラクティブな関係を構築する
  • ファンの自発性を刺激する
  • 新規ファンも大切にする
  • マーケティング支援ツールを活用する

各項目の詳細を説明します。

売上だけをKPIにしない

ファンマーケティングは、成果が出るまでに時間がかかる施策です。そのため、売上だけをKPIにすることは避けましょう。

ファンの多さや熱心さは、売上だけで測れるものではありません。多角的な視点で成果を計測できるよう、次のような指標を複数用いて進捗や成果を把握しましょう。

  • NPS®(ネットプロモータースコア)
  • リピート率
  • イベントへのアクション率
  • SNSのエンゲージメント率
  • 解約率
  • シェア率 など

インタラクティブな関係を構築する

ファンマーケティングで重要なのは「企業が商品を売り込むこと」ではなく、「ファンの声に耳を傾けて、一緒によりよいブランドを育て上げていくこと」です。そのため、お互いの声を届けられるインタラクティブな関係を構築することが欠かせません。

そのためには、「協力したい」「力になりたい」と思わせるような、ファンを巻き込んだ企画を立てる必要があります。SNSで積極的に意見を聞いたりイベントを実施したりと、ファンと対話する機会を積極的に作りましょう。

ファンの自発性を刺激する

ファンマーケティングで成果を出すコツは、囲い込みではなく自発性を刺激することです。企業が囲い込んで無理やり自社製品に縛り付けるのではなく、ファンが自分で自社製品を選んでくれる状態を作り出すことが大切です。

戦略を立てるときは、SNSやコミュニティにおける発信・企画への参加など、ファンの積極的な行動を引き出せるように工夫しましょう。「自分がブランドの成長に寄与している」という意識がファンのなかに生まれると、よりブランドへの愛着が深まっていきます。

クラウドファンディングや一般ユーザーのアンバサダー募集など、あえてファンの力を借りる施策も戦略のひとつです。

新規ファンも大切にする

ファンマーケティングでは、すでに売上に貢献している既存ファンを優遇する施策に偏りがちです。しかし、新規ファンが排除されればファンマーケティングは成功しません。新規ユーザー向けのイベント開催をするなど、既存ファンと同じだけ新規ファンも大切にする施策も積極的に立てましょう。

ファン同士が仲良くなれば、仲間意識が強まりさらにブランド・商品への想いが強まります。ファンが自主的にコミュニティを形成・運営してくれれば、ファンマーケティングの自走が目指せるでしょう。

マーケティング支援ツールを活用する

ファンマーケティングの実施には、顧客ごとの情報を管理したり密にコミュニケーションを取ったりと、さまざまな取り組みが必要になります。顧客の管理や熱量に応じたきめ細かなアプローチをマンパワーで行うのは難しいので、マーケティング支援ツールで効率化・自動化することがおすすめです。

ファンマーケティングに活用できるツールとしては、次のようなものが挙げられます。

  • MAツール:キャンペーンマネジメントやファンの行動分析ができる
  • CRM:顧客の情報や購入履歴などを蓄積・分析できる
  • メール配信システム:リスト作成やメールの配信を効率化できる
  • CMS:簡単にWebサイトを制作・運営できる

どのようなツールを導入すべきか迷うときは、ファンマーケティングに詳しい専門家に相談してみるとよいでしょう。

シニヤン

うちの会社でもファンマーケティングの支援を行っているから、お客さんに相談されたときは一緒に対応していこうね。

ビギニャー

はいっ!先輩、ありがとうございました。またひとつ、マーケティングの知識が身につきました!

シニヤン

どういたしまして!またわからないことがあったら聞いてね。

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