本記事では、CRMの基本知識からおすすめ製品、失敗しない導入方法まで解説します。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客の情報を収集・蓄積し、分析しながらアプローチを最適化したり戦略を立案したりする手法やツールです。
マーケティングを勉強していると必ず目にするCRMという言葉。CRMはどのような場面で活用されて、どのような効果があるのでしょうか。
ぜひ、この記事でCRMについての知識を深めてみてくださいね。
さっきお客さんに「おすすめのCRMを教えてほしい」といわれたので情報収集をしているのですが、CRMってたくさんあるんですね!どれがいいのか、わからないなぁ~。
CRM、いろんなのがあるよねぇ。よかったら、僕のイチオシCRMを教えておこうか?
え、いいんですか!?ありがとうございます!!
おすすめCRMツール7選
さまざまな企業からさまざまなCRMが提供されているので、どれを選んだらいいかわからず迷っている企業は多いかもしれません。ここでは、CRM選びに迷っている企業に向けて、7つのおすすめCRMツールを紹介します。
すべての企業におすすめのCRMツール
まずは、すべての企業におすすめのCRMツールを紹介します。
eセールスマネージャー Remix cloud
eセールスマネージャー Remix cloudは、マネジメント層から営業部門までさまざまな部門で活用できる使い勝手のよさが魅力のCRM・SFAツールです。導入から定着まで徹底してサポートしてくれるため、継続率95%という高い定着率を誇っています。
「CRM」と営業を支援する「SFA」の機能を兼ね揃えており、顧客情報はもちろん、案件やスケジュール、日報などの管理も可能です。
情報の一元管理により、組織全体の業務効率化・生産性の向上が期待できるでしょう。スマホやタブレットにも対応しているので、外出先からサクッと操作できる点もうれしいポイントです。
b→dash
「データマーケティングをしたいけど、分析は苦手」という企業におすすめなのが、b→dashです。CRM機能を搭載したデータマーケティングツールで、「誰でもデータが使える」「データをひとつに集約できる」点を強みとしています。
施策・分析の実施に必要なデータ連携から抽出までのすべての工程が画面操作だけで完結。専門的な知識がなくても直感的にデータを使いこなせるので、初めての企業でも手軽に導入できます。さらに、MAやWeb接客などの機能も搭載。マーケティングに必要な機能がそろったオールインワンのツールです。
Kintone
Kintoneは、コストを抑えつつ組織を超えた業務連携を実現したい企業におすすめのシステムです。情報の集約や見える化に長けたツールで、CRMはもちろん、100以上の拡張機能を利用できます。
APIやプラグインを必要なだけ追加できるので、自社にマッチしたシステムにカスタマイズし、業種を問わず活用できるでしょう。さまざまな機能が使える一方、ランニングコストが低い点が特徴です。利用者数5名以下の小規模な企業であれば、年間10万円以下で大幅な業務効率化を目指せます。
無料で試せるCRMツール
「いきなり高いコストをかけてCRMを導入するのは不安」という場合は、無料で試せるツールを活用してみるとよいでしょう。ここでは、無料で試せるCRMツールを紹介します。
Sales Cloud
Sales Cloudは、「AI+データ+CRM」を強みにもつツールです。CRMに加え、SFAの機能も使用できます。インサイドセールス・フィールドセールスで蓄積した顧客情報や営業情報を共有できるので、営業効率化・受注精度向上に役立てられるでしょう。
「取引先管理」「案件管理」「見込み客管理」などさまざまな機能があり、商談情報の可視化や顧客情報・商談状況の把握に役立ちます。顧客管理のみならず、営業活動の効率化を課題とする企業と相性のよいツールです。
Sansan
Sansanは、クラウド型名刺管理サービスです。BtoBビジネスでは、名刺を入口に顧客情報を獲得する機会が多くなります。集めた名刺をしっかりと管理してCRM施策をしたい企業には、Sansanが非常におすすめです。
