データマネジメントとは、企業が集めた顧客情報をよりマーケティングで利用しやすくするために、加工したり管理したりする取り組みです。
企業が管理する顧客情報の量や種類が増えてきた近年、集めたデータをそのまま活用することは難しくなってきました。
本記事では、複雑なデータをビジネスで活かすために必要なデータマネジメントについて解説します。
先輩!部長からCRMの情報を参考に新しい販売戦略案を考えてほしいって言われたんですけど……。データが多すぎて何を見たらいいかわからないし、なんだか形式がバラバラで確認するのが大変なんです……!
なるほど……。ビギニャー君、CRMとかで集めたデータが活用しにくかったり確認しにくかったりするのって、マーケティングによくある課題なんだよ。
集めたデータをビジネスやマネジメントで活用するためには、データマネジメントを行う必要があるんだ。
INDEX
データマネジメントとは
私たちがビジネスをするうえで、もはや欠かせなくなった顧客情報。実は、顧客情報を単に集めるだけでは、ビジネスで活用することはできません。データマネジメントで情報を整理・分析し、活用できるように加工する必要があるのです。まずは、データマネジメントの概要を3つの観点から深掘りしていきましょう。
- データマネジメントでは何をする?
- データマネジメントの業務例
- データマネジメントの対象となる情報
上記の内容を詳しく解説します。
データマネジメントでは何をする?
データマネジメントとは、企業が収集した購買情報、Webの行動履歴などの顧客データを加工したり管理したりする取り組みです。データマネジメントの役割は、「目的達成にはどのようなデータが必要で、どのように集め、どのように加工して活用するのか」を総合的に計画して実行することです。
データマネジメントを行えば、さまざまなデータがマーケティングなどでより利用しやすくなります。ただし、情報を分析したり活用しやすくしたりするためには、「最新のデータか」「抜け漏れはないか」「矛盾や偽りはないか」などを細かく確認しなければいけません。
データマネジメントを行う際は、正確で最新の状態のデータを維持できるように管理することが非常に重要です。
データマネジメントの業務例
データマネジメントといっても、行われる業務の内容はさまざまです。たとえば、次のような業務がデータマネジメントに含まれます。
- CRMでデータを登録・更新し、実際にマーケティングで活用する業務
- 上記の業務のために必要なデータを蓄積するシステム開発や維持管理を行う業務
- データを加工して可視化したり、活用できる状態に加工したりする業務
- 効率的かつ安全にデータを利用するためのセキュリティ管理や責任体制の確立
このように、データマネジメントの業務は情報の管理だけではありません。情報を蓄積するためのシステム開発や維持、安全にデータを利用するためのセキュリティ整備など、たくさんの種類があります。
データマネジメントの対象となる情報
データマネジメントの対象となる情報には、「構造化データ」と「非構造化データ」の2種類があります。それぞれどのようなデータなのか、具体例とともにみてみましょう。
構造化データ
構造化データとは、数値や記号など一定のルールや規則にのっとって整形されたデータを指します。ExcelやCSVなどにまとめられる、列や行の概念を持つデータが構造化データに該当します。規則性があり表形式にまとめやすいため、比較的情報を整理・活用しやすい点が特徴です。
非構造化データ
非構造化データとは、規則性がなく表形式に変換することが難しいデータを指します。たとえば、画像や動画、テキスト文書、音声などが挙げられます。非構造化データは形式や構造が一定ではないため、データの整理や分析が難しい点が特徴です。
データマネジメントを実施するときは、自然言語処理や画像認識、音声認識などの高度な技術やツールが必要です。
わかりました先輩っ!まずは目的や課題にあわせて「どんなデータがほしいのか」を整理したうえで、CRMなどで集めた情報を加工すればいいんですね。
そういうこと!呑み込みが早くて助かるよぉ。データマネジメントの重要性は高まっているから、しっかりと学んでおくといいかもしれないね。
そうなんですか?どうしてデータマネジメントの重要性が高まっているのでしょうか?
データマネジメントの重要性が高まっている理由
データマネジメントの重要性が増した背景には、3つの要因が隠されています。
- 取り扱うデータ量が激増しているから
- 個人情報保護が強化されているから
- データをもとに経営判断する企業が増えたから
以下では、各要因を詳しく解説します。
取り扱うデータ量が激増しているから
1つ目の要因は、企業が取り扱うデータ量が激増していることです。自社の商品を多くの顧客に届けたり企業の利益を向上させたりするためには、CRMの実施が欠かせません。
CRMに蓄積するデータが多いほど、企業は「どのような商品を提案したら買ってくれるか」「どのようにお問い合わせ対応をすればいいのか」を判断しやすくなります。そのため、CRMで蓄積したデータは企業にとって大切な資産だといえるのです。
しかし、社内のシステムに蓄積されているデータは、そのままの状態だとマーケティングで活用することは難しいかもしれません。
なぜなら、企業が蓄積した情報の種類や量は膨大で、分析に時間がかかりすぎたり項目がバラバラだったりするためです。たとえば、あなたは次のような状況に頭を抱えた経験はありませんか?