システムに名刺を登録すれば、社内・社外の連絡先を一元管理できます。部門を越えて名刺情報の可視化・共有を行うことで、生産性の向上・組織的営業力の強化が狙えるでしょう。
このシステムでは、社内に眠る名刺以外のデータとの統合や情報の整理も可能です。今まで蓄積してきた情報を、マーケティングで活用できるものへと昇華させます。
GEOCRM.com
地図上で顧客を管理する「フィールドナーチャリング」を行えるのが、GEOCRM.comです。顧客への訪問時にヒアリングシートを入力してカルテを更新することで、顧客情報を蓄積します。
セグメントされた顧客は、地図上で色別に表示されます。定期訪問の間隔や売り込む時期など、攻めるべき顧客を可視化し、営業・マーケティング活動を効率化できるでしょう。
多くの取得済み特許技術を実装しているため、パフォーマンスは圧倒的です。フィールドセールスをメインに行っている企業は、ぜひチェックしてみてください。
HubSpot CRM
HubSpot CRMは、無料で利用できるCRMツールです。とにかく手軽に多くの機能を試してみたい企業に向いています。無料版と有料版がありますが、無料版だけでも十分な機能を兼ね備えているので、中小企業であれば費用をかけずとも十分な効果を実感できるでしょう。
メールやチャットなど、顧客と行われたさまざまなやりとりを自動的に保存する機能や、取引に関する情報をリアルタイムで追跡して「見える化」する機能が搭載されています。有料版に切り替えれば、SFAやMAもセットで使用可能です。
おお!それぞれのCRMが異なった特徴・機能をもっているんですね!これだけ製品が豊富で機能もいろいろあると、どれを選んだらいいか悩んでしまいますね……。
それじゃあ、企業にあったCRMの選び方についても勉強してみる?
はいっ、先輩!
自社に合ったCRMの選び方
多くのCRMシステムの中から自社に合ったものを選ぶためには、以下の5つのポイントを確認する必要があります。
- 機能・操作性
- 提供形態
- セキュリティ
- 他ツールとの連携
- サポート体制
各ポイントの詳細を解説します。
機能・操作性
まず確認しておきたいのは、機能です。そもそも自社に必要な機能が搭載されていなければ、システムを導入する意味がありません。自社の現状や実施したい施策を洗い出し、必要な機能をリストアップしておきましょう。
また、操作しやすいかどうかも、CRMを選ぶときの大切なポイントです。海外言語のシステムや複雑な機能が多すぎるシステムは、使用するなかでストレスを感じることがあるかもしれません。
スムーズに運用するには、利用者全員が快適に使用できるCRMシステムを選ぶことが大切です。可能であれば、無料トライアル期間などを活用してから導入するCRMを決定しましょう。
提供形態
CRMの提供形態も、しっかりと確認しておきましょう。インターネットを介してオンライン上のサービスを利用する「クラウド型」のCRMは、安い費用で気軽に利用できる点がメリットです。しかし、カスタマイズ性で劣るため、自社で機能をカスタマイズしたい企業には向いていません。
一方、自社でシステム環境を構築する「オンプレミス型」は、カスタマイズ性が高く、セキュリティが強固な点がメリットです。
ただし、費用が高く運用・保守の手間がかかる点に注意が必要です。企業ごとに向いている提供形態は異なるため、自社に合ったものを選びましょう。コストを抑えたい場合は「クラウド型」、カスタマイズしたい場合は「オンプレミス型」がおすすめです。
セキュリティ
セキュリティの強固さも、確認しておきたいポイントです。CRMは、顧客情報を蓄積・分析するシステムです。そのため、万が一情報が漏れるようなトラブルがあれば、自社の顧客に多大な迷惑をかけることになります。
データの安全性を確立して、自社の信用を失墜させる事態を防ぐためにも、セキュリティ対策が万全なCRMの導入を推奨します。
他ツールとの連携