- 社内システムのあちこちに情報が散らばっている
- データの粒度(細かさ)がバラバラになっている
- 新しいものと古いものが混ざってしまっている
蓄積しているデータの量が多いほど、このような課題は増えていきます。ビジネスで顧客情報を活用するときは、ただデータを集めるだけでは不十分です。集めたデータを分析できる状態に整理し、継続して管理しておかなくてはいけません。
個人情報保護が強化されているから
2つ目の要因は、個人情報保護が強化されていることです。現在、企業はさまざまな方法で顧客情報を取得できるようになりました。それとともに、個人情報を適切に取り扱うことの重要性が増してきています。
収集した情報をぞんざいに取り扱い、万が一個人情報が漏洩したりしたら、企業は責任を問われてしまいます。日本では2022年4月に改正個人情報保護法が施行されている影響もあり、今まで以上に慎重に個人情報を取り扱う必要がでてきました。
データマネジメントでは保護すべき個人情報を整理し、セキュリティ環境を整える取り組みも行います。データマネジメントは、個人情報を保護する手段としても注目を集めているのです。
データをもとに経営判断する企業が増えたから
3つ目の要因は、データをもとに経営判断する企業が増えたことです。インターネットの普及により、情報化社会の発展や顧客ニーズの多様化が進みました。この影響で、単に良質な製品を製造して営業するだけでは、自社製品を多くの人に選んでもらうことは難しくなってきています。
そこで重要となるのが、顧客の行動やニーズを分析し、客観的事実に即して経営判断を下すことです。現代の市場では、勘や経験に頼った戦略は通用しません。データを活用し、顧客ひとり一人の行動やニーズ、心理状況に応じたアプローチを実施することが重要なのです。
なるほど……!市場や顧客の変化によって、データマネジメントは重要度が増してきているんですね!
そうそう。それにね、データマネジメントにはいろんなメリットがあるんだ。だから、実施する企業が増えてきているんだよ。
データマネジメントのメリット……、気になりますっ!
データマネジメントを実施するメリット
データマネジメントを実施すると、企業は以下のようなメリットが得られます。
- 業務を効率化できる
- 業務の属人化を防げる
- 根拠に基づいた判断ができる
- 顧客理解を深められる
各メリットの詳細を紹介します。
業務を効率化できる
日頃からデータマネジメントを行っておけば、業務を効率化できるというメリットが生じます。データを整理していつでも分析・使用できるようにしておけば、必要なときすぐに活用できるようになるでしょう。データマネジメントを実施すると、具体的に次のような業務を効率化できます。
- データの統合
- データの検索
- 関連データの参照
その時々で必要なデータを探したり加工したりする必要がなくなるため、素早い判断が求められるときでも安心です。
業務の属人化を防げる
データマネジメントを行うときは、データをフォーマット化して一元管理します。各部門は共通化されたデータを参照して判断を下せるようになるため、業務の属人化を防ぐことが可能です。
反対に、データが散らばっていたり形式が異なったりしている場合は、取り扱う人によって情報が偏ってしまう場合があります。データマネジメントは、ビジネスにおける論理的判断に役立ってくれるのです。
根拠に基づいた判断ができる
根拠に基づいた判断が下せるようになる点も、データマネジメントのメリットです。データは、単に保有しているだけでは意味がありません。整理・分析して課題を抽出し、目標達成に必要な戦略の立案に役立ててこそ、ビジネスにおいての価値が生まれます。
ただし、単に収集したデータを寄せ集めて分析しても、正しい結果が得られるとは限りません。なぜなら、そこには誤ったデータや抜けているデータが含まれている可能性があるためです。
データマネジメントには、このようなデータの不備を補完し、情報品質を向上させる効果もあります。品質の高いデータを使用できれば、根拠に基づいた信頼のおける判断が下せるようになるのです。
顧客理解を深められる
データマネジメントで顧客情報を分析することは、深い顧客理解につながります。収集した顧客情報を整理分析すれば、顧客の動向や趣向、ニーズなどが明確になってきます。その結果、企業はより顧客の求めている商品やサービスを提供できるようになるのです。
さらに、顧客情報は、顧客自身が気づいていない潜在ニーズの発掘にも役立ちます。既存製品のマーケティング戦略を立案するときはもちろん、新商品を開発するときもデータマジネジメントは効果を発揮してくれるでしょう。
へぇ~、データマネジメントってすごいですね!これは、実施しない手はないかもっ!