CRMは、他のシステムと連携して使用する機会が多いツールです。そのため、他のツールと連携しやすいかどうかも確認しておきたいポイントです。拡張性が悪いCRMツールを選んでしまうと、将来的にツールを乗り換えなくてはいけなくなってしまう可能性があります。
すでに自社で導入しているツールがある場合は、そのツールと連携できるCRMシステムを選びましょう。まだ何のツールも導入していない場合は、将来的に導入を検討しているツールと連携しやすいCRMを導入してください。
サポート体制
CRMツール導入経験の有無にかかわらず、サポート体制が手厚いCRMシステムを導入することがおすすめです。具体的には、以下の内容を確認しておくと安心です。
- サポートの有無
- どのようなサポート体制なのか
- 問い合わせ方法は何か
- 問い合わせ受付時間はいつからいつか
- サポートを受ける際に別途料金が必要か
- (海外システムの場合)日本語でサポートを受けられるか
必要なときにすぐサポートを受けられるCRMツールを導入すれば、トラブルが発生したときに業務が滞ってしまう事態を防げます。
ところでビギニャー君。お客さんにおすすめCRMについて聞かれたって言っていたけど、CRMの機能や種類についてはしっかりと説明できている?
じ、じつはちょっとあやふやで……。一回おさらいしておきたいです。
CRMとは
マーケティングについて勉強していると必ずでてくるCRMという言葉。CRMはとくに重要性が高い施策・ツールであるため、基本的な知識として必ず押さえておかなければいけません。ここでは、マーケターに知っておいてほしいCRMの基本知識を解説します。
- CRMとは簡単にいうと?
- CRMの基本機能
- CRMの重要性が増した理由
上記の3項目について、詳しくみていきましょう。
CRMとは簡単にいうと?
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客の情報を収集・分析し、良好な関係性を構築して顧客満足度を向上させるための手法です。日本語に直すと「顧客関係管理(顧客管理)」という意味となり、CRM施策を実施するためのITツールをCRMと呼ぶこともあります。
CRMを実施すると、顧客を深く理解できます。その結果、顧客のニーズに沿ったビジネスを展開できるようになり、効率的に利益を向上させられるのです。
CRMの基本施策・機能
実際にCRMを実施するときは、次の流れで顧客理解を深めていくことが一般的です。
- 顧客情報の収集・データベース化
- データの分析・可視化
- 分析結果をもとにした戦略立案・アプローチ
顧客情報をデータベース化するステップでは、主に顧客の性別や地域、趣味嗜好といった属性データや購入・対応履歴などを整理・蓄積します。
その際、「見込み顧客」「既存顧客」「優良顧客」の分類を行うこともあります。次に、分析のステップで「どのような顧客がどのような商品に興味をもっているか」「商品を購入した顧客の特徴は何か」などの傾向を分析しましょう。
そして、戦略立案・アプローチのステップでは、分析結果をもとにマーケティング活動を実施します。CRMを活用したマーケティング戦略の一例としては、次のようなものが挙げられます。
- 顧客が興味を持ちそうな商品をひとり一人におすすめする
- 誕生日クーポンを配布する
- 購入履歴から、消耗品の買い替え時期を知らせるメルマガを配信する
- 問い合わせ履歴を蓄積し、2回目・3回目の問い合わせに反映する
このように、CRMをもとにコミュニケーションを最適化できれば、リピート購入やファン化が狙えるようになります。
CRMの重要性が増した理由
CRMのはじまりは1990年前半であるといわれていますが、その重要性は近年ますます高まってきています。その理由として考えられるのは、以下の3つの変化です。
- 価値観や市場ニーズが多様化したから
- 顧客の獲得や維持が難しくなったから
- 従来の営業方法が通用しなくなってきたから
それぞれを詳しく解説します。
価値観や市場ニーズが多様化したから
IT技術の進化により、近年は消費者が自分で情報を得られるようになりました。その影響で、消費者の価値観や市場のニーズは年々多様化してきています。
価値観や市場ニーズが多様化するなかで、「一斉に同じ内容のメールを送る」「全員に同じ方法で営業する」などの施策を実施しても、成果は得られません。効果的なマーケティングを実施するためには、各消費者のニーズに合ったアプローチをする必要があるのです。
そのため、顧客ひとり一人を理解して、それぞれに最適なコミュニケーションを実現するCRMの必要性が高まってきています。
顧客の獲得や維持が難しくなったから
顧客の獲得や維持が難しくなったことも、CRMが注目を集めるようになった大きな理由として挙げられます。近年はさまざまな技術が発展し、商品やサービスに差が生まれにくくなる「コモディティ化」が進んできました。このような市場では、自社を繰り返し選んでもらうことは難しくなります。
なぜなら、顧客にとって「どの商品・サービスも大差ない」ためです。より安くて魅力的な商品があると、すぐに競合他社に顧客を奪われてしまうでしょう。
そのようなときもCRMを実施すれば、商品だけではなく「体験」や「感動」の付加価値を高められるようになります。商品以上の価値提供によって他社と差別化を図れるため、顧客獲得や維持に高い効果を発揮してくれます。
従来の営業方法が通用しなくなってきたから
従来の営業方法が通用しなくなってきたことも、CRMの重要性が高まった大きな要因です。今までは、顧客のデータをExcelや紙ベースの資料などで管理し、ビジネスチャットなどで情報共有する企業が多い傾向にありました。
しかし、人材不足に悩む企業が増えてきた今、従来のアナログな情報管理・営業方法では人的・時間的リソースが不足するケースが増えてきています。
また、従来の情報管理の方法では、多様化する顧客のニーズに対応することも難しいでしょう。そのため、ITツールを使ってマーケティング・営業活動を効率化する必要性が出てきたのです。
CRMで顧客管理を効率化・自動化できれば、他の業務にリソースを回せるようになります。CRMはコストの削減はもちろん、利益の向上効果ももたらしてくれるでしょう。
ふむふむ。一口にCRMといっても、いろんな役割があっていろんなことを目的に使われるんですね!
そうだね。近年のマーケティングや営業活動ではCRMの重要性が増してきているから、役割を理解したうえでどんどん活用していこうね!
役割……。そういえば、CRMにもいろんな種類がありますよね?
CRMの種類
CRMは、役割によって3つの種類に分類されます。
- オペレーショナルCRM
- アナリティカルCRM
- コラボレーティブCRM
各種類の役割やMAツール・SFAとの違いをみていきましょう。
オペレーショナルCRM
オペレーショナルCRMとは、「顧客一人ひとりの満足を創る」ためのCRMです。企業が顧客と接点を持つときに適切な対応をしたり、信頼関係を維持したりする際に欠かせない情報を集め、活用していく取り組みを指します。
広告や店舗接客、カスタマーセンター、メール、DMの送付など、企業はさまざまなところで顧客と接点を持ちますよね。
このときに、顧客の属性や購入履歴、お問い合わせ履歴などがわかっていれば、一人ひとりに合った対応ができて顧客の満足度を高められます。
オペレーショナルCRMの具体例
- 顧客の特性ごとに適した内容のDMやメルマガを配信する
- 営業支援システム(SFA)と連携して個別のサービスを提供する
- カスタマーサービスの際に、顧客の電話番号から顧客情報を呼び出す
このように、企業が顧客と接点を持ったりカスタマーサポートをしたりする際、顧客満足度を高めるために重要となるのがオペレーショナルCRMなのです。
アナリティカルCRM
アナリティカルCRMとは、「顧客をより深く理解する」ためのCRMです。オペレーショナルCRMで集めた顧客情報を分析して、より営業活動やマーケティングに活かすための取り組みです。
アナリティカルCRMには、顧客の行動を予想したり、優良顧客になってくれそうな顧客を発見・育成したりする役割があります。