そうなんだよね。でもね、データマネジメントにはデメリットもあるんだ。
データマネジメントを実施するデメリット
メリットが豊富なデータマネジメントですが、デメリットもある点に注意が必要です。気をつけたいデメリットは、以下のとおりです。
- 導入が難しい
- 部門間での連携が難しい
それぞれを詳しく解説します。
導入が難しい
データマネジメントの導入は、決して簡単なことではありません。実施には専用のツールが必要なためコストがかかりますし、データの整理にはある程度の手間や時間がかかります。
そのため、「コストや労力のわりに得られる成果が少ない」と判断され、導入の承認が下りない可能性も考えられるでしょう。
データマネジメントを導入する際は、目的や会社が得られるメリットを説明できるようにしなければいけません。まずは現状を正しく把握し、データマネジメントを取り入れるべき理由を明確にしてみましょう。
部門間での連携が難しい
各部門での連携が難しい点も、データマネジメントの課題です。規模が大きい企業ほど、組織は細分化されます。
その影響で、部署やチーム同士の連携がうまくいかなくなることは決して珍しくありません。そのような企業の場合、データマネジメントを取り入れても、社内全体で連携してツールを使ったり各部門の情報を集めたりすることは難しい可能性があります。
データマネジメントは階層や部署を超えて取り組む必要があります。その影響で、成果が出るまでにある程度の期間が必要になる点は押さえておきましょう。
なるほど……。導入する目的やメリットを明確にして、各部門で連携できるように時間をかけて取り組む……!僕、理解できました!!
それにしても、データマネジメントっていろいろなシーンで役に立ちそうですね。
鋭いね、ビギニャー君。データマネジメントで集めて管理したデータは、さまざまな形でビジネスの手助けをしてくれるよ。
データマネジメントの活用事例
データマネジメントは、以下のような方法で活用できます。
- 顧客・商品分類
- 複数のデータを組み合わせて今後のマーケティング施策を考える
- 属性ごとにレコメンドする
- 効果的な訴求方法を導き出す
- 顧客の行動から成功ルートを探し出す
もっとデータマネジメントについて理解するためにも、活用例を見ていきましょう。
顧客・商品分類
データマネジメントを行えば、契約内容や利用商品で顧客や商品を分類し、利用実績を正確に把握できるようになります。正確な利用実績がわかれば、顧客を分類して今後の施策に役立てられます。また、人気な商品や不人気な商品、それぞれの課題や改善策などを判断できるようになるでしょう。
複数のデータを組み合わせて今後のマーケティング施策を考える
CRMで蓄積した複数のデータを組み合わせれば、今後のマーケティング施策考案に活かせます。たとえば、ECサイトの「直帰率」と「新規・リピーターの割合」という2つの軸をかけ合わせて分析したとき、新規ユーザーの直帰率が高いことがわかったとします。
この場合、新規ユーザーがすぐに離脱しないよう、「新規登録者限定のセールを開く」「関連コンテンツを上部に掲載して興味を惹く」などの改善策が考案できるでしょう。
属性ごとにレコメンドする
CRMやデータマネジメントで正確な利用実績がわかれば、顧客を属性分けして、それぞれに最適な商品を案内できます。
たとえば、高額商品の購入者を「高級志向タイプ」、話題商品の購入者を「流行追求タイプ」と分類すれば、各顧客が興味を持ちそうな商品を提案できますよね。より趣味や志向に合った商品をアピール(レコメンド)できるので、マーケティングの効率化が叶います。
効果的な訴求方法を導き出す
商品を購入する頻度や解約状況などの情報をデータマネジメントで明らかにできれば、効果的な訴求方法を導き出せます。たとえば、契約から半年で解約する人が多い場合は「4~5か月時点でお得な継続キャンペーンを届ける」という施策が考案できます。
商品を購入する頻度が低い場合は、「半年以内のリピート購入でポイント3倍クーポンを配布する」などの訴求が有効かもしれません。また、訴求方法ごとの反応をデータとして蓄積すれば、より効果的な訴求方法がみえてくるでしょう。
顧客の行動から成功ルートを探し出す
CRMで蓄積した情報をデータマネジメントで活用できれば、顧客の行動からルールを探し出し、成功ルートを導き出せます。たとえば、「缶ビールを買った顧客の70%が柿の種を買っている」ことがわかったとします。
この場合、ビール売り場の近くに柿の種を置くことで売上アップを狙えるかもしれません。このようにデータがたくさんあると、数字という客観的な根拠に基づいた仮説が立てられるようになるのです。
わ~、データマネジメントっていろいろなシーンで役立つんですね!頼まれていた仕事のついでに「顧客分類」もして、部長に僕の成長を見せちゃおっかな!