顧客へのアプローチを効率化して満足度を高めるオペレーショナルCRMに対し、アナリティカルCRMは一歩先の情報分析や営業活動への活用を可能にする手法・システムです。
アナリティカルCRMの具体例
- 販売経路ごとに顧客の行動傾向を分析し、それぞれに適したアプローチをする
- 顧客のアンケート結果を分析して優良顧客を絞り込む
- 顧客の購買行動から、セット購入が多い製品の傾向を探り出す
アナリティカルCRMは、顧客一人ひとりを理解して長期的に良好な関係を維持していく「データマイニング」に似た手法だと考えられます。データマイニングとは、さまざまなデータの中からルールや意味を探って「データの分析」をすることです。
似た言葉である「データマネジメント」は、散らばったデータを整理して分析しやすくするために「データの統合」をすることが主な役割です。
データマネジメントの代表的なツールとしては、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)というものが挙げられます。CRMとは意味や役割が違うので、区別して覚えておきましょう。
コラボレーティブCRM
コラボレーティブCRMは、「チーム間や部署間での情報共有をサポートするCRM」です。マーケティングや営業活動を実施する際は、さまざまな部門が協力し合う必要があります。
その際、各部門がそれぞれ顧客の情報を管理している状態だと情報の孤立化が起きてしまい、互いに連携することが難しくなります。
とくに、大企業では顧客情報の孤立化が起きやすく、シームレスな顧客体験を提供することは難しいかもしれません。そんなときに活用したいのが、コラボレーティブCRMです。
コラボレーティブCRMで顧客情報を各部門で連携できるようになれば、顧客に提供できるサービスの質を大幅に向上させられます。
コラボレーティブCRMの具体例
- 取引状況の詳細を整理して共有する
- タスクや収益などに関するレポートを作成して共有する
- メールでの顧客対応データをコールセンターのオペレーターに共有する
コラボレーティブCRMを活用すれば、チャネルや対応部署に関係なく、すべての担当者が顧客の最新情報へアクセスできるようになります。その結果、顧客に「担当者が変わるたびに説明が必要で面倒」「担当者によって言っている内容が違う」などのストレスを与えることを避けられます。
いつ・誰が顧客対応しても一貫性のあるサービスを提供できるため、高い顧客体験を提供できるようになるでしょう。
なお、各CRMは目的や効果は異なりますが、決して独立した施策・システムではありません。互いが影響し合うことで、より営業活動の効率化やマーケティング効果の向上が目指せるようになります。
MAツールやSFAとの違い
CRMと同様にマーケティングや営業活動をサポートしてくれるツールとして、MAツールやSFAが挙げられます。
MAツールとCRMの違い
MA(Marketing Automation)ツールとは、見込み顧客の育成を自動化・効率化するためのシステムです。見込み顧客のリスト化やメルマガの配信、スコアリングなどを自動で行ってくれます。
CRMは自社の顧客との関係性を良好にするツールであるのに対し、MAは見込み顧客を自社顧客にするためのツールである点が異なります。
SFAとCRMの違い
SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を支援してくれるツールです。商談の進捗状況やタスクを管理したり、見積書を作成したり、活動分析をしたりする機能が搭載されています。MAで育成した顧客を営業マンへ引き渡したあとは、SFAで商談の進み具合を管理することになります。
つまり、MAで見込み顧客を育成して、営業マンが商談の進捗をSFAで管理して、CRMで顧客との関係性を深めるという流れになるわけです。CRMとMAツール、SFAは使用するシーンや目的が大きく異なる点を押さえておきましょう。
メモメモ……。CRMは、目的に合わせて使い分けるのが大切なんですね!
そうそう。あとはCRMのデメリットを把握することも大切かな。
えぇ!?CRMってデメリットもあるんですか!?
CRMのメリット・デメリット
CRMには、メリットとデメリットの双方が存在しています。ここでは、それぞれを詳しく解説します。
CRMのメリット
CRMのメリットは、次の4つです。
- 顧客情報を一元管理できる
- 顧客対応のミスや漏れを防げる
- 分析やレポート作成を効率化できる
- 成約率やLTVの向上が見込める
各項目をみていきましょう。
顧客情報を一元管理できる
CRMを活用すれば、各部門に散らばったさまざまな顧客情報を一元管理できるようになります。顧客の属性データはもちろん、購入履歴や行動履歴、お問い合わせ履歴なども蓄積可能です。必要なときに必要なデータがすぐに取り出せるようになり、大幅な業務効率化を目指せます。
顧客対応のミスや漏れを防げる
顧客に関するすべての情報を一元管理できるため、顧客対応のミスや漏れを防げる点も大きなメリットです。CRMがあれば、「どのようなトラブルで問い合わせがあったのか」「どの商品を買ったのか」などがすぐに把握できます。そのため、満足度の高い顧客対応を実現できるようになるのです。
分析やレポート作成を効率化できる
CRMシステムに顧客情報を蓄積しておけば、顧客分析やレポート作成を自動化できます。マーケティングにおいては、この顧客分析機能がとくに重要となります。CRMシステムには分析機能が搭載されているため、うまく活用して蓄積した顧客情報を積極的に施策へ反映しましょう。
成約率やLTVの向上が見込める
CRMで高い顧客体験を提供することにより、成約率やLTVの向上が見込めます。顧客ひとり一人に合ったアプローチができれば、リピート購入してもらえる可能性が高まります。
また、顧客に満足してもらえる対応ができれば、長期的に企業へ利益をもたらしてくれるファンへと育成できるでしょう。既存顧客に対する売り上げをアップするコストは、新規顧客を獲得するコストの5分の1で済むといわれています(1:5の法則)。
既存顧客の成約率アップやLTVの向上は、コストをかけずに効率よく利益を獲得するための有効な戦略です。
CRMのデメリット
CRMのデメリットは、次の2つです。
- 導入に手間とコストがかかる
- 長期的な取り組みが必要
各項目をみていきましょう。
導入に手間とコストがかかる
CRMを実施するときは、専用のツールが必要になります。ツールの導入には手間とコストがかかるため、ある程度のリソースや予算は準備しておかなければいけません。
とくに、今まで紙媒体などで顧客情報を管理していた場合は、注意が必要です。データをCRMシステムに移行するだけでも膨大な手間と時間がかかるでしょう。
長期的な取り組みが必要
CRMは、効果が得られるまでに長い時間を要する施策です。決して、「ツールを導入したらすぐに効果が出る」というわけではない点に注意しましょう。大切なのは運用を継続し、データの蓄積や分析、施策への反映を繰り返し、自社にとって最適な運用方法を見極めることです。
最低でも、成果が出るまで数か月はかかることを理解しておきましょう。またCRMを運用するときは、担当者の選任やマニュアルの作成、各システムとの連携など多くの環境整備を行わなければいけません。運用方法の確立にも、長い時間を要します。
どんな施策にもメリットとデメリットがあるから、双方を理解して実施することが大切だよ。
よ~し!これでCRMシステムの選び方についてはバッチリだ!あとは、おすすめCRMとあわせてCRM施策も提案していけばオーケー……って、肝心の運用方法がわからなかったです……!