やる気があって素晴らしいねぇ~!そんなやる気のあるビギニャー君に、データマネジメントに役立つツールの一例を紹介しておこうかな。
さすが先輩っ!頼りになります!!
データマネジメントに活用できるツール一例
膨大なデータを整理・分析するデータマネジメントを、すべて人の手で行うのは困難です。そのため、以下のようなツールを使って実施することが一般的です。
- CRM
- SFA
- DMP
- CDP
各ツールについて詳しくみていきましょう。
CRM
「CRM(Customer Relationship Management)」は、顧客の情報を収集・分析して、顧客ひとり一人に適切なアプローチを行うためのツールです。CRMは、2つの種類に分類できます。
オペレーショナルCRM
顧客との各タッチポイント(接点)で、最適な対応をすることを目的に使用されるCRMです。顧客とのタッチポイントとは、広告やお店での接客、コールセンターのお問い合わせなどを指します。
たとえば、コールセンターで導入されているCTIは、オペレーショナルCRMの役割を果たしてくれる代表的なシステムです。
CTIシステムを活用すれば、顧客から電話がかかってきたときに自動で顧客情報を表示してくれます。この機能のおかげで、オペレーターは円滑なコミュニケーションが行えるようになるのです。
ほかにも、SFA(営業支援システム)を活用して最適なサービスを提供したり、顧客層ごとに内容を変えてダイレクトメールを送ったりすることが、オペレーショナルCRMに含まれます。
このように、オペレーショナルCRMは顧客の情報を蓄積することで、対応時の満足度を高めたり一人ひとりに最適な施策を考えたりするときに役立つのです。
アナリティカルCRM
アナリティカルCRMとは、顧客を深く理解するときに重要となるCRMです。具体的には、オペレーショナルCRMで収集した情報を分析し、顧客のニーズや行動を把握することを指します。
顧客の購買行動をルール化して、マーケティングの計画を立てたり検証を繰り返したりすることがおもな活用目的となります。
アナリティカルCRMで顧客のニーズを深く理解できれば、データに基づいた施策の実行が可能となるのです。なお、オペレーショナルCRMとアナリティカルCRMは、それぞれ独立したものではありません。
オペレーショナルCRMで蓄積した情報がアナリティカルCRMで活かされ、アナリティカルCRMの分析内容はより効果的なオペレーショナルCRMに活かされます。両方とも重要なCRMなので、目的に合わせて組み合わせながら活用することが大切です。
SFA
「SFA(Sales Force Automation)」は、営業活動を支援してくれるシステムです。SFAでは、顧客の情報や商談化案件の一元管理が可能です。どのような営業活動やマーケティング施策が商談成立につながったか分析できるため、より成果の高い営業活動の実施に役立ってくれます。
顧客情報の管理に特化したツールが「CRM」で、営業活動の管理に特化したツールが「SFA」です。アルファベットが多くて混乱しやすいですが、とくに重要度が高いツールなので、しっかりと区別しておきましょう。
DMP
「DMP(Data Management Platform)」とは、インターネット上に蓄積された多様な情報データを一元管理・分析する、広告配信に特化しているプラットフォームです。別名「オープンDMP」とも呼ばれ、主に匿名化されたサードパーティデータを取り扱います。
DMPを使用すれば、複数のデータを1か所に蓄積・分類し、分析やレポーティングを行い、ほかのマーケティングツールと連携できるようになります。
ただし、DMPはあくまでデータを管理するためのツールであり、データの活用までは行えません。データをMAなどと連携することで、フェーズごとに最適なアクションを自動で行えるようになります。
CDP
「CDP(Customer Data Platform)」とは、企業が蓄積している顧客データを管理するためのプラットフォームです。別名「プライベートDMP」とも呼ばれ、主に自社が保有するファーストパーティデータを取り扱います。
DMPと似ていますが、DMPは「広告配信に特化したツール」、CDFは「CRMやMAなどさまざまな施策に対応したツール」という点が異なります。
データマネジメントに活用できるツールって、こんなにたくさんあるんですね!
そうなんだよね。自社の目的や課題に合わせて、最適なツールを選ぼうね。ところでビギニャー君、データマネジメントの実施手順はわかっているかな?