そうだね。単にCRMシステムを導入するだけじゃ、効果的なマーケティング施策は実施できないからね。
CRMを導入・活用する手順
CRMを導入・活用するときの手順は、以下のとおりです。
- 目標を明確にする
- 自社に最適なシステムを選ぶ
- 運用ルールを決める
- データを蓄積・活用する
- PDCAサイクルを回す
各プロセスを詳しくみていきましょう。
課題・目標を明確にする
まずは、企業の営業活動やカスタマーサービスなどを含む、すべての業務の点検を行ってください。
- 業務フロー
- 対応している担当者
- どのような業務を行っているのか
このようなポイントを整理できると、自社の課題を見極められるようになります。そして、CRMの実施で達成したいKGI(目標)やKPI(中間目標)を策定しましょう。課題や目標が明確になれば、CRMに必要な機能を洗い出せます。
自社に最適なシステムを選ぶ
次に、自社に最適なCRMシステムを選びましょう。このとき大切なのは、費用ではなく機能を優先してシステムを選ぶことです。
料金を優先すると、必要とする機能が搭載されているシステムを選べなくなり、CRMの成果を得られなくなる可能性があるためです。無料トライアルで複数のシステムを比較し、自社がもっとも使いやすいものを導入しましょう。
運用ルールを決める
導入するCRMが決まったら、運用ルールを決めましょう。データの管理方法や入力方法、分析する項目や目的などをあらかじめ決めておくと、業務の属人化を防げます。
とくに、部署をまたいでCRMを活用するときは、各部署で運用方法にバラつきが生まれやすくなります。すべての部署・関係者が共通認識を持てるように、明確なルールを規定・周知しておきましょう。
データを蓄積・活用する
ここまでの準備ができたら、顧客情報の蓄積・活用に進んでいきます。既存データをCRMシステムへインポートすると同時に、新しく顧客情報を蓄積していきます。必要に応じてデータを分析して、マーケティング計画に活かしましょう。
ただし、このときに無理のある計画を立てると、せっかく数字をもとに論理的な分析を行った意味がなくなってしまいます。現実的に実現可能な改定案を作成し、達成を目指して着実に実践していくことが大切です。
PDCAサイクルを回す
施策を実施したあとは、PDCAサイクルを回してよりよい施策の実施に活かします。PDCAサイクルとは、次のプロセスを循環させ、より高品質なマネジメントを実現するための手法です。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(測定・評価)
- Action(対策・改善)
はじめからCRMの効果を最大化する施策を実施することはできません。施策の反省点をしっかりと振り返り、分析方法や施策への反映方法を繰り返しブラッシュアップすることが大切です。
そうだっ、CRMの実施手順と一緒に勉強しておいてほしい、施策を成功させるコツもあったんだ!
え!?え!?成功のコツ!?気になりすぎます!!
CRMを実施するときのポイント
CRMを実施するときは、以下の5つのポイントを意識すると成果が出やすくなります。
- データマネジメントを行う
- 図や表で可視化する
- パレート(2:8)の法則を意識する
- 2つの分類型を使い分ける
- 顧客ファーストを第一に考える
各ポイントの詳細を解説します。
データマネジメントを行う
CRMで集めたデータには、そのままの形式では営業活動やマーケティングに活用しにくいものも含まれています。そのため「データマネジメント」で活用しやすい形式に整理しておく必要があるのです。近年、企業はCRMを実行するためにいろいろな顧客情報を蓄積するようになりました。
CRMを通して得られる顧客の情報は膨大で、形式も項目もさまざまです。そのままでは、情報を確認するだけでも時間がかかりますし、集計したり分析したりするのは難しいでしょう。
そこで、データマネジメントで情報を活用できるように管理して、マーケティングに活かせるようにする必要があるのです。データマネジメントには、次のような業務が含まれます。
- データの整理や統合
- データを蓄積するためのシステム開発や維持管理
- データを安全に利用するためのセキュリティ管理
データマネジメントは、「CRMに情報を集めて活用するための業務全般を指す」とイメージしておくと、わかりやすいかもしれません。
図や表で可視化する
CRMでは顧客の行動情報を蓄積していき、マーケティングのときはそれをチェックしながら営業活動を進めていきます。
しかし、CRMで取り扱っている情報の量はとっても膨大。単に数字や文字を見ているだけでは分析・活用することが難しいため、視覚的にわかりやすい形に加工して分析をしていく必要があるのです。
CRMの情報を視覚化するときの方法は、おもに3種類です。ここでは、それぞれの方法がもつ特徴と適しているデータについてみてみましょう。
チャート
チャートは、複数の項目がある情報を視覚的にわかりやすくまとめた図です。シンプルな箇条書きの図や、矢印や位置で視覚的な意味を与えた図、表組みにして大量の情報をわかりやすくした図などがあります。マーケティングやビジネスになじみ深い、マインドマップやロジックツリーなどもチャートの一種に含まれます。
分布
分布は縦軸と横軸にそれぞれ項目を設け、対象とするデータがどれくらいの数で出現しているかを整理したいときに役立つ表形式の図です。山のようなカーブを描いた形の表になる「正規分布」や、上位2割の顧客が売上の8割を支えているという80:20の法則を表す「パレード分布」などがあります。
推移
推移は、時間とともに変化するデータを表すための図です。経年とともに増減する売上や事業の成長などを視覚化したいときは、この形式で管理することが適しています。時系列での成長を表す「成長曲線」や時間とともに数値が減少することを表す「減少曲線」、事業や製品売上の推移を説明できる「S字曲線」などがあります。
パレート(2:8)の法則を意識する
パレートの法則は、売上の8割は2割の顧客に支えられているということを意味する法則です。「80:20の法則」と呼ばれることもあります。たとえば分析の結果、購入者の大半が単価1万円程度の新規顧客で、次に多いのが年に10万円以上・4~5回購入してくれる顧客であるとわかったとします。
この場合の平均値を計算してみると、顧客1人あたりの売上は6万円、購入回数は平均2.5回という数字になりました。
しかし、実際にデータを可視化してみると、「平均的な購買行動を取る顧客は少なく、年間10万円以上購入する顧客が平均を大きく引き上げている」とわかります。
このように、単に平均値を出すだけでは顧客の正確な利用実績は把握できません。正しくデータを分析するためには、パレートの法則を意識しつつ、平均ではなく分布で観察する必要があるのです。
2つの分類型を使い分ける
顧客の情報を分析し、傾向ごとにグループ集団としてまとめることを「グルーピング」といいます。グルーピングをするときの項目としては、「お客さまの志向」や「年齢」、「地域」などさまざまなものが挙げられます。マーケティングでは、基本的に2つの分類方法を使い分けると有効です。
- ライフスタイル型:顧客がもっている価値観で分類する方法
- ライフステージ型:顧客のライフステージに合わせて分類する方法
上記の2つに当てはめてグルーピングすれば、バラバラだった情報が整理され、全体像を理解したり目的に合わせて活用しやすくなったりします。
顧客ファーストを第一に考える
CRMを実施する際に重要なのは、自社が売りたいものをただ押し出していくのではなく、「顧客が何を望んでいるのか」を常に考えることです。いくらCRMで顧客を理解しても、顧客が求めていない情報を提供していては支持を得ることはできません。
顧客がほしい情報を、ほしいタイミングで提供することが、CRMでは重要なのです。顧客ファーストなアプローチができれば、「既存顧客」を「優良顧客」に昇華させつつ、「優良顧客」を逃さないアプローチを行えるようになります。
なるほどぉ。単に顧客の情報を蓄積するだけではなくて、分析したり可視化したりして活用していくことが大切なんですね!
CRMをよく理解できました!よ~~~し、さっそく担当している企業さんにおすすめのCRMを提案してみます!
行動が早くて感心感心。教えた甲斐があったよ。頑張ってね。
CONTACT お問い合わせ
WRITING 執筆
LIFT編集部
LIFT編集部は、お客様との深いつながりを築くための実践的なカスタマーエンゲージメントのヒントをお届けしています。