えへへ、全然わからないです……!先輩、教えていただけますか?
データマネジメントの手順
データマネジメントは、以下の手順で実施しましょう。
- 実施する目的を明確にする
- データを収集・整理する
- 社内に周知し、活用する
各プロセスのポイントを詳しく解説します。
実施する目的を明確にする
まずは、データマネジメントを実施する目的を明確にしましょう。なぜなら、目的ごとに必要な情報や導入すべきツールは異なるためです。
データマネジメント自体を目的にしてしまうと、「必要なデータを必要なときに必要な形式」で出力できない可能性があります。必ず、目的に合わせてデータマネジメントを行うことを意識しましょう。
データを収集・整理する
次に、データマネジメントを行うために必要なデータを集めて整理しましょう。データは、あらゆる部門にあらゆる形式で散在している可能性があります。また、パソコンやマーケティングツールなどに保存しているデータはもちろん、紙や動画、音声データについても収集・整理しなければいけません。
加えて、全角・半角の表記ゆれを統一しておくなど、行うべき準備は多岐にわたります。この作業をしっかりと行っておくと、後のデータ分析や活用がスムーズになるでしょう。
社内に周知し、活用する
社内にデータマネジメントの実施を周知するのも、大切なプロセスです。適切にデータマネジメントを実施するためには、環境整備や各部門の連携が欠かせません。社内でどのようにデータを扱うのかを取り決め、運営方針を全員にしっかりと周知しましょう。
また、社内でデータを取り扱う際は、セキュリティ面に注意が必要です。データの使用範囲を規定し、セキュリティ管理体制や責任体制を確立しておきましょう。
ここまでの準備ができたら、いよいよデータのビジネス活用に取り掛かります。目的に応じてデータを活用し、継続的にデータの整理や分析に取り組んでください。
わわわ、プロセスはシンプルですが、それぞれが結構ヘビーですね……。とくに、データの収集や整理が大変そうです。
そうなんだよね。やってしまえば便利なんだけど、それまでの準備が結構大変なんだ。でも、データマネジメントの成功は準備にかかっているから、じっくりと取り組もうね。
先輩、他にもデータマネジメントを成功させるためのコツってあるんですか?
データマネジメントを成功させるコツ
データマネジメントを実施するときは、以下の4つのコツを意識すると成果を得られやすくなります。
- 資格を活用する
- 最新のデータを利用する
- データマネジメントへの理解を深めておく
- 小規模から開始する
各項目の詳細をみてみましょう。
資格を活用する
データマネジメントに役立つ資格として、「CDMP(Certified Data Management Professionals)」が挙げられます。この資格の目的は、データマネジメントの知識や経験を身につけ、プロフェッショナルとしての成長やキャリアアップを目指すことです。
データマネジメントは資格がなくても実施できますが、専門的な知識を持っていると成果が得られやすくなります。そのため、余裕がある方は資格を取得しておくとよいかもしれません。
最新のデータを利用する
市場や顧客の状況は、常に変化しています。そのため、データマネジメントを行うときは、最新のデータを使うことが肝心です。たとえば、5年前のファッションの流行と今の流行は、大きく異なりますよね。
常に消費者の関心や行動が移り変わるなかで古いデータを使用しても、正確な結果は得られません。継続的にデータの内容や状態をアップデートし、未来を見据えたデータマネジメントの活用を意識しましょう。
データマネジメントへの理解を深めておく
データマネジメントは、一個人や一部署だけの取り組みで成果につなげることはできません。なぜなら、各部門に散らばる情報の収集や品質管理、予算計画、法規制への対応を行うために、上層部から現場まで多くの人の協力が必要なためです。
データマネジメントを取り入れるときは、まず社内全体で取り組みへの理解を深めておくことが肝心です。場合によっては、データマネジメントのために組織体制や権限などを再編してもよいでしょう。
小規模から開始する
いきなり社内全体でデータマネジメントに取り組むことはおすすめできません。規模が大きくなるほど取り扱うデータや関与するメンバーが増え、統率が困難になる可能性が高いためです。まずは一部署、一チームからデータマネジメントをスタートして、徐々に範囲を広げていく方法がおすすめです。
小さな成功例やデータマネジメントのノウハウを積み重ね、少しずつプロジェクトを大きなものにしていきましょう。
先輩、ありがとうございました!僕も積極的にデータマネジメントを取り入れて、業務効率化を目指してみます!
おっ、やる気があっていいね。応援しているよ。またわからないことがあったらいつでも質問してね。
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WRITING 執筆
LIFT編集部
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